丹沢・だらだら檜岳山稜日帰り縦走(寄~シダンゴ山~檜岳) | 単独行者の山行録

単独行者の山行録

歩いた山々の記憶を詳らかに。
山行中心の備忘録。

1月21日、約2週間ぶりに行ってきた日帰り山行記録。

前言撤回。
1月は試験が終わるまで勉強に励もうと思っていたが、休日さえも結局何もやらずにダラダラと過ごすという体たらく。
そもそも無理なのだ。関心が無いことに対する逃避癖から自宅勉強をこれまでの人生でまともにした事が無い私が今更やろうとすること自体。
最早運動不足に対する危機感(試験に対する危機感は何故か湧かないw)と山に行けないストレスで精神的に不安定になっていた。
山依存症の禁断症状というやつだ。
ストレスは勉強だけでなく、生活全般に悪影響云々・・・と自己正当化し、思いきって丹沢は未踏の檜岳山稜へ足を伸ばすことにした。

数名のハイカーを乗せたバスが寄バス停に着くと、各々が目的の登山口へ散っていく。
シダンゴ山、檜岳へと周回する私は眠い眼を擦りながら付近の中津川に架かる橋を渡って右岸の集落へ。
登山口までは要所々々に道標があるので、それを辿っていく。
それにしても、とてつもなく怠いし眠い。
人家を幾つか過ぎるといきなりの急坂で、歩き始めて10分も経たない内に青息吐息だ。
寄バス停からシダンゴ山方面を望む

眠さと苦しい急坂にふらふらしながら、登山口に到着。
防獣柵の扉を過ぎ、薄暗い植林の中を緩やかに登っていく。
何故だろう、2週間ぶりの山だというのに眠さと怠さで心が踊らない。
前夜までは久々の山行にワクワクしていたのに、無気力な感じで士気が全く高揚しない。
山を登っている、と言うより山中を徘徊している感覚。(笑)
ぼんやりとしながら登っているうちに8:14、広々とした山頂のシダンゴ山(758m)に着いた。
ここまで終始薄暗い陰鬱な植林帯に退屈していたので、馬酔木の灌木帯の山頂は良いものに思え、少しだけ目が覚めた。
シダンゴ山の標柱と背後に連なる檜岳山稜
山頂の碑文。震旦郷と書いてシダンゴと読むらしい。
成る程ねぇ~。
相模湾と市街地方面。
雲間から射す陽光が神々しい。

シダンゴ山は山頂部だけ灌木帯に囲まれた開けた場所になっていて、眺望はそこそこ。
今日は中々ペースが上がらず、息も絶え絶えといった有り様なので、目的地まで到達できるか疑わしい。
時間も予定よりオーバーしていたため、景色を眺めながら小休止した後、山頂を後にする。
シダンゴ山から先は長い階段を下り、宮地山への分岐を分けて少し歩くと林道。
檜岳方面へはダルマ沢ノ頭を巻いて林道を歩いた方が近いし楽だが、山屋たるものピークを避けて楽な林道を選ぶわけにはいきますまい。
という訳で、林道は歩かずに林道を挟んで向いの鉄製の階段を登っていきます。
その先の登山道はよく整備されているが延々と階段が続き、体力の消耗が激しい。
階段を暫く登っていくと、背後にシダンゴ山のなだらかな山容が見える。
キツい階段が続く
傾斜が緩むと登山道脇に伐採して間もない檜が沢山横たわっていて、檜の独特な薫りが鼻腔をつく。
普段なら山に来た実感に高揚するものだが、この時の私は眠気と疲れでテンションが上がらずにいた。
そんなことより、大して登っても歩いてもいないのに疲れ始めている自分に幻滅し、2週間超のダラダラ生活を酷く後悔していた。
ダルマ沢ノ頭(880m)には8:52到達。
植林の中の展望も無い地味なピークはとっとと通過することにする。
秦野峠へ向けて歩を進めると、また長い階段。
もう階段は勘弁してくれ。
高松山への分岐から先は所々ザレていてスリップし易い。
先の林道と合流し少し進んだ先で林道秦野峠に到達。
道標に従って檜岳方面へ尾根に取り付く。
暫くは両側に防獣の有刺鉄線が張り巡らされた威圧的な狭い道が続く。
高いダウンが破れでもしたら目も当てられない。
破れたり、倒れたりして機能していない箇所も多く、ただ単に厄介に思う。
徐に尾根が細くなり、岩場も出現し、いよいよ丹沢らしくなってきたかと思えば長くは続かなかった。
大野山への分岐を分けて鞍部へ下り、目前の尾根を直登することなく山腹を巻きながら沢沿いに下っていく。
沢の出合いから登り返したところで秦野峠に到達。
ここからは暫く尾根の急坂が続く。
明るく気持ちの良い冬枯れの尾根道。
この辺りでやっと眠気が醒め、ちょびっとやる気が湧いてきました。
木々の向こうに箱根の山々を遠望。
この時季にしては珍しく、大気が淀んでいて綺麗に見えない。
歩いてきた稜線。
中央辺りがダルマ沢ノ頭、二つ左隣のピークがシダンゴ山。
山頂に目を向けると、鳶と思われる猛禽が多数山頂付近を大翼を広げて旋回している。
この付近は彼らの営巣地なのだろうか。
歩いてきた急な尾根道を振り返る

登る度に更に視界が広がる。
左手眼下、樹間からは丹沢湖とそこに架かる橋が見える。
漸く傾斜が緩むと、快適な稜線歩き。
冬枯れした木々の間からは表尾根の稜線や湘南の市街地や丘陵等が見渡せる。
檜岳までもうあと少しだろう、疲れたからそこで休憩しよう、と考えながら疲弊した身体に鞭を打って足を進める。
そしてついに目の前の稜線上に檜岳と思われるピークを捉え、ゆっくり登っていくと・・・
伊勢沢ノ頭(1,177m)とかいう、何処だよそれ?wと突っ込みたくなるようなピークに到達。
実は道中要所に道標が整備されていたので地図を確認せず、このピークの存在を忘れていたのだった。
これには流石に落胆した。
今一度地図を確認すると、時間の割にあまり進んでいない上に檜岳までまだ距離があるではないか。
檜岳を休憩ポイントと定めていたけれど、計画変更!疲れたので、ここ伊勢沢ノ頭で昼食を摂ります。
開放的だし薄日と言えど多少は暖かいので、休憩には持ってこいのピークだ。
伊勢沢ノ頭から望むなだらかな山容の檜岳

昼食を終えて休止したあと、伊勢沢ノ頭を後に檜岳を目指す。
玄倉林道への分岐を分け稜線沿いに下り、鞍部からは緩やかに登り返していく。
この辺りは尾根が広く、落葉樹の大木が点在していて素晴らしい。
林相の景観を楽しみながら歩いていると、鳴き声と共に駆ける足音が。
毎度お馴染みの鹿だ。
初めて野生の鹿を山中で見たときはとても感動したものだが、今となってはごくありふれた生き物で「またか。」としか感じない。
だって、鹿と出会わない山行の方が珍しいんですもの。
まぁ、可愛いですけどね。
白いチャームポイントの尻をこちらに向けながら警戒する鹿。
分かりにくいが、そのやや左の樹間にももう1匹写ってます。

丹沢の鹿は兎に角警戒心が強く、目を合わせただけで直ぐに逃げてしまう。
50m以上間をとってこちらの様子を窺うといった感じだ。
とりあえず1枚撮っておこうと思っても、これが中々撮れない。
そうこうしていると、本日初めてハイカーとすれ違った。
その単独行の青年も鹿は見慣れているのか、一瞥しただけで行ってしまった。
まともな画像が撮れなかったので、諦めて歩を進める。
引き続き気持ちの良い尾根道を辿っていく。
狙い通り日曜日にもかかわらず、静かで快適だ。
そして11:05、漸く目的の檜岳(1,167m)に到達した。
さて、ここから雨山峠を経て下山するか。
雨山峠から更に鍋割山を経て櫟岳へ南下するか。
今回二通りの選択肢を考えていたのだけど、今日は調子が上がらないのでこの分だと前者でしょうな・・・。
とりあえず、12時に雨山峠に着かなければそのまま下山することにした。