2016霊峰富士初登山録(御殿場口新五合目~山頂) | 単独行者の山行録

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歩いた山々の記憶を詳らかに。
山行中心の備忘録。

8/8~9にかけて行ってきた富士山の山行録。
当初尾瀬の至仏山と燧ヶ岳を登る予定だったが、突如発生した台風5号接近の影響に伴い悪天の予報となり、直前に距離的・天候的に好条件だった富士山に決めた。
ルートの選考は富士宮と吉田はスタート地点が2,000m越えという時点で登頂の意義が感じられないので即除外。
須走と御殿場口新五合で迷ったが、後者のルートが最も高低差があること、登山者も比較的少ない、何よりアクセスが良いと条件が良かったのでそのルートに決めた。

8日、日焼けした腕がくすぐったいような痒みが一晩中続き、満足に眠ることなく未明の4時にセットした目覚ましが鳴る。
支度をして出発。始発に乗り、大船で東海道線、国府津で御殿場線に乗り換える。
道中の車窓からは丹沢や箱根の山々、そしてこれから向かう富士山が晴天の下綺麗に映え、幸先の良い予兆と私は捉えた。
7時位に御殿場駅に到着し、駅前のセブンで水2lと500ml、それにおにぎりを3つ購入。
7:35、水が塚公園行きのバスに乗車。
8:08、御殿場口新五合目バス停に到着。
標高と強風で快適な体感温度だ。

登山口の鳥居にて

登山口の駐車場より富士山を望む

バスを降りるなり係員の人が入山料の募金の呼び掛けをしていたので迷うことなく千円支払う。
見返りを求めてはいなかったが、支払ったら何かバッヂ貰った。(笑)
周りの登山者が修験者の棒のような物を持っていたので、売店へ下見。
その棒というか杖は650円とあり、追金で焼印も捺せるとのことなので焼印込みで購入したら1,600円くらい取られてびっくり。
どうやら他の商品と値札を見間違えたようで痛い出費となったが良い記念のお土産にはなるので前向きに考えることにした。
杖を購入後、軽くストレッチをしていざ出発。
8:17、登山口(1,440m)の鳥居を潜る。

御殿場口新五合目登山口のプレート

靴が埋もれる砂礫の道を少し歩くと大石茶屋へ。
店のじいさんに焼印を捺すか訊かれたが、購入時に捺したばかりだし、400円もするのでお断りした。
大石茶屋を過ぎ、広漠な砂礫の裾野を登って行く。
振り向くと箱根の山々のパノラマが素晴らしい!

中央奥に神山、その手前に外輪山が広がる

登山道左手には可愛らしいゆったりとした山容の二ツ塚がお出迎え。

別名の双子山がしっくり来る山容

長丁場なので引き続きゆっくりと着実に歩いて行く。
ブルドーザー道を交差し、その後も緩い傾斜の砂礫帯を登って行く。
まだ登り始めてあまり経っていないが、砂礫の歩き難さとそれによる慢性腰痛の悪化により禁じ手の先程購入した杖を使用する。
ストックの類いの有り難みを痛感しながら登っていく内に傾斜は徐々に増し、延々とつづら折りの登山道を登って行く。
遮るものがない山腹からは山中湖とその周辺の山々、丹沢、箱根、伊豆が良く望めた。

左から杓子山、御正体山、大室山などが望める。

山頂を見上げる。宝永山もまだまだ先だ。

そこそこ歩いた実感があるが、まだ6合目にさえ到達していない。
引き続き順調に高度を上げていき、6合目の小屋跡にて遥か先を先行していたおっちゃんに追い付く。
既に何十人も追い抜いていたが、このおっちゃんとの距離はなかなか縮まらなかったので良いペースメーカーだった。
この方は北九州市から来られたらしく、普段は教師をしている傍らトレランをしているらしい。
わざわざ九州から来ているあたり、富士山が全国区であることを実感する。
その後も暫く休憩しながら会話をし、再出発。
お先にと言われたが、早い人が背後にいるとプレッシャーがかかるので先に行ってもらった。
その後暫くは北九州のおっちゃんの後を辿る感じで登って行く。
標高を上げると風は更に強くなっていき、先程までの好天はどこへやら。
ガスがたちこめる。
恐らく台風の影響だろう、吹き付ける霧を纏った東風を受けると濡れるほどだ。
地質も砂礫から岩肌が露出したような風景に変わる。

霧で頂上が見えない。

6合目

高度の目安としていた宝永山を越える。
3,000mまであと少しだ。

宝永山とその先の愛鷹山を望む

黙々と無心に歩いていくうちに11:28、7合目に到着。
流石は富士山と言ったところか、1合目辺りの間隔が非常に長い。
これだけ歩いたのにまだ7合目かと思うとウンザリ。(苦笑)

7合目小屋

ここで少し早い昼飯タイム。
小休止しているうちに北九州のおっちゃんは先を行く。
食事を数分で済ませ、再び出発。
少し歩くと砂走館の小屋に着く。
トイレに入ろうとすると料金にびっくり。
渋々300円を支払う。
行く先々で金をどんどん消耗するあたり、富士山は現実世界のボンビラス星のようだ。
頻尿の方にはまさに地獄だろう。(笑)

砂走館

トイレを終え先に進む。
この辺りまで来ると足場はある程度しっかりしており、先程までの足が沈むような砂礫の道は殆ど無い。
しかし、相変わらずつづら折りの単調な登りは続く。
8合目には12:40に到着。
ふと来た道を見下ろすと北九州のおっちゃんが大分後ろにいた。
途中の小屋で休んでいたのかな。

8合目の小屋跡

勾配も徐々に険しくなり、山の表面は固まった溶岩の荒々しい景色になっていく。
その後も無心に登っていき、知らぬ間に9合目を過ぎる。
山頂へ目をやると霞のなかに薄っすらと鳥居が。
山頂直下のゴーロ帯を過ぎ、13:41、山頂の銀明館前に到着。

富士山頂・銀明館前にて