単独行者の山行録

単独行者の山行録

歩いた山々の記憶を詳らかに。
山行中心の備忘録。

母の入院や身の回りのことで今年は夏山を完全に諦めていた私。
日帰りであれば山に行けない訳では無いので近隣の低山で欲求を満たしていたものの、他の方のブログで高山や高山植物の記事を読むとやっぱり羨ましい。
予算を拡大すれば行けなくも無いが···今年は既に母の入院や不始末で年間の山行予算を倍以上大幅に上回るような大きな出費があったため、正直なところ経済的な余裕はあまり無い。
無いけれど、アルペン的な山や東北のような雄大な自然の山に登りたい。
登りたいけど···と堂々巡りのジレンマに数日苛まされた。
このまま夏を無為に過ごしていいものか・・・。否ッッ!
かくなる上は往復特急利用の大盤振る舞いで八ヶ岳日帰りだ!
決行3日前にも関わらず、運良く朝一のあずさの特急券と小淵沢駅からのマウンテンタクシーの予約に成功した私。
かくして晴れ予報の6月19日、7年ぶり(もうそんなに経つのか···)にギリギリ日帰り可能な八ヶ岳南部の編笠山と権現岳を縦走することにした。
あずさの車窓より澄み切った青空に映える八ヶ岳。
徐々に大きく見えてくる久方振りの八ヶ岳の山容に意気が揚がらない訳が無い。(寒々しい財布の中身から目を逸らしながら)
小淵沢駅にてマウンテンタクシーに乗り換えて観音平に着いたのは9:18。
分かってはいたことだけど、公共交通機関ではどうしてもスタートが遅くなるので、本当に今日のうちに帰れるか心配になってしまう。
7年前は富士見平経由だったので、観音平から登るのは初めて。
まぁ、雲海までの僅かな区間だけれど。
登り始めが既に高地であるため、下界のような蒸し暑さは無く比較的快適だ。
雲海にて富士見平からのコースと合流。
前回ここで夥しいアブに集られた記憶が蘇る。
あの時は本当に虫が凄かったっけなぁ。
雲海から望む樹林越しの富士山。
今日は山頂からの景色も期待できそうだ!
雲海付近にはレンゲツツジもちらほら
ヤツガタケキスミレ?
前回は見かけなかったなぁ。
久し振りのマイヅルソウ。
イワカガミの一種
苔に針葉樹林に···、奥秩父のような雰囲気。
序盤は緩やかだった傾斜も登るにつれて険しさを増していく。
後半は岩場の超急登。
記憶していたとは言え、記憶していた以上の辛さ。
7年前はテン泊装備でしかも小淵沢駅からよく徒歩で登ってきたもんだわ。
立ち止まって呼吸を整える。
振り向けば南アルプス北部のスーパースターたち。
・・・今年は行けないんだろうなぁ。と再会の嬉しさの反面、少々ナイーブな気持ちに。
そしていよいよ森林限界を越えて編笠山山頂が目前に。
それと同時に立ち込める不穏なガス。あれ?あれれ?
御嶽山が次第に隠れていく···
あらら、反対側の富士山方面も···。
11:09久し振りに編笠山に登頂。
南八ヶ岳の険しい山岳風景が圧巻の一言。
今の私には近くて遠い・・・
北八ヶ岳の蓼科山や北アルプス方面はガスも殆どなくくっきり。
今年こそは北アルプス行きたかったなぁ。
筑摩山地や諏訪湖の眺望。
遠景は北アルプス。
一方で南側はやっぱりどんより。
せっかくの中央アルプスや
大好きな甲斐駒含む南アルプス北部、
富士山方面の眺望は瞬く間にガスに閉ざされてしまった···。
さっきまでの快晴はどこいった?
と思ったら中央アルプスや御嶽山、
乗鞍岳や穂高連峰は厚いガスの下に少しずつ姿を現してくれた。
···この恥ずかしがり屋さんめ!
金峰山や大菩薩方面の眺望もぼちぼち。
本当はもっと長居したい所だけど日帰りで余裕が無いので、サクサク行くとしよう。
正面右奥には目指す権現岳、手前の鞍部には前回テン泊でお世話になった青年小屋。

ミヤマトウキ?
ゴゼンタチバナ
ハクサンイチゲ
今年は諦めていた高山植物を見ることができて本当に来て良かった。

小屋の手前は大岩が埋め尽くすゴーロ帯。
跳び移りながら下るのが楽しいんだな。

11:32青年小屋に到達。