昔々あるところにー…
ヴィスデレラという、それはそれはかわいくて美しく可憐でかつかっこよくハンサムでその美貌で世界を揺るがすシムがおりました。
しかしかわいそうなヴィスデレラは、意地悪な継兄たちにたいそういじめられておりました。
マカロニ「ヴィスデレラ、俺の洗濯物畳んでおいてくれ」
あざみ「ヴィスデレラ、この前俺が振った女の子を代わりに慰めておいてくれ」
あげた「ヴィスデレラ、僕と結婚してください」
ヴィスデレラの頭を悩ますのは、わがままで意地悪な継兄たちだけではありませんでした。
イヴィーヌ「ヴィスデレラ!!あれほどきちんと掃除をしなさいと言っておいたのに!!ホコリが残っているじゃない!!」
継母のイヴィーヌは何かと理由をつけてはヴィスデレラを侮辱するのです。ヴィスデレラは、孤独でとても辛い日々を過ごしていました…
そんなある日のこと。イヴィーヌがお城で舞踏会が開催されるという知らせを家に持ってきました。
その舞踏会は、セルジオ・ロメオ王子が結婚相手を見つけるために開催されるとのことでした。
イヴィーヌ「これはチャンスよ!うちの子どもたちの中から玉の輿が出るかもしれないわ」
イヴィーヌ「特に信治。シムを手のひらで転がすのが上手なあなたには期待しているわ」
長男の信治はふらふらした遊び人で、休みのたびに恋人と遊びに行きますがいまだに結婚していませんでした。
ヴィスデレラも他のきょうだいたちと同じようにこの知らせに胸を高鳴らせました。
ヴィスデレラ「あの…おかあさま、僕も舞踏会に参加していいですか?」
イヴィーヌ「あらヴィスデレラ、あんたはだめに決まってるじゃない。留守番よ。それと、お兄様たちのスーツ選びに付き合ってあげなさい」
心やさしいヴィスデレラは、継兄たちに似合う素敵なスーツを仕立ててあげて
きちんとヘアセットもしてあげました。
そして継母と継兄たちは、ヴィスデレラを残して楽しそうに舞踏会に出かけて行きました…
みんなが出かけた後、ヴィスデレラは屋根裏部屋でひとり孤独に泣きました。
ヴィスデレラ「僕も行きたかった…美味しいご馳走がいっぱい出るだろうし、最新のゲーム機も揃えてあるかも…」
「かわいそうなヴィスデレラ、もう泣くのはおやめなさい」
ヴィスデレラの前に、突然倫理観のない魔法使いが現れました。
リンリー「ヴィスデレラ、私は魔法使いリンリー。あなたを舞踏会へ連れて行ってあげましょう。アヒルを2匹、ラマを1匹捕まえてきなさい」
ヴィスデレラは言われた通り、アヒルを2匹
ラマを1匹、魔法使いリンリーの元へ持って行きました。
魔法使いリンリーが魔法をかけると…
ラマは立派な馬に、アヒルは従者へと変わりました。
リンリー「そうだ、忘れてはいけない。舞踏会に行くならドレスアップしなくては」
リンリーの魔法で、ヴィスデレラの着ていたぼろの服は美しいドレスに変わりました。
ヴィスデレラ「すごい!どうもありがとう!これで舞踏会に行けるよ!」
リンリー「どういたしまして。ただしヴィスデレラ、一つだけお約束があります」
リンリー「時計の針が12時を指す前に、必ず戻ってくるのですよ。その魔法は12時までしか持ちませんからね」
ヴィスデレラ「わかった!」
こうしてヴィスデレラは立派な馬と2人の従者と共に舞踏会へ向かいました。
舞踏会にやってきたシムたちはみんな、美しいヴィスデレラを見てざわめきたちました。
ボニー「あの黄金の髪をしたシムは誰?」
シェパード「ボスに知らせないと!」
イヴィーヌですら、ヴィスデレラがヴィスデレラだと気づかず彼に見惚れてしまいました。
イヴィーヌ「なんと美しいシムでしょう!」
その頃、セルジオ王子は寝室でドールハウスを壊していました。
セルジオ王子は窮屈なお城も子どものためのドールハウスも大嫌いでした。今夜の舞踏会も、少しも乗り気ではありませんでした。
それでも時間になったので、家来に無理やり連れられてダンスフロアへとやってきました。
するとなんということでしょう!
セルジオ王子の目に、今まで見たこともないような美しいシムの姿が飛び込んできたのです。
セルジオ王子は一目で恋に落ちてしまいました。
セルジオ「お姫様、私と一緒に踊っていただけませんか」
セルジオ王子は真摯な態度でヴィスデレラにダンスを申し込みました。
ヴィスデレラはセルジオ王子をなんて素敵なシムなんだろうと思い、このお誘いを喜んで受けました。
継兄たちは足を踏み鳴らして悔しがっています。
あざみ「あれはヴィスデレラじゃないか!?」
あげた「僕がヴィスデレラと踊りたかったのに!」
ヴィスデレラはセルジオ王子と、楽しく幸せな時間を過ごしました。
ヴィスデレラは今自分が開発中のゲームアプリ「パンケーキゲーム」のことなどをセルジオ王子に話しました。
セルジオ王子は優しく聞いてくれました。しかし…
ヴィスデレラは会場内に、「しはいか」になっているシムがいることに気づきました。
なんということでしょう!とっくに時間は夜中の1時をまわっていたのです。
ヴィスデレラは急いでお城を後にしました。
ヴィスデレラ「すみません、僕もう帰らなきゃ!」
セルジオ「そんな!まだ名前も聞いてないのに…!」
お城から出ると、ヴィスデレラの魔法はすっかり解けてしまいました。
トラヴィス「楽しかったな…あの王子様、僕が開発中のアプリのこともすごく熱心に聞いてくれたし。もう無理だろうけど、また会いたいな…」
次の日になっても、セルジオ王子の頭からあの素敵なシムの姿が離れませんでした。
しかしセルジオ王子は彼の名前も居場所も知りません。セルジオ王子が知っているのは、彼が開発中のアプリの名前「パンケーキゲーム」だけ…。
セルジオ王子は国中に「パンケーキゲームというアプリを開発中のシムを探しています」という張り紙を出し、また自分の足でたくさんの家を訪問しました。しかしみんなセルジオ王子に気に入られたいがために嘘をついていたりして、一向に昨夜セルジオ王子が出会ったシムが見つかりません。
それでもセルジオ王子は踏ん張りました。もうこれで訪問する家が100軒目になろうかという時…
イヴィーヌ「まあ!セルジオ王子!『パンケーキゲーム』を開発中のシムをお探しなんですってね。あげた、あなたオタクなんだからそんなアプリ開発してるんじゃなくって?」
あげた「おかあさん、僕が開発中なのは遊び人同士をマッチングさせるアプリ『あそびっちんぐ』ですよ」
イヴィーヌ(ばか正直に言ってどうするの!)「おや、ヴィスデレラ。何スマホで遊んでいるの?洗濯はちゃんと済んだんでしょうね?」
セルジオ王子「…あちらのシムさんは?」
イヴィーヌ「おほほ、つまらない使用人ですのよ。舞踏会にも行ったはずありませんし…」
セルジオ王子「彼と話をさせてください」
セルジオ王子の胸が騒ぎました。
セルジオ「やっぱりあなただ…昨夜私と踊ってくれたのは」
セルジオ王子は質問をせずともわかりました。ヴィスデレラの目は好きなものを夢中になって追求するシムだけが持つ、生き生きとした美しい輝きをはなっていたからです。
セルジオ王子「僕と結婚してください」
こうしてセルジオ王子とヴィスデレラは結ばれー…
ヴィスデレラはカリスマ技術者として職につき、夢だったゲームアプリのリリースを実現しました。セルジオ王子も王様となり、国民とヴィスデレラが幸福に過ごせる国家を築き上げました。そして2人はいつまでもいつまでも幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。
10/31はセルヴィスちゃんのファーストキス記念日です!
今年は童話「シンデレラ」にそって、ちょっとした仮装をしてみました。いつまでも幸せであれ、セルヴィスちゃん!!