アソス「カイ」

 

 

「すまない」

 

 

アザッス「我々ソピンチョ・ドゥンガドゥンガ族は、太陽が6歩の足跡を森の上に残すとき(※ソピンチョ・ドゥンガドゥンガ族の暦で5年に一度を指す)太陽神・アバジャに生贄を捧げなければならない」

 

 

ジャイルズ「情報量が多くてついていけない」

 

 

マイ「舌噛みそうばい」

 

 

アザッス「そして太陽神アバジャに捧げる生贄は、いずれも神より授かった特別な能力を持つ者でなければならない。前の1人は森の声を聞き、その前の1人はシムでありながら虎の牙を持っていた」

 

 

 

アソス「チッスは蛇の言葉が分かるんだ」

 

 

カイ「そういうことだったのか…」

 

 

アソス「君はいい奴だから心苦しい。だが、俺は息子を守らねばならない」

 

 

ヤーネ「一眼見ただけで常人じゃないと分かったわ。首に大蛇巻き付けてるんだもの」

ソーネ「しかもあの酒をうまそうに何杯も飲んでさ。普通のシムなら半口で倒れるくらい強いやつを作ったってのに」

 

ジャイルズ「これ以上新キャラ登場させて俺たちを混乱させないでくれる」

 

 

アザッス「悪く思わないでもらいたい。儂らは皆、チッスを自分の子のように可愛がっておるのじゃ」

 

 

リン「だからってカイおじさんを身代わりにすんなーーーーーーっ!!!!!ボケナス!!!!」

 

 

カイ「リン、落ち着け」

 

 

気持ちは分かる。俺だって息子がいたら、どんな犠牲を払ってても守ろうとしただろう。

 

 

アザッス「時間じゃ」

 

 

だが俺には

 

 

守るべき人も帰る場所もないー…

 

 

アザッス「太陽神アバジャよ!!!」

 

 

「我らに無限の恵みを授けたまいし神よ!!!」

 

 

「この者の命を其方の血肉とし、我らに永遠の祝福を!!!」

 

 

 

 

太陽神アバジャ「フハハハ…」

 

 

太陽神アバジャ「こやつか、今年の生贄は」

ジャイルズ「どっからどう見ても邪神だな」

 

 

太陽神アバジャ「少々魚臭いが肉厚でうまそうだ」

 

 

太陽神アバジャ「どこから食うか?頭からかァ!?それとも足かァ!?」

リン「待って!」

 

 

リン「ソピンチョ・ドゥンガドゥンガの皆さんはなんでこんなやばい奴信仰してんの?」

ジャイルズ「真っ当な疑問だ、リンちゃん」

 

 

カイ「…」

 

 

カイ「さあ…」

 

 

カイ「色々あるんだなあと思って特に聞かなかった」

 

 

マイ「おじさん、雑やね」

 

 

太陽神アバジャ「足から齧ることにしよう。そのかわいい顔は最後までとっておき、苦痛に悶えるサマを堪能しようじゃないか」

 

太陽神アバジャが俺に手を伸ばした、その時に

 

 

俺の頭に浮かんできたのは、古くから知っている歌だった。

 

 

鈴の音を 追って落ちるは 海の底

 

 

湖の女神の 死の歌よ

私をいざなう 闇の手よ

 

 

行き着く先は 天国より遠く

地獄よりも なお深いー…

 

 

太陽神アバジャ「な、なんだ…!?」

 

 

太陽神アバジャ「体に力が入らない…」

 

 

私をいざなう 闇の手よ

 

 

太陽神アバジャ「歌うのをやめろ!!」

 

 

死の底よりもなお暗いー…

 

 

「や、め…」

 

 

 

「やめろォオオオオオーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

カイ「おっ、動ける」

 

 

アソス「カイ、お前は…」

 

 

カイ「おー!びっくりしたぞ!」

マイ「軽い!!!」

 

 

ジャイルズ「ブチ切れろよ。生贄にされたんだぞ」

カイ「未遂だったんだしまあいいだろ」

マイ「もしかして何事もどうでもいい人なん?」

 

 

アザッス「今の歌は、一体…?」

 

 

カイ「ああ…古い歌なんだが、急に頭に浮かんできてな。なんか知らんがおかげで助かった。それよりアソス、アザッス、他のみんなも…」

 

 

カイ「よく知らないものを信仰すると危ないぞ!」

マイ「急なド正論来た」

ジャイルズ「急に常識人ぶるねこのおじさんは」

 

 

アソス「すまなかった…」

カイ「いや、もういい!謝るな!」

 

 

カイ「…アソス、あの化け物に食われそうになってる時に君の話を思い出したよ」

 

 

「『帰る場所を作るのもいいものだ』…確かにそうかもしれない」

 

 

「俺はさっき死んでたら、誰にも思い出してもらえなかっただろう…家族がいないからな。そう考えるとふと寂しくなった」

 

 

「一箇所に根を下ろすことにはならないと思うが…帰る場所を作ることに関してはこれから先、よく考えてみるよ」

 

 

アソス「カイ…」

 

 

カイ「ありがとう」

 

 

 

 

チッス「カイ、また会いに来てね!」

アソス「ああ。本当に」

 

 

アソス「ここも、帰る場所のうちのひとつだ」

 

 

こうして俺はソピンチョ・ドゥンガドゥンガ族の住むジャングルを後にした。

あれから彼らと会うことは二度となかったし、結局お目当ての黄金の牛の胃も見つからなかったんだがー…

 

 

この冒険は、俺の大切な宝物のひとつだ。

 

 

 

 

 

 

 

リン「カイおじさんはやっぱりすげえ…」

 

 

リン「今もいるかな?ソピンチョ・ドゥンガドゥンガ族!」

カイ「彼らの子孫は…そうだな、いるかもしれないな」

 

 

リン「俺、いつか会いに行こっと!」

 

 

ジャイルズ「…待て」

 

 

ジャイルズ「大蛇はどうした?」

 

 

カイ「ああ」

 

 

カイ「ジャングルの外では生きられないと思ってな。放してやったよ」

 

 

「最後にもう一度締め殺されそうになったが」

 

 

「今思えば、あれは友情の抱擁だったんだな」

 

カイおじさんの冒険-大蛇と謎の一族-終わり

 

 

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