ドレミファ娘の血は騒ぐ(1985年 82分)
監督:黒沢清
出演:洞口依子、伊丹十三、麻生うさぎ
ドレミファ娘の血は騒ぐとタイトルがやたらかっこいいので見た。
ドレミファ娘の血は騒ぐって予測変換で出るんだ。
Seventh Codeを見て連続で見たんだけど、黒沢清こんな映画も撮ってたのか。
リアル完全なる首長竜の日や叫、クリーピーと言ったような黒沢清特有の不気味さや不穏さみたいなものは抑え目で、ヌーヴェルヴァーグの強い影響下にあるのが伺える。
特に、ウイークエンドや中国女、気狂いピエロなどのゴダールを意識して作られているのは間違いない。
こういうヌーヴェルヴァーグの影響下にある日本の映画って自主制作のにおいがきつくてなかなか見るのしんどいんだけど、ゴダールのほぼ完コピしているので、わりと見やすい。
哲学的な散文詩的言動や急に挟まれる歪んだミュージカルシーンなどの現実的な生活と乖離している行動への理由付けが、登場人物が心理学科の大学生や教授ということで理論づけている。ちょっと小賢しくて笑った。
どうやら日活ロマンポルノの外注作品として作成されたらしく、内容が商業向け映画じゃなさすぎるため、納品拒否されたものをエロ要素を減らして一般映画として撮り直して公開されたらしい。
もともとの原題は「女子大生 恥ずかしゼミナール」だったらしい。最高かよ。
映画冒頭の主人公が横方向に移動しながらカメラが追う長回しなんかはめちゃめちゃゴダールっぽくて笑える。すげーかっこいいけど。アワーミュージックのラストシーンなんかを思い出した。
その他にも、一瞬だけ象徴的なカットが挟まれる手法や、登場人物がめまぐるしく相手の方向を見て話さないのだったり、ゴダールのパロディを超えた、コピーにも近い印象を受ける。最高にかっこいいけど。
それと、主人公の田舎から出てきた少女を演じる洞口依子が魅力的すぎる。影があってどこか虚無的なのに力強い信念みたいなものを感じる眼差し。そうでありながら、どこか受身で物語が進行していくのも素敵だ。
欅坂46の平手友梨奈に似てる。逆か、平手友梨奈がめちゃくちゃ似てる。
大学という密室空間でどこか聞いたことがあるような哲学めいた話をするのは中国女、ラストシーンの草原を駆け抜けるのは気狂いピエロと、数え上げればキリがないほどオマージュ?が捧げられていて、そこに注目して見ているだけでも面白い。
あと、めちゃくちゃどうでもいいけど、タンポポの監督でもある伊丹十三はバイオリン弾けるんか。なんでもできるなあのおっさん。
そういえばタンポポでも、洞口依子が海女役で登場してた。あっちも最高だった。
ヌーヴェルヴァーグの影響を受けた日本の映画の中では(エロいシーンなんかもあるし)トップクラスに見やすい映画だと思う。黒沢清色は少なめ。
金持ってる時代の日本に制作されたこの映画をきっかけに黒沢清という才能が埋もれなくてよかったとも思える映画だ。
洞口依子が最高にかわいい映画だった。
B+