『善玉王国物語ⅲ ~父と子の物語~』 | 加賀美新悟 『俺のブログ』

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『善玉王国物語ⅲ   ~父と子の物語~①』 
 
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そかろの新悟先生のお腹の中に 
  
フローラ大陸という  
  
とてもとても豊かな世界が広がっているのを知っていますか? 
 
 
  
あの若者が 初代の善玉国王になってから 
  
ずいぶん時間が経ちました。 
  
  
善玉王国を護り 支え続けた年月は 
  
若者をきたえ  磨き上げました。 
  
もともとの知識と心根の良さに加え 
  
多くの経験と智慧(ちえ)、
 
王としての自覚
 
そして自信が加わりました。 
 
  
あの若者は  いまではすっかり
 
りっぱな風格を兼ね備えた王様になりました。
  
  
善玉王歴・第六の月 
  
3回目の「土星の日」の朝のことです 
  
  
善玉王様は まだ夜が明けきらない薄闇の中 
  
柔らかな寝具の中で
  
安らかな寝息を立てている
 
小さな王子を揺り起こしました。 
  
「さあ起きなさい」
「すぐに出かける支度をするんだょ」 
  
眠そうな王子さまが 
  
なかなか開かないまぶたに
 
苦戦している様子を見て 
  
小さく笑うと 
  
柔らかい髪を一つなでて
 
王様はいいました。 
  
「さあ急いで、じきに夜が明けてしまう」 
  
小さな王子さまは
首をかしげて聞きました 
  
「でもいったいどこへ?何をしに行くの?」 
  
その肩にふわりとマントを羽おらせてあげると
  
善玉王様は二ヤっと笑いました。 
  
「父さまと一緒に勇者の旅へ出かけよう」 
  
 
「しっかり背筋を伸ばして。そう、なかなか良くなってきたぞ」 
  
さっきまで何度も
 
ずり落ちそうになりながら 
  
自分に必死にしがみついていたのが 
  
ウソのように 
 
シャンとしている王子さま
を見て 善玉王様は満足そうにうなずきました。
 
  
王様との二人乗りとはいえ 
  
幼い王子さま にとっては 
これが初めての雲乗りです 
 
  
「すごいや…雲の上ってこんなに高いんだ」 
  
王子さまは歓声を上げました。
 
  
それに、こんなにふわふわで不安定なんて知らなかった。
  
父さまはこんな上で 
  
いつも逆立ちをして見せてくれたり 
  
空中回転させたりしていただ・・・ 
  
「すごいなぁ」 
  
 
雲を操る王様を見上げると 
  
楽しそうに歌を口ずさんでいる目と目が合いました。
  
  
「落とすなよ」 
  
そういうと 王様は王子さま
に向かって何かを放り投げました 
  
あわてて受け取って見てみると・・・ 
  
「地図?」 
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「そうだ、魔法の泉・智慧の泉への地図だ」 
  
楽しそうにうなずくと 
  
王さまはとんでもないことを言い出しました。 
  
  
「さて、真ん中の辺りに描いてあるのが智慧(ちえ)の泉。が
  
冒険の目的地だ。」 
  
「ここまでの道案内はお前に任せるからな。しっかりたのむぞ」 
  
 
 
ええ!? 
 
 
  
「僕がやるの?」 
 
  
真ん中辺りに 確かに竜のような形をした泉があります 
 
  
地図を見つめていると 
 
泉の竜がピカピカと光りだしました! 
  
「そう、お前に任せる。できるか?」 
 
  
目の前の景色と地図を何度も
 
見比べていた王子さまは 
  
「できるよ!できるできる!僕にやらせてください」 
  
笑顔で大きくうなずきました。 
  
王子さまの瞳はナビゲーターを任された誇らしさで
 
キラキラと輝いています 
  
遠くの水平線が朝日でオレンジ色に輝きだしました 
  
「ああ 夜が明けるな」王様が言いました 
  
「冒険の始まりだ!!」王子さまが言いました 
  
二人は顔を見合わせると こぶしとこぶしをコツンと合わせました。