母方のばあちゃんちは平成の大合併で盛岡市に吸収された旧玉山村。盛岡の北東にあり現在は玉山区と呼ばれてるらしい…区?区というにはあまりにも山奥で…、市内出身のミッチーがよくもまぁはあんな

秘境の地で生まれ育った娘(←母ちゃん)

を見つけたもんだ。そんな母ちゃんの車は禁煙車…、どこかコンビニか信号で止まったら路肩に停めて一服しようと思ったていた。しかしできるだけ信号の少ない裏道を選んだため車は止まることを知らず…。30kmちょいある道のりの中で

信号は3つ…

コンビニは1つ。。競馬通なら知っているであろう盛岡競馬場【オーロパーク】を途中に通る。10…4、5年くらい前かな、市街地から移り山を切り開いて新しく造られた。場所が場所だけにレースのない平日は人影がなく、やけに広い道幅が淋しく感じる。ここんとこの不況で

経営が危ぶまれてるらしい

経営破綻になってもあんなデカイ建物…他に使い道があるんだろうか?俺が心配しても仕方ないけど。。ばあちゃんちに近づくに連れ道路の雪が多くなってきた。除雪車は来れない地域である。着いたのは14時前くらいだったと思う。玄関を開けると独特な匂いがした。

ばあさんはいつもの場所にいた

いつも居間の掘り火燵にちょこんと座っている。匂いの元は火燵に練炭を使ってるからである。ばあさんは俺をみると始めどちら様?みたいな顔をした後、

「…哲平?」

はい正解~

「よくきたよくきた~」

と抱きしめてくれた。後から義叔母が登場しコーヒーを入れてくれた…コーヒー?間洞(←ばあちゃんちの屋号)でコーヒーが出るなんて初めてだな…な、なにぃ~?!

ばあさんもコーヒー飲むのか?!

これまた初めて見た…なんだ、どーした?つーかコーヒーめちゃくちゃ甘めぇ。。従姉妹家族が来るとかで義叔母はせっせと家の中を掃除していた。あ、土産買ってきたし

カンカンやらなきゃ!

カンカンってのは間洞では仏壇を拝むことね。座敷は寒みぃな…あれ、ローソクないな…線香も。。な、なにぃ!カンカンの

ローソクと線香が電気式になってる。。まるでオモチャだ…こんなのアリなのか。カチッカチッってスイッチ入れてカンカ~ン(←これはあった)…

拝んだ気しねぇ!!

祐観(←故祖父)の写真の顔が寂しそうにしているのは気のせいか。。ばあさんと火燵で2時間ほど話し込んだ。

「今の時代の若い人は恵まれてるんだよ」

よくある年寄りの話なんだろうが俺は楽しかった。戦中、戦後の話をしてくれた。

「人として生まれてきたならば人してやらなければならないことがある」

む、それは結婚か?子孫を残せとゆーことか?むむ…

「もうやることはねぇ。あとは祐観が迎えにくるのを待ってるの。なかなか来ない…」

おいおい…。でも人生もうやることがないってスゴイな。。生き神様だよホント!

「哲平から貰った杖はどこにいっても忘れないのよ」

3~4年くらい前にばあさんにプレゼントした。柄の部分が赤いからどこに行っても目立つし、同じようなものは誰も持っていないんだって。

「泊まっていかねぇのか?」

ゴメンねばあさん、また次…、また次があるかなぁ。。東京じゃなくもう少し近くで暮らせって言ってた。ゴメンねばあさん、それはできないんだな。。ゴメンねばあさん、

もうそろそろ行くよ。。

玄関で腰をおろし靴を履いていた。Gパンの膝の部分が破けているのを見つけたばあさんはペシペシと叩いてきた…ナハハ。外に出ると陽が隠れたためか、一気に気温が下がっていた。


続く。