何気ない日常に、ぽっかりと大きな口を開けた狂気の裂け目…
その時、わたしは、忍び寄る黒い気配にまだ気づくこともなく、平穏な日々を送っていたのでした…
そう、わたしは庭先に小鳥たちを呼ぶための小さな餌場を設けたのです。
それは、重苦しい重圧に押しつぶされそうな日常を一瞬でも忘れることができればという、ほんの軽い気持ちからでした。
そこには、シジュウカラ、セキレイ、メジロといった、都会ではあまり見ることのできない、小さな妖精たちが訪れてくれました…
それが、まさかこんな恐ろしい結果を生むことになるとは…
(みなさん、ちゃんと読んでます? 適当にクリクリしてません?)
わたしは、そんな彼女たちが(ここでは、あえて、彼女たちと言いましょう)、仲睦まじく餌を頬張る姿を、まるで小さな幼子のような気がして、いつまでも飽きることなく眺めていたのでした。
ひとしきり彼女たちの姿を心に刻んだわたしにとっては、休みが終わってからというもの、仕事へ出かける夜明け前の暗いうちに餌場を掃除することが日課となったのです。
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それは、昨日のことでした。
前日に補充したはずの餌箱が、空っぽになっていました。
「まあ、ずいぶん、お腹がすいてたのね!」(って、なんで女言葉?)
たいして気に留めるでもなく、わたしは餌を補充し、みかんとリンゴを奮発して餌箱の横に置いてあげたのでした。
今朝…
餌箱は、またからっぽでした…
たしかに、置いたはずのみかんとリンゴもありません。
わたしは、そのとき初めて、背筋に冷たいものが流れるのを感じました。
「なにかが…、 いる…」
ここは郊外の住宅地、
慌てて辺りを見渡すも、まだ人々が目覚める前の凍てつく静かな、そして黒い世界…
「いったい、何が起きているの!?」(だから、なんで女言葉?)
パラノーマル・アクティビティ、はたまたブレアウィッチ・プロジェクトのごとく、
わたしに万が一のことが起こったとしても、事実は記録しておかねばなりません!!
そう、明日、衝撃の真相を明らかにしなければいけないのです!!
(適当につづく…)
(だから、黒いって言えば、あれじゃないの?)