六蔵です。「誰も知らない歴史」で六蔵爺やを演ずる役者です。
文学座の草創期の1949年に「麦の会」から合流した加藤道夫。その年に「挿話(エピソオド)」が長岡輝子の演出で上演されました。それから74年後の2023年、文学座3月アトリエの会で「挿話」が再演されました。
時は1945年、8月20日と推定される日。
所は南海の果てのヤペロ島と称するパプア族の住む島。
作者の加藤道夫は実際にその島で終戦を迎えました。その頃その島には12名の日本人が生きていたとのこと。これは終戦がもたらしたほんの小さなひとつのエピソオドであります、と物語が始まります。
演出の的早孝起さんがこの幻想世界を現代に蘇らせてくれました。
その的早さんがプラチナネクストのために選んでくれた加藤道夫の三作品。作者本人が亡くなられてから70年の歳月を経て、我々の力で蘇らせるため、日々の稽古に励んでおります。いよいよ上演まで1ヶ月を切りました。6月1日から稽古場も水天宮から西新宿に移し、小道具、衣装なども徐々に揃えて参ります。
さて昨日は「誰も知らない歴史」の抜き稽古。的早さんが今週は文学座研修生による発表会(こちらも加藤道夫作品)でご多忙につき、演出助手のみっちゃん先生(石田迪子さん)が代役で稽古をつけてくださいます。みっちゃん先生は「ダメ出し」とは言わず、女優として「提案」をされるのですね。なかなかに参考になります。写真は婆や役の大林さんが提案を受けている場面。
(文責:六蔵)