今日は自分を褒めてあげたい。

仕事終わりに三軒茶屋駅周辺を歩いたのだが、
飲み屋に足が向かうこともなく真っ直ぐに家に帰ってきた。

心の中で「1杯だけなら…」という悪魔の囁きが何度も聞こえたが、
そこは念仏のように九九を唱えて心を無にして対応。
あとは爆音でももクロを聞いて二重に誘惑をカットした。

でも本当は…めちゃめちゃ飲みたい!!
最近は特にストレス溜まることばかりだから本当に飲みたい。

あろうことか大きな編集案件の締切日が3日連続続いており、
しかもそれぞれめっちゃプレッシャーをかけられており、
レンダリングや書き出し時間を考えると本当に時間がないから
毎日頭と心が殺伐としている。

正直人混みで足を踏まれたら「死ね!」と面と向かって悪態をつけるくらいだ。

仕事が色々と落ち着いたら楽しくて美味しいお酒を体中で味わいたい。


だが先日、そんな自分をほんの一瞬だけ癒してくれる出来事があった。
友達に連れられて音大の学園祭に行ったのである。

行ってみて分かったのだが男も女も皆清楚で気品がある人ばかりであった。
それは生徒だけでなく来場している人もほとんどが上品な雰囲気。
徹夜明けで風呂にも入ってない自分にはとても場違いな空間であった。

そして件の出来事はオペラを聴いて適当に屋台を見て帰ろうとした時に起こったのである。
僕が屋台のそばで揚げパンが出来上がるのを待っていたら、

「あっ!すみません!」

背中にぶつかる衝撃とともに女の子の声が聞こえた。
僕も何の気なしに振り返って詫びの言葉でも言おうかと思った瞬間、息が止まった。

目の前にパンダの着ぐるみを着た「THE・清楚」なめちゃめちゃ可愛い子が
申し訳なさそうに立っていたのである。

恐らく別の屋台で呼び込みをしていた子なのだろう。
手には何やらカラフルなボードのような物を持っていた。

もし自分が妻夫木みたいな爽やか青年で、
お互いのどっちかがカルピスウォーターかキットカットを持っていたら
確実に付き合ってたパターンであろう。

しかしこっちは風呂入ってないヒゲ面の徹夜明け男である。
負け犬みたいに「あ、いえ」とクールに気取ってそのまま友達と立ち去ってしまった。

あとで友達に「脚本家だとか何とか言ってアピールすればよかったのに」と言われたが、
そんなアイディアすら頭に浮かばないくらいめちゃめちゃ可愛い子だった。

しかもパンダの着ぐるみっていうのがね、またいいわけですよ。
そして音大生ってことは何かしらの音楽的才能があるわけで…
それもまたいいわけなんですよ。

下半期で1番後悔した出来事だったけど
今の自分にとって心の清涼剤になるような素晴らしい出来事でもあった。


さあふわふわした気持ちもここまでにして
これからスクールレッスンの脚本を書かないといけない。

短い台本だけど生徒さんにとっては大事なホンだから一生懸命書こう。

頑張るぞ!