「クラゲの海に浮かぶ舟」北野勇作
★★★★☆
先日、久しぶりに読み返した北野勇作のデビュー作「昔、火星のあった場所」に引き続きこちらの小説も再読してみました。
前に読んだのがもう思い出せないくらい前なんで10年以上ぶりなんですけど、断片的に内容を覚えていました。
今回久しぶりに読んでいろいろと感じましたが、やはり内容を理解したか?と聞かれると
全く理解してません
と言うしかないです。
でも、とても面白かったです。
この物語は特に「記憶」というのが重要なテーマになっているような気がしました。
自分という存在は記憶によって担保されているというような印象。
記憶がなければ自分が誰だかわからない。逆に言うと昨日生まれた人に10年分の記憶を与えればその人は自分が10年生きていると思うでしょう。
それほど、存在というのはあいまいで、記憶とういうのもまたあいまいなものなんだなぁ、と。
北野勇作の小説のあらすじで紹介するのは本当に難しです。
なので、今回もあらすじを紹介するのはあきらめました。
SF小説でありながらもどこかノスタルジックな雰囲気が漂っていて、現実の世界と虚構の世界が複雑に入り組んでいるのが北野勇作の書く物語の特徴のような気がします。
とは言え、彼の小説は「昔、火星のあった場所」とこの「クラゲの海に浮かぶ舟」の2冊しか読んだことがないでの、この2冊を読んだ印象ですが。
今回改めて読んで自分が今まで読んできたいろいろなものの要素をそこかしこに感じました。
例えば、物語全体はなんとなく村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」にちょっと似てる気がしたんです。
具体的にここが似てる!って部分があるわけでないんですけど、感覚的に近い気がしました。
この小説を読みながら、何度も「世界の終わり~」の様々な場面を思い出したからです。
主人公の青年とその彼女が、記憶を取り戻すためにダイヤモンドリングと呼ばれる街へ向かうシーンなんかが特にそう感じました。
記憶が重要な物語というところもちょっと近い感じがしたんですよね。
他に思い出した作品といえば諸星大二郎の「生物都市」です。
これは、人間と金属なんかがドロドロに溶けあう物語なんですけど、これに似た印象のシーンが何度か登場します。
記憶の中にある、幼馴染の機一郎が自分の部屋と融合してしまっているシーンなんかは
「あぁ、生物都市だ~」
なんて思いました。
それから、ポール・オースターの「偶然の音楽」も思い出しました。
これは、主人公がダイヤモンドリングという都市のミニチュアと作るみたいなことになったときに思いだしました。
別に、これらが元ネタになってるってわけではないと思いますが、自分の好きな要素がたくさん詰まってる小説だなって思ったんです。
物語の終盤に現実の世界である神戸三宮が登場します。
ダイヤモンドリングはポートアイランドだった。みたいな。
ポーアイが。。。。
「ポートピア連続殺人事件」
ってゲームが昔ありましたね。
北野勇作は兵庫県出身ということで、納得です。
兵庫県って結構偉大な作家を生んでますよね。村上春樹も兵庫じゃなかったですか?って今調べてみたら、生まれたのは京都みたいですね。でも、育ったのは兵庫だからもう兵庫でいいと思いますw
とにくかく北野勇作の小説は不思議な魅力があります。
読んで損なしの作家です。
この小説も絶版になっているようですが、Amazonなんかで中古で出てますので、気になった方は読んでみてください。
「昔、火星のあった場所」から読むのがおすすめです。
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