読書「三人の乙女たち」フランシス・ジャム | 渋谷宙希のブログ

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「三人の乙女たち」フランシス・ジャム
★★★★☆




少女をテーマにした映画や小説が好きです。


この小説はフランンスの詩人フランシス・ジャムによる小説で、3人の少女を主人公とした短編をまとめたもので、それぞれ独立した物語になっているんですが、少しづつつながっています。


最初に収録されている「クララ・デレブーズ」は1899年に、「アルマイード・デートルモン」は1901年に、「ポム・ダニス」が1904年にそれぞれ発表されました。


ジャムの詩はちゃんと読んだことないんですけど、どうやら自然を賛美する繊細な詩なんだそうです。


同じようにジャムは少女も賛美しているのですが、これはどちらも純粋な存在として愛していたのではないかと思われます。


本の冒頭に


「乙女たちに愛されて死ぬための祈り」


という詩があるのですが、これなんかを読むとジャムの少女への愛情のようなものがひしひしと伝わってきます。


なんとなく、「不思議の国のアリス」のルイス・キャロルのような視点なのかな?っと思ったりしました。





「クララ・デレブーズ -または昔の乙女の物語-」

信仰心が強く、清らかな心を持った16歳の少女クララは部屋に飾ってある叔父とその婚約者ローラに密かな憧れを抱いていた。
クララは、ローラの死の真相を知るため叔父の手紙を盗み見てしまう。そこには、妊娠してしまったローラが、自ら命を絶ったと書かれていた。手紙を読んでショックを受けたクララだったが純粋なクララは手紙の内容と現在の自分を照らし合わせ恐ろしい想像に取りつかれてしまう・・・・



「アルマイード・デートルモン -または情熱の乙女の物語-」

25歳のアルマイードは自らの孤独な運命を嘆いていた。友人からやってくる結婚を知らせる手紙を見て落ち込む日々。
ある日、牧童の少年プチ=ギレムと恋に落ちる。しかし、プチ=ギレムは観光客の案内中の事故で死んでしまう。死の知らせを聞いたアルマイードはひどい衝撃を受けるが、同時にもう一つ衝撃の事実を知ってしまう・・・・・



「ポム・ダニス -または身体の不自由な乙女の物語-」
美しいが足の不自由な17歳の少女ポムは友人のリュスにジョアネスという青年を愛していると告白される。ポムのジョアネスを愛していたが、リュスには自分は愛していないと伝える。
しかし、ジョアネスはポムに愛の告白をする。告白を受けたポムは「ジョアネスが自分に愛を告げたのは足が不自由だから、その哀れみからだ」と感じてしまう。結局、ジョアネスはリュスと結婚し、悲しみに暮れるポムは修道院に入る決意をする・・・・・




といった内容の3つ物語です。


とにかく3人とも純粋過ぎて、かわいそうなことになってしまう物語なんですが、作者のジャムがいか少女の純粋性を愛していたかがうかがえる物語でした。


特に「クララ・デレブーズ」は、純粋過ぎたことで、悲劇な結末を迎えます。


クララが叔父とローラのことを考えて、反省するシーンがあります。


わたしはいけない考えを起こしました!



と、深く反省しているんですけど、その内容が


2人が婚約しているとき、ロールさんはおじさまの膝の上に坐ったのかしら・・・・・



というものです。


膝の上に坐ったのかしら?


って想像するだけで、わたしは悪いことを考えました!と嘆いているんです。


ここまで来ると純粋で無垢であることは、ある意味恐ろしいな、と思います。



服を着替えるときや、入浴中も自分の身体を見てはいけないと考えるような娘なんですよね。なんだいけなのか謎すぎるんですけど、日本にはあまり宗教的な考えが少ないからでしょうか?


この辺りの純粋過ぎるという伏線がいくつもあり、最終的にはその純粋さゆえの悲劇につながっていくという構成が凄いですね。


この小説をすすめてくれた友達は、男性が書いたとは思えないほど乙女チックな内容。と言っていたんですが、この小説はまさに男性が神聖視する乙女そのものが描かれているのではないか?って思いました。


作者のジャムが考える、清らかな乙女を物語にしたのではないかな、って感じです。



少女の清らかが部分を描いたとても良い小説なんですが、それだけではなく、詩人が書いた小説ということで、詩的な表現がとても美しい文章になっています。


どのページを読んでも、美しさがあり、この辺りは本当にこの小説の見どころなのではないかんと思いました。


特に好きだったのが「ポム・ダニス」の中でハートの形をした植物に関する想像をするシーン。


ヴァン・チーゲムという偉い植物学者は、これらの植物はたぶん月から来たもので、流れ星によって地球に運ばれてきた、と考えているそうだ。それじゃあ、この草はきっとはるかかなたの姉妹たちの夢を見ているだろう。夜になると見えるあの月の大陸の、「危難の海」とか「悲しみの入江」の岸辺に姉妹はいるのだろう・・・・・月の少女たちはどんなひとかしら?・・・・・きっと顔色は青白いんだろう。婚約者たちと「地球の光」を浴びながら散歩するのかしら?少女たちって、本当にいるのかしら?・・・・・月にも、恋してもらえない身体のわるい少女がいるのかしら?



ここは凄くいいですね。


植物も愛していたジャムの植物の幻想的な解釈と、少女の純粋な想像が美しいです。



少女の清らかさ、純粋さを描いた良い小説でした気になった方はぜひとも読んでみてください。





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