読書「三つ首塔」横溝正史 | 渋谷宙希のブログ

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「三つ首塔」横溝正史
★★★☆☆




1955年に横溝正史は発表した探偵金田一耕助シリーズの1作。


この作品は主人公である宮本音禰の手記という形式をとっていて、常に音禰の一人称で物語が進むので、探偵金田一耕助の出番がほとんどないのが面白かったです。



「八つ墓村」も同じような形式だったんですけど、手記を書いている主人公の知らないところで金田一が活躍して、いつの間にか事件が解決しているというもの。


この作品は他の金田一シリーズの探偵小説に比べるとなんとなくアングラなテイストが強いような気がしました。



登場人物のほとんどが変態か悪人なんですよね。


主人公の音禰なんかもなかなかにヤバイ感じでした。


まだまともな描かれ方をしているんですけど、本人の手記なんではたからみたらかなりイタいお嬢さんだな、って思いますよ。




13歳で両親を亡くし、某私立大学の文学部長である上杉誠也に引き取られ、清く、正しく、美しく育てられる。


ある日、音禰はとう遠縁にあたる佐竹玄蔵という老人から100億円に近い遺産を譲り受けることができることを知る。


しかし、それには条件があり高頭俊作という男と結婚することだった。


遺産相続のことを知ってから1カ月後。


上杉の還暦祝いの夜に連続殺人が起きる。


被害者の1人は音禰と結婚する予定だった高頭俊作だった。


俊作の死により、音禰は俊作と結婚することができなくなり、玄蔵老人の遺産分配に変更が生じる。


それは、玄蔵老人の血を引く7人の人物で公平に分配するというものだった。


しかし、それは7人のうち1人が死ねば、残りの人物への分配が増えるといいことを意味していた。


その日から、100億円に近い遺産を巡るバトルが始まる。


音禰は高頭俊作の従兄弟、高頭五郎と共にそのバトルに巻き込まれていくが・・・・・・




といった感じの内容です。


そりゃあね。そんれだけ莫大な遺産をそんな方法で分配したらね、そうなりますわな。


この遺産でもめるというのは「犬神家の一族」なんかもそうだったような気がします。


うる覚えですが。


この小説は最初にも書きましたが金田一耕助がほとんど出てきません。


それが面白いんですよね。


個人的に金田一シリーズの中でも「八つ墓村」は特に好きな作品なんですけど、それも金田一がそんなに出てこないというのがポイントなんじゃないかな、と思っています。


遺産の分配の話が出る前にすでに3人殺されていてですね。この遺産の話があるんですよ。


どう考えても生きている人は殺される可能性があると思うんですけど、みんな結構のんきに暮らしているんですよね。



名探偵の金田一耕助も死が出るまでは動かないのか、動けないのかって感じで次々と殺されていきます。


このもう少し早い段階で防げなかったものかなぁ?って単純に思いました。



捜査側の警察や金田一の動きが全くわからないまま物語が進行していくのは、物語の中に入ったようで面白いんですよね。


なので、この手の探偵小説は面白いです。


探偵ほとんど出てこないので探偵小説といっていいのか謎ですが。


主人公の音禰は清く正しいお嬢様だったんですけど、高頭五郎に処女を奪われるんですよ。


完全に強姦なんですけど、その後の展開で


実は高頭五郎がそんなに悪党ではなかった


みたいなことになるんですよね。


いやいや、あんた最悪だったじゃん!



って誰もが突っ込みをいれてくなるでしょう。


まぁ、被害者の音禰が五郎に惚れてしまうので、別に悪いことではなかったってことでしょうかね?


卵が先か鶏が先か・・・・・


みたいな?


遺産を巡るバトルに参加している登場人物も全員クセが強くて、変態性欲の持ち主やら、極悪人やら様々でこの辺はエンターテイメントとしてとても楽しめました。


でも、個人的には金田一の探偵小説といえば田舎のおどろおどろしい雰囲気の中で起こる奇々怪々な連続殺人事件が好きかな、って思いました。


なので「八つ墓村」は最高なんですよ。


「三つ首」とか「八つ墓」とかタイトルがいいですよね。


気になった方はぜひ読んでみてください。






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