「人魚の嘆き・魔術師」谷崎潤一郎
★★★☆☆
久しぶりに谷崎潤一郎を読みました。
今まで読んだ中でもっとも幻想的な小説でした。
ちょっとアングラな空気も漂っていて、江戸川乱歩や横溝正史が谷崎の大ファンだったってのが凄くよく理解できる1冊。
まず、装丁がいいですよねこの本。
一見
ビアズリーかな?
って思えるイラストですが、実は水島爾保布(みずしまにおう)という方。
表紙だけではなく、作中に何度も挿絵が入っていてその挿絵も含めてとても幻想的な雰囲気を創り出している本でした。
「人魚の嘆き」
財力もあり、美貌も備えているが、全てのことに退屈している貴公子。
ある日、貴公子の元へ人魚を売りに西洋人がやって来る。
なにもかもに退屈していた貴公子はすぐさま人魚にくいつくが、西洋人は人魚を飼うと不幸になるとの言い伝えを伝える。
しかし、人魚の美しさに魅了された貴公子は西洋人の言い値で人魚を購入するが・・・・・
人魚を飼うと不幸になるとわかっていながらも、その美しさに購うことができずに、人魚と一緒なら破滅しても構わないという主人公がどこか作者である谷崎潤一郎と重なる部分がある気がしました。
川端康成や三島由紀夫と同様に谷崎潤一郎も美というものにとても執着を抱いている作家だというイメージがあります。
自分も少しそういう部分があるので、なんだか共感できる気がするんで、谷崎の作品は凄く好きなんですよね。
さらに、この小説は幻想的な物語で、実際にはありえない設定のお話です。
この幻想的というのは自分の中ではキーワードになっていまして、映画にしても音楽にしても幻想的なものに凄く惹かれる傾向があるのですよ。
ただですね、谷崎の代表的な小説である「痴人の愛」や「細雪」などに比べると奥深さがちょっとない感じがしました。
凄く好きな設定だし、内容も面白かったんですけど、どうも薄いという印象を受けたんですよ。
しかしながら、谷崎潤一郎らしい美しい文章はさすがに素晴らしいの一言です。
この人の文章は凄く美しくて、とっても文学的なのに、凄く読みやすいんですよね。
それが凄いと思います。
難解になりがちな文学作品でも、谷崎の手にかかれば普通に楽しめるのに、ちゃんと文学になってる感じが凄いなって思うんですよ。
一緒に収録されている「魔術師」も基本的な構造は「人魚の嘆き」と同じで、美しさの魅せられた人間が破滅へ向かっていく物語です。
この美しさへの少々異常ともいえる執着が谷崎作品には全ての作品に漂っているので、その雰囲気が凄く好きなんだと思います。
まだ読んでいない谷崎作品があるので、他の作品もとりあえず一通りよんでみたいと思いました。
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