読書「自虐の詩」業田良家 | 渋谷宙希のブログ

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「自虐の詩」業田良家
★★★★☆




1985年から1990年にかけて「週刊宝石」にて連載された4コマ漫画。


当初は、様々な不幸な人をネタにしたオムニバス形式の4コマギャグだったが、その中でも人気があった「幸江とイサオ」という二人の男女を扱ったもものが中心になっていったそうです。


今回読んだのは、竹書房から出ている文庫版で最初から「幸江とイサオ」の漫画のみで構成された上下巻2冊にまとめられたもの。


この漫画前々から気にはなっていたんですが、なかなか読もうって気にならずに今日まできてしまった本なんです。


とにかく、絵がなんか古臭いし、4コマ漫画をまとめて読むのって結構大変な作業なので、見過ごしてきました。


元々気になるきっかけになったのが


BSマンガ夜話


という番組で大絶賛されていたのを見てからですからもうずいぶん昔の話です。


番組でこの漫画を取り上げたのが2004年だからもう10年以上前になるのですよ。


この「BSマンガ夜話」という番組は第1回目の「童夢」(大友克洋)からほとんど欠かさず見ていたほど大好きな番組だったのですが、この番組から自分の知らない様々な漫画との出会いがあったもんです。


最近はめっきり漫画を読まなくなってしまいましたが、この頃はまだちょこちょこ漫画を読んでいたので、番組で取り上げられた作品をチェックして参考にしていました。


漫画の内容なんですけど、最初はいわいる4コマギャグです。


仕事もしないで、女に金をたかる最低男のイサオと、そんなイサオをなぜか愛している幸江の不幸な日々を描いたもので、基本構造はラストの4コマ目でイサオがちゃぶ台をひっ切り返す。というもの。


取り立てておもしろい4コマ漫画ではないんですけど、これがじょじょに2人の過去。特に幸江の過去が回想されていく辺りから、どんどんストーリー性が増していき、ラストには巨大な感動と人生を考えさせられる哲学的な内容にまで発展していきます。


このどんどんと加速していく過程がもう凄い。


勢いが止まらないといった感じで物語に厚みが出てくるのです。


特に、幸江が学生時代最も親しくしていた友人の熊本さんが登場してからの盛り上がり方が凄いんです。


家が貧乏で、中学生ながら新聞配達や内職の仕事をしている幸江。


学校では給食費が払えず、後ろめたい気持ちの幸江。


同じような境遇の熊本さんとはなんだか気が合うのです。


最初はお互いに


こいつよりはマシだ


って思ってるような感じなんだけど、じょじょに友情が深まっていくんですよ。


ふとした時に囁く熊本さんのセリフが泣けるんです。


クラスのマドンナ的存在の藤沢さんは家もお金持ちで、頭も良くて、運動神経も抜群、容姿もかわいく、しかも、性格も凄くいい。


そんな藤沢さんに憧れる幸江。


「生まれかわれるなら藤沢さんになりたかったわ」



と願望を口にする幸江に対し


「バカだね。あんたにはあんたのいいとこがあるのにさ」


と囁く熊本さん


「今なにか言った?」


と幸江が聞いても


「別にぃ」


と言って去っていく熊本さんが本当にカッコ良くて泣けるんですよ。


人生にある幸や不幸を超越して、自分なりの幸せを見つけて行く過程は誰が読んでも様々なことを感じることは間違いありません。



知らなかったんですけど、この漫画って映画化されてるんですね。


ちょっと気になるので観てみようかな。



とりあえず、時間のある方はぜひこの「BSマンガ夜話」の「自虐の詩」の回を見ていただきたい。


これ見たら絶対に読みたくなりますよ。


BSマンガ夜話「自虐の詩」











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