「漂砂のうたう」木内昇
★★★★☆
2011年に第144回直木賞を受賞した作品です。
直木賞といえばエンタメ系の小説のイメージがあるんですけど、この小説はどちらかといえば純文学的な美しくて、上手な文章が印象的な小説でした。
普段あまり時代小説は読まないんで、この小説をなぜ「読みたい本リスト」に入れていたのかよく覚えていないんですけど、これは読んで良かったと思える小説でした。
明治維新の激動の時代を、表に立って戦った人々ではなく、時代とは関係ない谷底から見た作品で、その視点が凄くおもしろかったです。
遊郭で働く定九郎は武家出身ということを隠し、農民の出だと偽って働いている。
遊郭を仕切っているのは定九郎より1つ年上の龍造という男。
龍造は仕事は凄くできるが、その厳しい性格から周りからは少々煙たがられている。
遊郭によく顔を見せるポン太という噺家の弟子はどこか不思議な雰囲気を漂わせている。
遊郭の人気ナンバー1である花魁の小野菊は見た目も非常に美しく、頭も凄くいい。
ある日、定九郎が賭博場へ行くと、昔の知り合いと出食わす。
その男と少しずつ関係を深めて行くと、その男から定九郎の遊郭にいる花魁小野菊を引き抜きたいから協力してくれ、と頼まれるが・・・・・・
といった感じの内容なんですけど、この小説はストーリーを楽しむものではないかな、と思います。
まず、重要な人物として主人公の定九郎意外にポン太と花魁の小野菊がいます。
この2人がなんとも不思議な雰囲気を漂わせています。
ポン太が初めて登場するシーンでは、首が無い状態で登場するので
これは、怪談小説なのかな?
って思いました。
では、登場したポン太が
「月明かりの加減でそう見えるんですよ」
ってな説明をするんです。
そして、このポン太って男の師匠である噺家の噺と、物語がじょじょにリンクしていくのが凄くおもしろくて、なにが幻想でなにが現実なのか境界線がはっきりしなくなっていきます。
そして、この小説は社会の底辺にいる人間の視点で革命を描いているところがおもしろいなぁ、と思います。
谷底から見上げる維新。
自分も社会の底辺を這いつくばっているような人間なので、凄く暗い小説なんですけど共感できる部分もあったりして。
自由という新しい言葉で出来るが、自由というのはすなわち死んじゃうことだ。
みたいな解釈とか。
この谷底からは抜け出せない。抜け出せたと思ったら別の谷底に行ってるだけだ。
みたいなのとか。
最初から最後まで暗い。
希望が一瞬見え隠れもするんだけど、やはり物語全体としては希望がない。
そこがリアルで好きでした。
気になった方は是非読んでみてください。
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