「ポオ小説全集2」エドガー・アラン・ポオ
★★☆☆☆
ポオの小説全集第2巻です。(第1巻の感想はこちら)
この第2巻にはポオ最大の長編である「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」が収められています。
正直言ってこれが物凄く読むのに時間がかかりました。
ここ最近本を読むペースがガクンと落ちたのはこの本のせいです。
とにかく、壮大な冒険譚でした。
どうやら、元祖SF的な作品でジュール・ヴェルヌやH.Gウェルズにも影響を与えたとかなんとか。
ポオってミステリーや幻想小説のイメージがあったんですけど、こんな冒険ものしかもSFのような作品も書いていたんですね。
しかも、その後にかなりのインパクトを与えているような作品を。
主人公のピムは友人であるオーガスタスが船長をしている父親と一緒に帆船に乗船すると聞き、自分もこっそり連れて行ってもらうことに。
船にある倉庫の中に隠れて乗船したピム。
しばらくは、食糧も大量にあって快適に過ごしていたが、ある日オーガスタスから「隠れてないと命に関わるぞ」というメモが届けられる。
実は船内では、船員たちが反乱を起こし船は乗っ取られていた。
大半の船員は反乱した船員に殺されてしまい、残りは数名になっていたのだ。
しかし、そのピンチをなんとか切り抜け、オーガスタスとピムの他に2名の生存者を残して今度は漂流生活が始まる。
食糧が尽き、誰かを殺して食糧にしよう。という案も出るが・・・・・
とまぁ、こんな感じのストーリーです。
子供心をくすぐる内容なんですけど、やはりポオならではの幻想的と言いましょうか、ホラー的と言いましょうか、なかなか恐ろしい光景が出てきたりもします。
この小説の中で一番印象に残っているのが、漂流している時に近づいてきた船に助けを求めて必至で叫んでいたら、その船の乗組員を全員死んでいて、大量の死体を乗せた幽霊船が海を漂っている。
というシーン。
このシーンは、さすがポオ!って思いました。
この船の描写や死体の描写がとにかくホラーなんですよ。
怖いとかグロテスクとかいうのではなくて、どこか幻想的で、おどろおどろしいのです。
物語の後半には南極を目指すことになるんですけど、この小説が書かれた当時はまだ南極は未開の地だったようで、南極に住む生物もかなり特殊な描かれ方がしています。
南極に住む生物の鳴き声が
ケテリ・リ!
なんですよね。
おや、この鳴き声なんか聞いたことあるぞ。
って思ったら、これ「クトゥルフ神話」ですよね。
ここが元ネタだったのね。と感心してしまいました。
ちなみに、個人的には諸星大二郎の「栞と紙魚子の生首事件」(感想はこちら)に登場するクトルーちゃんのほうが馴染みがあります。
小説自体がおもしろいか、おもしろくないかと聞かれたら
あまりおもしろくないよ
って答えちゃいますけど、後に残した影響を考えると凄い小説なんだなぁ、って思います。
ポオの小説全集はなぜか3がなくて4があるので、次読むとしたら4巻ですかねー。
しばらくポオはお腹いっぱいなので、少し先になると思いますが。
気になる方は読んでみてください。
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