「舞姫」川端康成
★★★★★
1950年12月から1951年3月まで朝日新聞にて連載されて連載小説。
川端康成の小説は「雪国」「伊豆の踊り子」などの有名な小説よりも、「みずうみ」や「眠れる美女」のような少しマイナー(?)な作品のほうが好きなものが多いです。
「舞姫」といえば森鴎外の小説が有名ですが、個人的には川端康成の「舞姫」のほうが好きでした。
ある一つの家族の崩壊を描いた小説。
元プリマドンアで現在はバレエ教室を営む波子は、結婚して20年経つが結婚前からの知り合いである竹原との親交を深めている。
娘の品子はこれからプリマドンナを目指す少女。
十代の頃に憧れていたバレエダンサー香山を忘れられないでいた。
息子の高男は父である矢木を尊敬しており、母を監視している。
波子の夫であり、品子たちの父である矢木は何を考えているか分からない。
バレリーナの波子と品子を中心に、家族の崩壊をゆるやかに、そして美しく描いた小説。
この小説で川端康成の文学的なモチーフとなる「魔界」というモチーフがはじめて登場する。
物語の中に登場する人物は全員がどこか不安定で、みな孤独な印象を受ける小説でした。
小説としての完成度はそんなに高くないのかもしれませんが(川端康成の他の作品に比べればの話)この不安定な感じが個人的には凄く好きでした。
夫と愛人竹原の間で不安や恐怖を感じる波子。
過去の淡い恋心を抱き続ける品子。
この2人のバレリーナ親子が物語の中心にいて、その周りもみんな不安定。
物語の中ではそんなに大きく扱われていないけれど、高男の友人である美少年松坂の存在感が凄い。
そして、本人は一度も登場しないけれど、物語の重要なポジションにいる品子の憧れの存在である香山。
波子の教室で助手をしているバレリーナ友子のエピソードも凄くいいです。
しかし、物語はあいまいなまま終わっていく、そのなんだか不安な空気感が表現されていて後の川端作品の闇の部分に通ていく感じがして面白かったです。
普通の不倫小説としても凄くおもしろいし、なによりも文章表現の美しさが素晴らしい。
この小説は成瀬巳喜男によって映画化されているようで、凄く見たいと思いました。
気になった方はぜひ読んでみてください。
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