ポアンカレ予想100年の格闘(前編) | 渋谷宙希のブログ

渋谷宙希のブログ

音楽、映画、写真、本。趣味のブログです。









みなさん、宇宙ってどんな形だと思います?


宇宙は無限で果てがない?
地球みたいに丸いのかな?
それとも、人間では想像もできないような奇妙奇天烈な形でしょうか?


この「宇宙の形」に迫る数学上の難問が最近証明されたことをご存じですか?



その問題は、100年間誰も解けなかった数学の超難問で、名前を


ポアンカレ予想


といいます。


この世紀の超難問を証明したのが、ロシアの数学者


グレゴリ・ペレリマン博士


世紀の超難問を解決したペレリマン博士に対し、数学界のノーベル賞といわれているフィールズ賞の受賞が決定しました。


しかし、ペレリマンは賞の受賞を拒否。受賞会場にも姿を現さず、数学界からも姿を消していたのです。


そして、この難問はアメリカのクレイ研究所によって発表された100万ドルの懸賞金がかかった問題でした。


問題を証明したペリルマンに懸賞金100万ドルか送られるとこになったが、ペリルマンはこれも拒否。


世紀の超難問を解決したペリルマンはなぜその栄誉を全て拒否したのでしょう?なぜ姿を消したのか?そして、世紀の難問ポアンカレ予想とは一体どんな問題なのか・・・・・?



それらの出来事を取材したドキュメンタリー番組をDVDにまとめたのが、今回紹介する


「ポアンカレ予想 100年の格闘 -数学者はキノコの夢を見る-」


です。


この番組は僕が数学に興味を抱くきっかけになった番組で、凄くおもしろかったのでDVDも購入しました。


そもそも、


100年間誰も解けなかった問題ってなんだ!?
なんで問題を解いた数学者は100万ドルの賞金を拒否したんだ!?



それらの疑問から番組を見て、番組の中で語られるポアンカレ予想という難問の内容や世紀の難問であるポアンカレ予想に挑み続けてきた数々の天才数学者たちの運命があまりにもおもしろくて、


自分の知っている数学とはまったく別の数学というものが存在するんだ!


ということを知るきっかけになりました。


先日、数学を題材にした小説「ペトロス伯父とゴールドバッハの予想」(くわしい感想はこちらを読み返して、久しぶりにDVDを見返してみました。やはり、とてもおもしろかったので感想を書いておきたいと思います。


まず、ポアンカレ予想とはどういう問題なのでしょう?


正直言って、かなり複雑な問題なので、学生時代数学の点数がもっとも悪かった私に問題の内容を完全に理解するのは不可能です。なので、番組の中で紹介していた解説をさせていただきます。


宇宙の形を知るにはどうすればいいか?


というのが発想の原点だそうです。例えば地球の形は丸い球体である。というのは今や常識で誰でも知っている事実ですよね?なぜ、それが事実とわかるのか、といえばスペースシャトルや人工衛星で人類は地球を外から眺めることができるようになりました。宇宙から見た地球は丸い球形をしていることが一目でわかります。


では、宇宙の形を知るには


宇宙の外に出なくては知ることはできないのか?


しかし、人類が宇宙の外に出るのはおそらく不可能でしょう。少なくとも現時点では完全に不可能です。


では、どうすれば宇宙の形を知ることができるのか?


そう考えたのが1854年生まれのフランス人数学者アンリ・ポアンカでした。


ポアンカレは数学だけではなく、物理学や哲学をマスターした天才で、レオナルド・ダ・ヴィンチやアイザック・ニュートンと並ぶ「知の巨人」と称えられている人物。


ポアンカレは宇宙の形というのは微分幾何学のような精密すぎる数学ではその形を知ることできない。


と考えるようになり、今までにない新しい数学の概念が必要だと考えます。


そこで、ポアンカレが考え出したのが


トポロジー(位相幾何学)


という数学の概念でした。


トポロジーの世界では、ものの形をかなりファジーにとらえます。



微分幾何学ではドーナッツを2つあったとしても、その大きさや微妙な形の違いで、まったく違う形とみなします。




この2つのドーナッツは微分幾何学ではまったく違う形になります。


しかし、トポロジーの世界ではドーナッツの大きさが違っていようが、形が違ってようが、同じ形とみなします。なので、上の写真の2つのドーナッツは同じ形です。


それどころか、上のドーナッツとこのマグカップは同じ形になるそうです。


ドーナッツとマグカップが同じ形!?


全然違うじゃないか!って思いますよね?ところがトポロジーの世界では同じ形になるんだって~。


実はトポロジーの世界では


穴の数


で形の分類をしているそうです。


つまり、ドーナッツもマグカップも1つ穴が空いているので同じ形。とみなします。


もし、ドーナッツに2つ穴が空いていたら、ドーナッツとマグカップは違う形になります。


このように、トポロジーというのは物の形の分類が非常にファジーでフワっとしてます。


これで、宇宙の形を知ろうじゃないか!


っていうのがポアンカレ予想なのです。


さて、ここまで読んでいただいた方はある程度この問題に興味を抱いていただいている方だと思います。


ちょっと長くなりましたが、ここからが本題です(すみません!長くて!)


では、このトポロジーを使ってどのように宇宙の形を知るのでしょうか?


ここからがポアンカレ予想の内容になってきます。


問題を数学的に表現するとこうです


「単連結な三次元閉多様体は、三次元球面と同相と言えるか」



はて?さて?


一体なにを言っているのか、さっぱりわけがわかりませんね。


僕も当然わかりません。


では、もっとわかりやすく説明しましょう。


ここからは、想像力がとても大事です。頭を柔らかくして読んでいただけると嬉しいです。


さて、今みなさんの手元には無限に伸び続けるロープがあります。


そして、宇宙を一周できるぐらいのめっちゃ早くて、めっちゃ凄い宇宙船があります。


まず無限ロープを地球上のどこかに縛りつけてください。絶対にほどけないように!とりあえず関西なら通天閣にでも縛っておきましょうか。関東なら東京タワー、いやスカイツリーかな?とりあえず、どこでもいいので縛りましたね?


次に、そのロープの縛っていない方の端を持って宇宙船に乗りこみます。


そして、宇宙船にロープのもう片方をしっかり縛っておきましょう。すると、宇宙船と地球に縛ったロープが繋がってる状態になりますね?


では、宇宙旅行に出発です。宇宙船にはあらかじめ宇宙一周するようにプログラムされています。スタートボタンを押すだけで宇宙一周できちゃいます。


宇宙へ飛び立つと、ロープはどんどんと伸びて行きます。


なにせ無限に伸びるロープです。途中で切れることもありません。


凄い宇宙船のおかげで、あっという間に宇宙一周旅行をしたあなたは、無事地球に戻ってきました。


出発地点と同じ場所に戻ってきたあなたは、宇宙船に縛りつけたロープを外し、地球に縛ったロープも外しましょう。


すると、あなたの手元にもロープの両端があるはずです。


そして、そのロープは宇宙を一周しているはずですよね?

さて、次は手元にあるロープの両端を引っ張りましょう。


すると、宇宙に張り巡らしているロープが回収されていきます。


どんどん引っ張って、最終的にロープが全て回収できたとしたら、宇宙の形はだいたい丸いのではないか?



というのが、ポアンカレ予想なんです。


例えば、もし宇宙がドーナッツみたいな形をしていたらどうなります?


途中で穴に引っかかってロープは回収できませんねよ?


これを証明せよ。というのが数々の天才数学者を悩ませ続けた世紀の難問であるポアンカレ予想という問題なのです!


なんとファンタジックな数学なんでしょう!


宇宙の形を知ろうだなんて、ロマンチック過ぎます!


僕の知っている二次方程式を解いたり、立体の体積を計算する数学とは全く違った数学の世界がここにはありました。


このポアンカレ予想という問題を知り、僕の数学に対する興味がいっきに湧いてきたのでした。


さて、ここから先はポアンカレ予想と数々の天才数学者たちの戦いの歴史、そして、この世紀の難問を解決したペリルマンについて書きたいんですけど、もう今の時点でかなり長くなってしまったので、この続きはまた次回にしておきます。


では、次回をお楽しみに!これからが面白くなってきますので!!



「ポアンカレ予想年の格闘(後半)」はこちら



こちら↓(画像をクリックで移動します)のサイトで、写真、イラスト、DJなどの作品を公開しております☆よ かったら遊びに来てくださ♪