読書「ノルウェイの森(上)(下)」村上春樹 | 渋谷宙希のブログ

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「ノルウェイの森」村上春樹
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毎月、村上春樹の小説を読み返しております。



今月は村上春樹の代表作と言ってもいい「ノルウェイの森」です。


個人的にもこの作品は初めて読んだ村上作品だったので思い入れも割と深い作品でした。


久しぶりに読み返したんですけど、かなり内容を覚えていたことに驚きました。


それほど、印象の強い作品だったんでしょう。


物語は37歳の主人公ワタナベがビートルズの”ノルウェイの森”を聴いて自らの青春時代を回想するところから始まる。


ワタナベは高校時代の親友キズキとその恋人直子と3人でよく遊んでいた。


直子とはそれほど親しいわけでもなかったが、なぜかいつも3人でいることが多かった。


ある日、ワタナベはキズキにビリヤードに誘われる、一緒にプレイしたその日、キズキは自殺した。


その後、ワタナベは東京の大学へ進学し、寮生活を送る。


東京で偶然直子に再会、それから毎週末2人で東京の街を散歩するという習慣ができる。そして、直子20歳の誕生日にワタナベと直子は関係を持つ。直子はキズキと長く付き合っていたのに処女だった。


その後、直子とは連絡が取れなくなり、傷つくワタナベ。


数ヵ月後、直子は京都の山奥にある療養所に入っていることがわかる。


その後、ワタナベはミドリという女の子と知り合い、中を深めていく。


一方、直子は精神の状態がじょじょに悪化し、ついに自らの命を絶ってしまう・・・・・





といった内容。


この物語には死者が異常なほど多い。


主人公の親友であるキズキ
ミドリの両親
直子の姉
そして、直子


このように死者が多いことこそが、この小説のテーマにと関係しているのではないかと思います。


そのテーマとは、


死は生の対局としてではなく、その一部として存在している。


というもの。この文書は小説の中で唯一太字で書かれてあるので、この文章がこの物語において最も重要な文章であるということがわかります。


この文章から、この物語には生の世界と死の世界の2つが同時に存在しているということが解釈できる気がします。


「生の世界」の象徴として存在するのがミドリという女性でしょう。


そして、「死の世界」の象徴として存在するのが直子です。


主人公はその両方を行き来しています。


京都の山奥にある療養所は異界の雰囲気が漂っています。


ここに住んでいる人々はどこか現実味がなく、幻のような存在に感じられます。


ミドリの属する世界にも死に繋がっている場所や人が登場しますが、ミドリの強さにより生の世界にとどまっているようにも見えます。


主人公はキズキが死んだことにより、生と死の狭間にいるようですが、


自分は生きることを選んだ


と宣言しているシーンがあります。


そして、本来は直子も生の世界に呼び戻したいと考えていたんですが、結局はそれは叶わず直子は死に、ミドリと生きていくことを選ぶ。


この小説の中で印象的なシーンは蛍のシーンでしょう。



寮のルームメイトである突撃隊から壜に入った蛍をもらいます。


主人公はその蛍を寮の屋上で放します。


このシーンは村上春樹の短編小説「蛍」でまったく同じシーンがあります。


とても幻想的で好きなシーンんです。


文章でいえば「死は生の対局としてではなく、その一部として存在している。」というのが重要なんですが、シーンとしてはこの蛍のシーンが重要なのではないかと思います。


蛍が消えてしまったあとでも、その光の軌跡は僕の中に長く留まっていた。目を閉じたぶ厚い闇の中を、そのささやかな淡い光は、まるで行き場を失った魂のように、いつまでもいつまでもさまよいつづけていた。



という描写がありますが、このシーンには生の世界と死の世界が同時に存在しているように感じます。


そして、直子の死を乗り越えた主人公は


死は生の対局にあるのではなく、我々の生のうちに潜んでいるのだ。


という結論に達します。


この物語は一見、暗い恋愛小説のように見えますが、実際は人間にとっての「死」について書かれた小説なのではないかと思いました。




























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