読書「天皇ごっこ」見沢知廉 | 渋谷宙希のブログ

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「天皇ごっこ」見沢知廉
★★★☆☆






日本の右翼活動家で作家の見沢知廉が獄中で執筆した少説。第25回新日本文学賞の佳作に選ばれた。

この見沢知廉という人自体がとてもおもしろい経歴の持ち主でして、そんなおもしろい人の書く小説なんだからおもしろいに決まってます。

(なかなかのイケメン↑)



中学のときは暴走族でブラックエンペラーなどの集会に参加していたらしい。

高校の頃に新左翼の活動家にオルグされ左翼活動を始める。

しかし、三島由紀夫の事件に感銘し右翼へ転向。

スパイ粛清事件を起こし逮捕。

懲役12年の判決を受ける。

そして、服役中にこの小説を執筆。

釈放後は作家として活動していたが、2005年9月7日自宅マンションから飛び降り自殺。享年46歳。



この小説の中では五つの章にわかれており、

第一章 刑務所
第二章 右翼
第三章 左翼
第四章 精神病院
第五章 北朝鮮


という非日常を掘り下げて描いている。

右翼も左翼も刑務所も経験している作者ならではの様々な角度の視点がとてもおもしろかった。

個人的には第四章がとてもおもしろかった。

一番小説らしくまとまっていた気がする。

第四章の主人公は精神病院に入院しているTは自らをメシアと称している人物で、医者との対話がメインになっている。


このTの理論では、人類を進歩させる選ばれた人間が歴史には登場し、その人物はなにをしても許される。

というもの。

この理論を聞くと思い出すのが

ドストエフスキーの「罪と罰」

です。

「罪と罰」の主人公であるラスコーリニコフの書いた論文も似たようなことを言ってます。

実際、Tは医者から

ラスコーリニコフをどう思う?

と聞かれ、こう答えています。

ドストエフスキーは否定してないでしょ。別にラスコーリニコフも反省したわけじゃないでしょう。多少つきあいがよくなったぐらいで。はっはは。そういう人間は必要なんですよ。いいですか、先生、もしラスコーリニコフが実在の人物で、半世紀送れて生まれてきたら、ロシア革命の英雄になってたと思いませんか?

作者の見沢知廉もドストエフスキーはかなり読み込んでいるらしく、このような発想が出てきたんでしょう。

かなりむちゃくちゃな理論のように見えますが、小説の中で展開するTの理論はなかなかおもしろくて、ちょっとだけ説得力もあります。

そして、医者から

君は、自分が病気だと思うかい?


と聞かれ、こう答えます。

でしょうね。天才即狂人だから。ロンブローゾやクレッチマーあたりは、芥川もわが意を得たりと引用してたでしょ、天才は狂人なりって

と、自分が病気であることを認め、だから自分は天才なんだ。というわけです。

頭がよすぎて、ズレてしまった人の話ですね。

かなり、おもしろかったです。

第五章では三島由紀夫の自決に関して、独自の解釈を行っており、とてもおもしろかった。

最近みた映画「新しい神様」(感想はこちら)に出演している雨宮処凛は見沢知廉の弟子らしいです。





















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