「イルポスティーノ」
★★★★☆
1994年のイタリア映画。
チリからイタリアの小さな島へ亡命してきた有名な詩人パブロ。
父と2人で素朴な生活を送っている青年マリオ。
島の男は漁師になるのがあたりまえなのだが、マリオは漁師にはなりたくない。
そこで、世界的に有名な詩人であるパブロも元へ毎日大量に届く郵便物を配達する配達人として働き出す。
パブロと毎日少しづつ会話を交わすことによって生まれる友情。
次第に、マリオは詩に興味を抱くようになり、パブロに詩のことを教わる。
そんなある日、食堂で働く美しい女性ベアトリーチェに恋をするマリオ。
彼女のために詩を書こうとする。
と、まぁこんな感じの物語。
この映画を観るのは今回で3度目。
イタリア映画独特ののんびりした雰囲気と、リアルな脚本がとても心地よくて、のんびりしずぎてて時々ちょっと眠たくなうようなシーンもあります。
島での素朴な生活や、美しい情景、素朴な人々の様子などは、ストーリーがなくても成立するぐらい重要な要素となっています。
パブロの逮捕命令は解除され、パブロは祖国へ帰っていく。
マリオはマリオに届けるために島の様々な音を集めて録音していく。島の美しいイメージを収集するのだ。
とにかくこのシーンが美しい。
ラストはとても切ない終わり方をするのですが、とにかく涙なしでは見ることはできません。
というのも、この映画に主演しているイタリアの喜劇俳優M・トロイージは、病に蝕まれた体で撮影をしていました。
そして、撮影が終了した数時間後に息を引き取りました。
これはもはや撮影中は気力で生きていたとしけ思えません。
全ての撮影が終わるまではなんとしても死ねない。
そういう強い意志があったのでしょう。
しかし、人間には不思議な力があるのだなぁ、とつくづく感じます。
もちろん、このようなエピソードがなくても、この映画は素晴らしい映画であることは間違いありません。
しかし、1人の人間の奇跡が残された貴重な作品であることも間違いないと思います。
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