皆さんこんにちはリオンです。

これまでサイバーパンクREDについて書いてきましたが今回は映画の話です。

私、SFが大好きで、結構いろいろな小説、映画を見ています。最近面白い作品がないかなと思い探しているところに、強烈な映画が公開されました。

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』という映画、みなさんご存じでしょうか?

ブレードランナー2049のK、バービーのケン役で有名な俳優のライアン・ゴズリングが監督も務め、宇宙で奮闘する高校教師役を演じていることでも話題になっているの現在公開中の大作SF映画です。

今回は『プロジェクト・ヘイルメアリ―』についてどういう作品なのかという紹介とSFというジャンルについて。その中でも本作のような特に科学的検証に元づいた設定を重視する『ハードSF』と科学技術の影響による社会的影響を描く『ソフトSF』という2つのジャンルについてちょっと書いてみたいと思います。

 

というわけでまずは『プロジェクト・ヘイル・メアリー』予告編をどうぞ。

 

 

『プロジェクト・ヘイル・メアリ―』のあらすじ

プロジェクト・ヘイル・メアリーとはどのような映画なのか、すこしネタバレになってしまうかもしれないですが、基本的な情報を元に作品のあらすじを簡単に紹介したいと思います。

 

1:絶望の目覚め ~記憶喪失と地球の危機~

 

物語の始まりは、真っ白な部屋。主人公のライランド・グレースが目を覚ますと、そこは宇宙船の中でした。ひどい記憶喪失に陥っている彼は、自分の名前すら思い出せません。
隣には、すでに息絶えた2人の仲間。自分だけが生き残った理由を求めてを船内を探るうちに、以下のような断片的な記憶が戻ってきます。

・地球の危機: 
『アストロファージ』という謎の地球外微生物が太陽のエネルギーを食い尽くし、数十年以内に地球が氷河期に入り、人類が滅亡すること。

・決死のミッション: 
太陽が死にゆく中で、なぜかエネルギーが減っていない星「タウ・セチ」へ行き、解決策を持ち帰ること。
グレースは、たった一人で人類の運命を背負わされた『片道切符の特攻兵』だったのです。

・自分は何者なのか?:
はじめうちエリート科学者か宇宙飛行士だと思い込んでいた彼ですが、記憶が戻るにつれて自分がただの中学校の理科教師(元分子生物学者)だったことを思い出します。

 

2. 未知との遭遇 ~宇宙の相棒「ロッキー」~

 

絶望的な孤独の中、タウ・セチの軌道上でグレースは信じられない光景を目にします。自分たち以外の「宇宙船」がそこにいたのです。そこで出会ったのが、4本足で岩のような体を持つ異星人、通称『ロッキー』。

彼もまた、自分の星を救うためにたった一人でこの宙域に来ていました。言葉も、呼吸する空気も、生きる温度も全く違う二人が、「科学」と「算数」という共通言語を頼りに、少しずつコミュニケーションを取り始めます。
 

3. 科学で挑む ~二人の友情と決断~

グレースとロッキーは、お互いの知識を出し合い、地球とロッキーの故郷を救うための「答え」を見つけ出します。しかし、そこには残酷な計算ミスや、予想外のトラブルが待ち受けていました。

果たして彼らは自分たちの星を救うことはできるのでしょうか?
 

 

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』企画、撮影の裏側

映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』はアンディー・ウィアーという小説家によって書かれた同名小説を元にした映画です。
この小説は、宇宙の物理法則や科学的な正確性を重視して堅実な設定の下、書かれたいわゆるハードSFと呼ばれるジャンルにあたるSF小説で、そのため企画の初期段階から徹底したリアリティと正確性を追求して制作されました。

 

映画化企画の始まり

  

 

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、小説の出版よりも前にライオンのトレードマークで有名なアメリカの映画会社MGMが映画化権を取得していました。
さらに企画の初期段階から主演のグレース役のライアン・ゴズリングが演じることが決定していました。

彼は、ほぼ一人芝居で観客を引き込む演技ができる俳優さんなので、彼の持ち味を発揮するのにぴったりの役柄だったのでしょう。根っからのSF好きで本作にほれ込んでおり、自らプロデューサーとしても深くかかわっています。

また、監督には、フィル・ロード&クリス・ミラー(『スパイダーマン:スパイダーバース』などで有名)が起用されました。脚本は、原作者アンディ・ウィアーの別作品『火星の人』の映画化(『オデッセイ』)を成功させたドリュー・ゴダードが担当し、科学的な深みを維持しつつ映画としての興奮を最大化する構成になるように考えられました。

 

 

撮影の裏側とこだわり

・グリーンスクリーンの不使用:

本作では驚くべきことに、宇宙のシーンでさえ『グリーンスクリーン(合成用背景)』をほぼ使用していません。代わりに、本物の光の反射や質感を捉えるため、実物大のセットと高度なライティング技術が導入されました。

・パペットと実用エフェクト: 
人気が高い異星人キャラクター「ロッキー」の撮影では、CGだけでなく実際に動くパペット(操り人形)を導入し、主演のライアン・ゴズリングが現場で「実体」と対話できるように工夫されました。

・NASAによる全面監修: 
宇宙船「ヘイル・メアリー号」の構造や科学描写のリアリティを担保するため、NASAが監修を行っています。撮影現場には科学考証の専門家が常駐し、細かな計算式や機器の挙動までチェックされました。

・巨額の製作費とスケール: 
ドリュー・ゴダードによれば、宇宙空間の複雑な物理法則を視覚化するために巨額の製作費が投じられ、ハリウッド屈指の技術者たちが集結して「究極のリアル」を追求したメイキング映像も公開されています。

 

 

『ハード』『ソフト』という2つのSFジャンル

ここからはSFのジャンルについて、代表作を交えながら紹介してみたいと思います。
SFには大きく分けて2つのジャンルが存在します。『ハードSF』と『ソフトSF』です。

 

ハードSF

『ハードSF』とは、一言でいえば「科学的な正確さや論理性をストーリーの核に据えたSF」のことです。
「もし、この科学技術や物理法則が本当に存在したら?」という仮定に対し、最新の科学知識(物理学、天文学、生物学など)を駆使して、徹底的にリアルなシミュレーションによって設定を作っていくのを特徴としています。

『プロジェクト・ヘイル・メアリ―』もこのハードSFに入ります。
 

ハードSFの代表作

ハードSFの代表作をいくつかご紹介します。
 

・小説『火星の人』/映画『オデッセイ』

  
 
作者: アンディ・ウィアー(『プロジェクト・ヘイル・メアリー』と同じ著者)
火星に一人取り残された植物学者が、科学の知識だけで生き延びる物語。「ジャガイモ栽培」や「水作り」の計算が超リアルですが、ハードSFを誰でも楽しめる主人公の糞闘劇としてエンタメに変えた作品と言えるでしょう。

 

・『2001年宇宙の旅』(小説/映画)

 
作者:アーサー・C・クラーク  監督: スタンリー・キューブリック
ハードSF映画の原点と言われる作品です。内容自体がかなりアート的で、AIが自我を持ち始め、人類が次の次元の存在に到達するという抽象的なストーリーなので人を選ぶ内容ですが、人工知能HAL 9000や、宇宙空間での無音描写など、徹底した科学的考証の正確さで描かれる映像は今見てもすごくよくできています。

 

・『インターステラー』(映画)


監督: クリストファー・ノーラン
理論物理学者キップ・ソーンが監修。「ブラックホールのビジュアル」や「相対性理論による時間のズレ」を、科学的に正しく描くことに心血を注いだ作品です。

 

・『三体』(小説/ドラマ)


 
作者: 劉慈欣(リュウ・ツーシン)
SF界の最高峰とも呼ばれるヒューゴー賞をアジアで初めて受賞した現代中国発の世界的大ヒットベストセラー小説『三体』シリーズとそれを元にしたドラマ作品群です。
宇宙との交信をきっかけに、世界中で科学者の自殺が始まる。人類に迫る侵略者との約189億年にもわたる壮大な攻防戦を描いています。
ナノテクノロジー、量子力学、高次元展開技術、冷凍睡眠さらには宇宙の社会学である『黒暗森林理論』まで、膨大な科学的哲学的アイデアがこれでもかと詰め込まれ、もし地球外生命体との遭遇が現実に起こったなら実際に地球社会はどうなるかという問題を生々しいまでのリアルさで描かれています。
ネットフリックスとテンセントにてドラマ化されいるのでそちらもチェックしてみてください。

 

・『コンタクト』(小説/映画)


 

作者: カール・セーガン
地球外知的生命体からのメッセージを受信した女性科学者が、科学と信仰の狭間で葛藤しながら宇宙の真理に迫るSFヒューマンドラマです。ヴェガから届いた設計図で移動装置を建造し、人類初のコンタクトに挑む姿を描地球外からの電波受信や、ワームホールによる移動などが、極めて現実的な設定で描かれます。

 

 

ソフトSF

ハードSFとは反対に『ソフトSF』と呼ばれるジャンルもあります。ハードSFとは対照的に、科学的な正確さや技術的な理屈(ハード面)よりも、「人間社会、心理学、社会学、哲学、政治」といったソフトな側面(人間ドラマや社会風刺)に重点を置いたSFジャンルです。

「どうやって動くか」という仕組みよりも、「それが人や社会にどんな影響を与えるか」を描くのが特徴です。

全てのSF作品がこの2つは正確に分かれているわけではなく、これらはあくまで作品の傾向としてみるのがいいでしょう。

 

 

ソフトSFの代表作

ソフトSFの代表作をいくつか紹介します。

 

 

・『メッセージ』(映画)/『あなたの人生の物語』(小説)

 
 
作者:テッド・チャン 
突如現れた異星人と対話するために、言語学者が彼らの独自の言語を解読していく物語。『言語が思考や時間の捉え方を変える』という言語学的な仮説をテーマにしています。過去、現在、未来のとらえ方が全く違う存在との対話を通じて、主人公の人生の見方が変わってしまうという不思議な作品です。

 

 

・『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(小説)/『ブレードランナー』シリーズ(映画)

  
 
作者:フィリップ・K・ディック 
小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』は、映画『ブレードランナー』の原作として有名です。本物と見分けがつかないアンドロイドを追う男を通じ、感情や記憶など「人間によって作り出された存在は究極的に同じ生命と言えるのか?」という内面的なテーマに深く切り込んでいます。

 

映画ブレードランナーシリーズはこれまでに長編映画『ブレードランナー』『ブレードランナー2049』、短編映画『2048 ノーウェア・トゥ・ラン』『ブラックアウト2022』『2039ネクサス・ドーン』の計5作品が制作されており、2026年にはアマゾンプライムビデオで製作された初のドラマシリーズ『ブレードランナー2099』の配信が控えています。

 

映像作品群では小説をもとに、作者であるフィリップ・K・ディックの精神論をさらに掘り下げ、人間によって作られた模造人間であるレプリカントたちが抱える人間社会で生きる葛藤と自分の人生の意味について深く描かれています。

 

 

・『わたしを離さないで』(カズオ・イシグロ)

 
 
作:カズオ・イシグロ
医療目的で育てられるクローンの若者たちの日常を描く作品。科学的な生成過程には一切触れず、彼らの愛、友情、そして避けられない運命という「文学的な側面」を極限まで追求しています。
日本でも2016年にTBSによって綾瀬はるか、三浦春馬、水川あさみ主演でドラマ化されました。


今日ははここまで。

今回は、プロジェクト・ヘイル・メアリ―について、あらすじから企画や撮影の背景について。そしてSFジャンル『ハードSF』『ソフトSF』の2つについて紹介してみました。プロジェクト・ヘイル・メアリ―の映画を見た後、原作小説を手に取って楽しんでみたり、他の同じようなジャンルの作品に手を出してみるのもいいかもしれませんね。