内容紹介
南の海にトビウオの親子がいました。ある日遠くの空がまっかにそまり、水がグラッとゆれ、おそろしい音がひびいてきました。
平和について考える紙芝居。
「かたあしだちょうのエルフ」に気をとられて1日遅れになりましたが、昨日3月1日はビキニ・デーでした。
1954年3月1日、アメリカがビキニ環礁で水爆実験を行い、付近を航行中だったまぐろ漁船の第五福竜丸が被爆しました。
この、第五福竜丸の絵本 も出版されていますが、実はまだ読んだことがありません。
水爆実験と聞いて思い出すのは、「かたあしだちょうのエルフ」と同時期に読んだ、「とびうおのぼうやはびょうきです 」(いぬいとみこ/金の星社)です。
トビウオのお父さんが帰ってきません。
トビウオのぼうやは病気になりました。
何故でしょうか?
水爆の実験が行われたからです。
死の灰が降り注ぎ、海の中の生物、ささやかな生き物たちの命を奪ったからです。そして、死へ導く毒を植えつけたからです。
何の罪もない動物たちの命が、一瞬で奪われ、生きる権利さえ奪われたからです。
小さな子供にも理解できる優しい文体で、こんなにも切実に核の恐ろしさを訴える本は他にないと思います。
夫を奪われ、子供さえも危険に晒された母の気持ちで。
お父さんが帰らず、お母さんが悲しみ、自分までも動けなくなった子供の気持ちで。
また、それを見る者の気持ちで。
様々な角度から読める本だと思います。
昔、戦争がありました。
昔、核実験がありました。
「昔」と言う言葉で、過去のこととして忘れてしまって良いのかと、改めて思いました。