小さな町の風景 | プラネタ旅日記

プラネタ旅日記

児童書専門古本店プラネタ(無店舗)の管理人が細々~となにやら呟いております。大半は読書記録。時々頭の悪さと猫馬鹿具合を炸裂させてます。

杉 みき子, 佐藤 忠良
小さな町の風景
出版社/著者からの内容紹介
坂・橋・海などの八つの風景にまつわる45の小品集。独特の感性と郷土性を、香り高い文章で綴る。



あの坂をのぼれば、海が見える。

少年は、朝から歩いていた。





杉きみ子の「あの坂をのぼれば」。

忘れもしない、中学一年の国語の教科書に載っていました。

谷川俊太郎の「朝のリレー」と一緒に習ったので、ずっと「詩」なんだと思っていました。

詩の始まりから数行だけが頭に残り、タイトルも作者も覚えていなかったので、再び出会うまでに時間がかかりました。

収録されている本に辿り着いたのは、一昨年か先一昨年。

図書館で探して、1○年振りに再会した1編は、詩ではなく、小さな小さなお話でした。


少年が汗だくになりながら山道を歩く姿。

周囲に生い茂る草、青い空、きっと照り付けているのであろう太陽が、ずっと印象に残っていました。

そして、諦めかけたときに聞こえてきた海鳥の声。


海に囲まれた四国に生まれ育ち、見たいと思えばいつでも海の見える場所で暮らしていましたので(現在は目の前が海ですし)、海を見たことのない人が不思議でなりませんでした。

でも、見たことがないものへの憧れの気持ちは良く分かります。

だから、少年が海を見たさに山を超える姿を想像するのは難しくありませんでした。

だって、海をしょっちゅう見ている私だって、海水浴やドライブなどで真っ白い砂浜と青い海を見ると気分がウキウキして心が痛いくらい嬉しいんですから。


図書館で本を借りると、当たり前ですが返却期限がありますね。

借りようと思えば借りられるけれど、2週間後には返さないといけません。

2週間の間に書き写して手元に残せば良いのですが、それでは少し物足りない。

amazonで検索してみたら、絶版でもなく普通に手に入るようだったので、その内購入しようと思い、図書館では借りませんでした。

そして、怠惰ゆえに購入しないままに月日が流れ。

先日、古本屋で発見しました。

しかも105円。


古本屋大好きです。

105円やそれ以下で売られていると、それはもう鼻息荒く漁ってあれこれ購入せずにはいられません。

探していた本や、欲しいと思っていた本を安く手に入れられたときは勿論、すっごく嬉しいのですが。

すごく好きで欲しいと思って探していた本だからこそ、安く売られていると寂しいってこともありますよね……。

この本の価値はね!105円程度じゃないのよ!

このお話はそんな安いものじゃないの、プライスレス!心に残る素敵な話なんだよ!!!

って。

思ったりするんです。

本には値段がつくけれど、思い出や感情には値段がつけられないってことなんですよね。


中学1年で習ったお話。

久し振りに読むと、当時の先生の名前や顔、授業の合間にしてくれたお話の数々を思い出します。

言葉は心に残るものなんだなと、改めて実感。