- ケイト ディカミロ, Kate DiCamillo, Bagram Ibatoulline, 子安 亜弥, バグラム イバトーリーン
- 愛をみつけたうさぎ―エドワード・テュレインの奇跡の旅
内容(「BOOK」データベースより)
「考えてごらんなさい。愛がないのに、どうやって“いつまでも幸せに”くらせますか?」持ち主の女の子に愛されていても、自分はだれも愛していない陶器のうさぎエドワード。でも、そのおばあさんの言葉は、ずっとエドワードの心にかかっていた。女の子とはぐれ、さまざまな人に出会い、別れる旅のなか、エドワードは遠く語りかける。―ぼくは愛することを学んだ。でも愛なんてつらいだけだった。助けてよ!『ねずみの騎士デスペローの物語』の著者ディカミロ、感動の最新作。
書店で見かけて気になりつつ、すっかり忘れていた作品です。
図書館で発見し、「ああ、これは!」と思い出したので借りてみました。
「ねずみの騎士デスペローの物語」はよく見かけるのでタイトルだけは知っていますが、読んだことがありません。なので、この作家さんの本は初挑戦です。
主人公は愛することを知らない陶器のウサギ、エドワード。
陶器のうさぎに愛することを知れ、と言う方が無理!と思いますか?
でもこのエドワード、ちゃんと意思のあるウサギなんです。
エドワードの持ち主は、エドワードを紳士として扱い、愛していました。けれど、エドワードにとって、そんなことはどうでも良いことなのです。自尊心だけはがっちり強いウサギだったのです。
ある悲しい事故で、エドワードは持ち主の手を離れ、旅を始めます。
その旅の中で出会う人々、その人々が自分に与えてくれる愛の形。
形の違う辛さと愛の繰り返しです。
繰り返す中で、エドワードは愛を知っていきます。
最終的には本当に「奇跡」と言うに相応しい愛に溢れた結末なのですが、エドワードが愛を知っていく過程がなんだかすごく、心に来ます。
エドワードは持ち主の女の子に愛されていました。でも、自分は愛することを知りませんでした。
愛することを知らないエドワードが、愛されることを知っているはずもありません。
愛されるって、どんなこと?綺麗な服や似合った、相応しい持ち物を与えてもらうことが愛ではなく、ただ抱きしめられることだけが愛ではないと知っていく様子と、愛される喜びを知るたびに絶望の底に叩き落されるギャップが寂しくも、「諦めないで!」と応援したくなる本でした。
もうだめなのか、こんな風にエドワードの一生は終わってしまうのか。折角、漸く愛を知ったところなのに……。
一瞬がっかりした後に来る喜び。
しみじみと心に響くすてきな一冊でした!
ところで、同じく旅をするウサギと言えば、フェリックスでしょうか。
エドワードとは全く違う形で、楽しい旅をするウサギです。こちらのウサギは、愛を最初から知ってるみたいですね。
私はまだ2巻までしか読んだことがないのですが……。
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