「あるクモのぼうけん」とある通り、お話の主人公は1匹のクモです。
虫全般、嫌いな私……。
虫が主人公の本なんて、滅多に読まないのですが、表紙と名前の「アラネア」に惹かれて読んでみました。
1匹のクモにとって、世界は何て広く大きく、抗いようのないところなんでしょうか。
木の葉の影に隠れて日々を過ごし、嵐に流されて人間の家に入り込み……、一生懸命、生きていく姿。
普段、クモなんて見ると、「きもちわるい」「怖い」としか感じられないし、子どもの頃からクモは本当に苦手なのですが、この本を読むと、(絵の作用でもあるのでしょうけれど)可愛いと感じられます。
クモは苦手……と言いながらも、思い出してみれば、子供の頃にはよく、クモの巣を壊して遊んだものです。
枝の先に巻きつけて、「綿菓子!」とか、「糸巻き!」とか言って……。
悪戯心とか意地悪心とかなくやっていましたが、クモにとっては迷惑甚だしいことですね。
一生懸命張った巣が一瞬で壊されるのですから……。
「一分の虫にも五分の魂」と言う言葉を思い出す本でした。
そう言えば、昔何かの本で、クモの糸でドレスを作ると言うお話があったような……。