周囲の流れのまま生きてきた。
進んでいく方向に流されたまま、いつのまにかそいつらと同じ表情になっている。
強張った顔はなかなか治らず、もうそのままでいいかななんて思い始めた。

「ちょーっと、すいませんよー」

そんなひょうきんな声が聞こえて思わず顔を上げた。
人ごみを掻き分けながらこちらへ向かってくる青年。
目はキラキラしてて、口元は自然に笑みを作っている。
ああ、こんな顔いいな。
そんな恨みがましい目で見ていたのがばれたのが青年が手を差し出してきた。

「一緒に来る?」

そう言って彼はにやりと笑う。
呆然と立ち尽くす俺。
そうこうしているうちに小さくなる後ろ姿。

そうか。
これはきっかけだ。
チャンスだ。

「待ってくれ!」

そう叫んで小さな後ろ姿を追いかけた。