横にいた人物の手が震えているのを見て思わず「大丈夫ですか?」と声をかけてしまった。
はっと気付いたように上がった顔が蒼白で。
後に続いた「大丈夫です」の言葉とへらりとした笑顔を信用出来はしなかった。
それから視線をどこに向ければいいのかわからなくなったのか、彼はおろおろと彷徨わせる。
ミーアキャットのようだ。
(きょろきょろと視線を動かすその様子が)
思わず吹き出してしまうとますます彼は顔を白くさせた。

「あの、な、にか」

まるで自分が捕食者になった気分だ。
ああ、でもそれよりは守りたくなる。
そうそう、母性が目覚めるというやつね。
自分がミーアキャットを可愛がる様子を思い浮かべてまた笑ってしまう。

「あの」

可愛い!と思った瞬間、私は口に出していた。

「今すんごい貴方にご飯をごちそうしたい気分なの!」

逆ナンというのを人生で成し遂げた瞬間だった。