634ears MIROAK-II Japan Limited 購入レビュー
先日、AFUL Performer8を購入したばかりですが、発売直後にこれは買わないと後悔するのではないかと直感に訴える製品がありましたので、ちょっと無理して購入してしまいました。
それが今回の『634ears MIROAK-II Japan Limited』になります。
商品名 :MIROAK-II Japan Limited
メーカー名:634ears(ロクサンヨンイヤーズ)
634earsとは・・・
634(ムサシ)氏によるイヤホン自作の趣味が高じて誕生したブランドとのことで、2020年春のヘッドフォン祭を起点として活動されているようです。(※まとまった情報が得られなかったので保証はできません。)
現在では、ハンドメイドのオリジナルイヤホンの制作を行っている個人ブランドとして取り組まれています。
前々回のAüR Audio でガレージメーカーもかなり良い製品を提供していると知りましたので、日本のガレージメーカーとして気になったというのもポイント。
MIROAK-II Japan Limited について
そんな個人ブランドのため、いままでは直販サイトからの注文のみだったのですが、今回、数量限定での一般流通(一部専門店のみ)での販売ということで、知らなかった方や購入の敷居が高いと感じていた方が手に取りやすくなっています。
数量限定ということですが正確な数などは公表されていませんので、注文状況見ながら調整していく感じなのかなと思います。
また今回の製品は、既存のオーダーモデル『MIROAK-II』をベースに各種素材とドライバーチューニングを変更した専用モデルとのこと。
元製品はコチラ
BOXと開封
オーダー品と共通のBOXのようで、ダンボール製の箱にスタンプ(印刷?)となっています。
※AüR Audioの梱包箱より角が立っており、箱についてワンランク上の質の高さを感じます。
開封すると上蓋裏と中にメッセージが入っておりました。
中身としてはこんな感じ。
リケーブルに関する注意書きがわざわざ入っているあたり、相当数故障相談来ていたのかと思います。
こういうものを見ると、より気を付けて扱おうと意識が改まります。
知識を補ってくれるのも嬉しいですね。
ポーチの中には、イヤホンのキャリングケースが入っており、その中にイヤホンが保管されています。
ポーチ自体は薄くイヤホンの保護にはあまり意味をなさないと思います。
キャリングケース内のイヤホンが巻き付いているスポンジ素材は、ケースから取り外せるのでお好みで活用されるのが良いかと思います。
フェイスプレート(FP)部の木材は”アフリカンパドック”を使用とのことで、私が愛用していた『オーテク ATH-ESW9』にも通ずるものを感じております。
木材としての堅さや密度感によって明るく軽やかな音色を作り出しているとのこと。
※ちなみに木材系の場合、左右での素材の見え方の違いが気になるポイントかと思いますが、できるだけ左右同じようなタイプのモノを組み合わせて制作してくれているらしいです。
また、筐体にはレジン素材とステンレス素材が使用され、その素材の硬さから筐体の形状が歪みにくく振動板の反応が速くタイトになっており、アフリカンパドックと合わせることで低域や最低域は少し弱まるものの音の明るさや抜け感、軽やかさなど全体のバランスを取った音にしているとのことです。
装着について
商品写真を見るとあまりにもケーブルが真っ直ぐなので、耳掛けできない(真っ直ぐ下にケーブルを出す)のかとも思っていたのですが、耳掛けで運用可能です。(公式でも耳掛けを推奨)
イヤホン本体の装着感としては悪くないと感じていますが、基本的にイヤーピースのみで支える構造のようです。
標準ケーブルは細目で柔らかいのですが形状が耳掛け向けに固定化されないため、耳にかけても皮膜等の弾性でちょっと浮くようになります。このため、イヤホンを外して耳に掛けておくというのがちょっとやりにくい場合があります。(できないわけではない)
スペック
周波数特性 :非公開
インピーダンス :16Ω
感度 :非公開
ドライバー :10mmダイナミックドライバー
ケーブル :3.5mm (MMCX)
音に関する雑感
私:dkの主観によるレビューとなり客観性を持ったものではありません。購入時の参考程度にご活用ください。
エージング:40時間前後
評価環境
DAP : SONY NW-WM1Am2 (音調:ソースダイレクト + ローゲイン)
イヤホン : 634ears MIROAK-II Japan Limited
イヤピ : Spin Fit W1 (S)
ケーブル : 付属ケーブル(3.5mm)
音質レビュー
高音域 ★★★★★
- 音は堅めで切れの良い音
- 鋭い響きを持った綺麗な鳴り方
- ただし音数が多い場合に潰れ気味にも感じる
中音域 ★★★★★
- 軽く伸びやかな印象
- 輪郭は丸く柔らかさで滑るような滑らかさを感じる
- 中高音域は厚みのある量感かな
- レスポンスは緩い印象
低音域 ★★★★☆
- 重みは少なくドライな印象
- 振動を鼓膜で感じる量感
- 他のイヤホンと比較すると低音多め(箱出しはかなり多い印象)
- レスポンスは緩い印象
- 装着がちゃんとしていないとかなり音が抜ける
解像度 ★★★☆☆
- 低音域の解像度は低く感じる
- 中音域については解像度は高くは感じないが低いとも思わない
- 高音域の解像度は高く感じる
- 全体的にはシャッキリしていないためアナログ感を感じる優しさがある
分解能 ★★★★☆
- 基本的には高いと感じる
- 音が重なっても団子になることがない印象(ただし音の潰れはある)
音場 ★★★★☆
- 閉塞感はなく気持ちいい残響を感じる
- 音の発生源は普通に頭部周囲(ボーカルは眉間~おでこの辺りで鳴っている/ベースラインは耳元~ちょっと後方/バスドラは耳元~ちょっと下辺り)
装着感 ★★★★☆
- 筐体が軽くあまりズレることはない印象
- イヤーピースで固定するだけのようなのでイヤーピースの装着感に依存
- ケーブルでの固定ができないため、ちょっと不安定にも感じる
- リケーブルしてから右側のコネクタの接触がちょっと微妙になっている(音が出ないことアリ)なので、リケーブルしないほうが良いかも。(エージングで落ち着くと標準ケーブルで十分良い音だと思う。)
総評
箱出し直後は低域が膨張気味でかなり強く主張していたが一歩引いている中音域が真っ直ぐな音を出していた関係で聴けるものとなっていたが、数十時間経った現在は、低域がかなり大人しくなったと感じている。
この要因がエージングによるイヤホンの変化であるか、自身の身体的変化に起因しているのか現状では(変化が大きすぎて)ちょっと自信がない。
一つ言えるのは、今聴いているバランスであれば万人におススメ可能であるということです。
ただ音造りとしては、解像度が高い他のBAイヤホンなどと比べると玄人志向な印象は否めない。
オーディオに興味のない人からとりあえず5万円で良いものをと聞かれれば、先日のAFUL Performer8をオススメする可能性があります。これは、あちらのほうが万人受けしつつ幅広い楽曲に対応しやすいと感じるためです。
コチラのイヤホンは、スピード感よりゆったりしている曲をよく聴くなど条件が揃って初めておすすめできるモノかなと。基本的には音の柔らかさと伸びやかな余韻を活かして、バラード系を良く聴く人には合うのではないかと思います。(別に聴けないレベルとかではないのであしからず)
音楽×ウッドは様式美であり、よりアナログ的で深みのある音を鳴らすための重要なファクターであると思います。
近年のイヤホンでは、レジンと金属プレートなど堅めの音を出す製品が主流に感じますが敢えての木材は独自路線として続けて欲しいと感じます。(金属が悪いわけではなく木材イイよねって話です。)
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