Kinera Imperial URD 購入レビュー
先日記載した「なんとなくな、イヤホン話」で書いている通り、SONY IER-M7とmoondrop Blessing3で色々見比べながら、M7は発売からかなり立っていることと、ノズルにスポンジ使ってそうで劣化しやすそうだし、Blessing3は、B2とは違う感じらしいですが満足度の高いB2と位置を食い合う印象があり何か購買意欲が沸かないのでどうしようかと悩んでいたところ、フッと目についてしまった製品がありました。
それが今回の製品を作っているKinera社の製品でした。
Kinera社とは?
2011年創設の中国の企業。
2016年に「Kinera」ブランドを立ち上げ、2021年にメインブランドのKineraからハイエンドプロダクトのみを専門に扱うハイエンドブランド「Kinera Imperial」として誕生?って感じっぽい。
最初に目についたのは、Kinera Imperial Nanna 。
ハウジングの透明感のある樹脂とそこに含まれるラメが綺麗に見え、興味が出てきました。
今までは、見た目にゴチャゴチャさせたものは避けていたのですが、主張が強くない印象を得つつ何やらいい音鳴らすのではセンサーがビビッと来ました。
で、数日情報集めつつ悩んでいたのですが10万近い金額のため、知らないメーカーの製品を視聴なしで購入は厳しいなと思いながら幾星霜。
※試聴機のある店舗に行くのがメンドイだけではあります。
で悩んでいたら、下位モデルのような構成の『Kinera Imperial URD』が、eイヤホンさんで未開封アウトレット品が、格安(新品7万~8万のところ、4.5万)で出ていましたのでちょっとだけ悩みこちらを購入してみました。(記載時点でまだ在庫アリ)
スペック(公式抜粋)
モデル名 :ImperialURD(インペリアルウルド)
ドライバ :2EST+2DD+1BA
インピーダンス:20Ω
感度 :107db+-2db
再生周波数 :5Hz-50kHz
プラグ :2.5mm,3.5mm,4.4mm(交換式)
コネクタ :0.78 2Pin
ケーブル長 :約1.2m
ESTドライバーとは、「静電型ドライバー」のことで、採用製品としては以前はSTAXが出しているイヤースピーカーが有名でしたが、専用のアンプが必要など結構大掛かりな環境になるもんであったと記憶しています。
特徴としては、表面全体で均一に駆動することで、振動歪みを無くし振動板が繊細な音の細部まで高精度でトレースできるらしいです。
本製品は、以下の構成で音域をカバーしているそうです。
高音域 : ESTドライバー
中音域 : BAドライバー
低音域 : DDドライバー
六角形のBOXとなっており、保管するうえではちょっと場所とるので個人的には好きではない形状です。
またサイズとしても横幅23.5cm、厚み8cm、縦幅20.5cmとデカい。
BOX自体の質は、オシャレなお菓子の箱のように質感もよいです。
密閉度が高く、開け閉めに結構苦労します。
質の良い桐ダンスの引き出しのような密閉感(桐ダンス持ってませんが・・)
そのうえで、上記の各種パーツを取り出すのも一苦労。
ウレタンに埋め込んでいるのですが、結構シビアなクリアランスになっているため、本体がまったく抜けない感じで苦労しました。ウレタン千切るしかないのかと思ったレベル。
同梱物としては以下。
- イヤホン本体
- 2pinケーブル
- ケーブルアダプタ(コネクタ): [バランス] 4.4mm / 2.5mm + [アンバランス] 3.5mm
- キャリングケース
- フォームイヤチップ 2 sets
- Final Type E イヤチップ 5 sets
- シリコンイヤチップ 7 sets(キャリングケース内に同梱)
- クリーニングブラシ
キャリングケースは丸みを強調した可愛らしいデザインで質は良いと感じました。
開けると蓋側に、ポケットもあるため予備のイヤピを入れておくことも可能。
イヤホン本体。
白く不透明のパーツをベースに、クリアグリーンのパーツを組み合わせ、その緑パーツの厚みの違いで色の深みに差を作り出し、コンセプトの湖の表面を表現しているものとなっています。
イヤピが汚いのは、付いた埃などを手で落とそうとして余計悪化した結果です。ご容赦ください。(写真は、AZLA SendnaEarfit Crystal ML size使用)
湖を表現ということで、白と緑の境目を泡立つ様子(?)をどうも手作業で塗装しているようで個体差が大きく出る部分っぽいです。
個人的には、鱗感がちょっと鳥肌立つので軽いグラデで済ませて欲しかったです。
公式サイトのものはかなり弱めに入っているのでいい塩梅なんですけど、大抵の製品版はうちのに近い印象っぽいです。残念。
ベント(穴)は一か所開いており、位置的には装着時に上方向を向く面に開いています。
ベントからかはわかりませんが、音漏れはちょっとしやすい製品な印象です。
それでも屋外で騒音があって常識的な音量で聴いている分には問題にならないレベルな気はします。
ケーブルは1本付属ですが、DAPとの接続部を入れ替えて、3.5mm・2.5mm・4.4mmと環境に応じt切り替えられる仕組みになっているため、これからバランス接続を試してみたいなどの方も導入しやすい製品になっています。
※バランス接続のために別途購入するのが何気にシンドイんですよね。買ってもうまく合わないことも多いので。
音に関する雑感
50時間程度のエージングでのレビューになります。
開封直後は結構厳しいバランスだと感じましたので、購入された方は気長に使ってみて欲しいです。
■評価環境
DAP : SONY NW-WM1Am2 (音調:ソースダイレクト + ハイゲイン)
イヤホン : Kinera imperial URD
イヤピ : AZLA SendnaEarfit Crystal (ML)
ケーブル : 付属ケーブル(4.4mmバランス)
■音質レビュー(エージング:50時間)
高音 ★★★★★
・解像度は高くキラキラした輝き
・しっかりとした量感のある響きを持っている
・ちょっと前に出すぎに感じることがある
・楽曲によって刺さり気味なので、エージングでもう少しだけ落ち着くことを期待。
※平沢進のロタティオンで冒頭から「チュッチュカ・チュッチュカ鳴っている電子音が刺さる」
※今今は、MP3などの高域削った圧縮音源のほうがハマる気がする。
中音 ★★★★☆
・しっかりと厚みのある量感を持った音
・スッとしたクリアさはなく、少しネットリとした柔らかい印象を受ける響き
・ただし濁りなどは感じないのでクリアとも言える・・・?ちょっとノイジーなのかも。
・解像度はリスニング目的であれば十分高く感じる
・深み、重みを感じ力強いため、ボーカル楽曲を楽しめる
低音 ★★★★☆
・解像度は十分だと思うが、解像度的な鈍さはちょっと感じる
・カッチリした響きではないが、ブーミーには感じない
・ミキシング次第だが、量感はかなりある鳴り方
・重みと深みのある良い響き ・低音強めの楽曲の場合、音量ではなく振動で低音の主張がちょっと強すぎると感じることもあり。
解像度 ★★★★☆
・リスニングとしては十二分に感じる(もう少し高ければなお良いが。)
・今の流行りの鳴り方とはちょっとズレていると思うので、透明度の高く軽い音を求めるのであれば避けたほうが良いかも。(例えば、YOASOBIならfinal A5000のほうが気持ちよく聴けると思います。)
分解能 ★★★★★
・高いように感じる
・解像度的にシャッキリしきっていない点と各音域でのつながりが自然なため、聴き流しだろ逆に低く思ってしまうかも。
音場 ★★★★★
・基本広い。
・発生源は耳元であるが、置く方向に音が伸びる印象
・低音が音量ではなく振動で聴かせてくれるのでピュアオーディオのスピーカーで聴いているような印象も感じた(ピュアオーディオ経験少ないので偏見あり)
・クラシックオーケストラを聴くと、1階中列あたりの印象を得られる。
・ただし一部トライアングルが耳元で聴こえることアリ。
装着感 ★★★★★
・本体は軽く、イヤーピースが合えば問題ないと思う。
・再生中にハウジングに爪が当たると「ボゥ~ン」と共振音が聞こえる。
総評
まず、手持ちの中で普段使いしたいかというと、個人的にはfinal A5000のほうが音が軽くて聴き流ししやすく利用頻度は高くなりそう。(好みは多分にあるのでご容赦を)
これは、近頃ボカロカバー曲を聴くことが増えてきたなどもあり、軽い音のほうが合うことが多いってだけですが。
final A5000より良いかなと思ったものをザックリピックアップすると以下。
- JUNO REACTORなど、EDMと言うかテクノ系サウンドとの相性は最高だと感じました。
- The Chainsmokersも気持ちよく聴ける。
このあたりなら、所有しているイヤホンの中で最有力。
The Chainsmokersファンなら、NW-1AM2 × Kinera imperial URDで揃えておいても良いくらい完璧。 - ゲームサントラの「ペルソナ3 BURN MY DREAD」もノリ良く・気持ちよく聴ける。
NW-1AM2で聴く場合、ハイゲインのほうが良く鳴っているように聴こえたのでハイゲインに設定していますが、エージング変化で変更する可能性があります。
また、箱出し直後は、ものすごく高音は刺さるし・低音は弱いしで微妙ない印象がりましたので、気長に調整してみて欲しいです。
まとめると・・・
- 定価の7万~8万代で考えると、もう少し解像度と透明感が欲しい。
- テクノやEDMメインなら検討候補に入れてみて欲しい
- 高音厨も一応チェック!!
- イヤホンで音場の広さを感じたことがない人も一聴見てみると違いを得やすいと思う。
- 上位機種のKinera imperial Nannaの興味が維持される程度のクオリティは持った製品
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