・転移の確率は低いに越したことはないが、それにしても「腫瘍サイズが3cm以下での転移の確率は1%にも満たない」というのは、話しがうますぎる気がする、笑。そんなに低いのであれば三カ月検診あるいは半年検診でCTを受けるのは過剰診療に違いない。
・幸いにも日本国内における症例に関する論文を見つけることができた。残念ながらこちらも英文のみで読むのがたいそう疲れるのだが、「30mm以下の腫瘍サイズでも転移の可能性はある」という(自分にとって)なかなか残念な結果が示されている。
<Clinicopathological Outcomes of Clinical T1a Renal Cell Carcinoma by Tumor Size>
http://jjco.oxfordjournals.org/content/41/5/637.full.pdf+html
・要点は以下の通り。
(1) 対象は、2000年1月から2008年12月に画像診断にて直径40mm以下の腎細胞癌が認められた140人のcT1a患者
(2) このうち診断時点に4名(2.9%)で転移が発見。腫瘍サイズ30mm以下に限ると2名(2%)であったが、母集団の数が十分でないことから腫瘍サイズとの関係は有意ではない
(3) 術後5年間の無再発率は、pT1a患者(初年度98名)で98.9%、pT3a(同6名)で80%。大きな差は認められない
(4) pT1a患者98名のうち腫瘍サイズ30mm以下(初年度68名)と31mm以上(同30名)の7年間無再発率はそれぞれ85.7%、48.3%と有意に差が認められる
(5) pT1aN0M0の98患者のうち微細血管浸潤(microvascular invasion)の認められた患者(初年度10名)の7年間無再発率はゼロであった一方、そうでないものは92.9%
・なにやら様々な切り口があって混乱してしまいそうだが、つまるところ「腫瘍サイズに関わらず転移の可能性は無視できず、また小径癌であっても再発の可能性は残るため長期に渡るフォローアップが必要。とりわけ微細血管浸潤の認められるケースは要注意」ということである。やっぱり、定期検診は何年たっても大事ということだ、笑。
・腎臓癌の文献にありがちではあるが、そもそもの罹患率が低いため母集団が限られてしまう。そのため、「切り口」を増やすとどうしても統計的な信頼性が乏しくなってしまう。
・またフォローアップ期間もまだまだ十分な長さではない。そもそも母集団の平均年齢が60歳を超えているので、30歳代なり40歳代に限れば異なる結果が出るのかもしれない(程度の差の問題かもしれないが)。
・いずれにせよ、こういった文献はあくまで「いつかのための心の準備」程度に留めておくのが吉で、「奢らず、媚びず、侮らず、卑しからず」の精神で捉えるようにしている。
・安心しきって生活習慣を改めないと無駄に転移再発リスクを上げてしまうかもしれないし、逆に悲観して生き急いでも意外と長生きリスクに直面するかもしれない。
・とりあえずは「微細血管浸潤」の意味と自分の病理結果がわからない。念のため、次の検査で訊いておこう、笑。