手術当日! | Plan B -腎がん罹患後の記録-

Plan B -腎がん罹患後の記録-

発覚から手術までの体験とその後の人生再設計を記録していきます。

・6時起床。昨夜は就寝前に飲んだ下剤の影響で数時間おきにトイレに入る。こちらの病院では悪評高い液体下剤ではなく、錠剤を手術前夜に飲んで終わり。これに、朝方の浣腸でダメ押しをして腸を空にする。不味い思いをしないので楽ではあるが、おかげで手術当日は寝不足気味となる。

 

・この歳になると、初体験の出来事にはなかなかお目にかかれなくなってくるが、幸いにも病気関連はたいてい未経験のものばかり。浣腸もその一つで、お腹の弱い自分がどうなってしまうのか想像できず試してみたい(?!)と思う一方で、ちょっと不安でもあった。

 

・横になってお尻を出すと、ベテランの看護師さんが手際よくきゅっきゅと挿入。すぐさま便意が現れ数分も経たないうちにトイレに駆け込む。看護師さんは心得たもので、浣腸の前に「昨夜出ているのなら我慢しないでいいですよ」と言って、処置が終わるとすぐさま退室していた。因みに、排泄物の中身はきちんと確認してもらう必要があるため、トイレの後には看護師さんを呼びに行くことになる。なんだか、入院してから大抵のことが恥ずかしくなくなってくるから不思議だ。

 

・手術は10時過ぎの予定。朝飯が出るのでもなく昼寝するわけにもいかず、暇をもてあそぶ。本当は手術前最後のシャワーを浴びておきたかったのだが、「万一のため」ということで、前日夕方以降の入浴はまさかの禁止。体は元気なぶんだけ窮屈に感じた。

 

・9時過ぎには、母親と嫁が手術室までの見送りに到着。雑談をして時間を潰していると看護師さんに呼ばれて、いよいよ手術室に向かう。

 

・手術室へは建物中央の専用エレベーターを使う。数時間後には手術を終えて同じ経路で戻ってくることになる。ベッドに横たわっている自分を想像して徐々に緊張感が高まっていった。

 

・家族とは手術室前の待合室(検査室?)の前でお別れ。母親は既に涙ぐんでいる。

 

・不覚にも告知されてからは嫁の前ではちょくちょく涙を流してしまっていたが、母親が泣く姿をみると逆にしっかりしなければと気を張ってしまう。そもそも、腎臓癌の手術で命を落とすということはまずないはずなので、この段になると「同年代では珍しい経験なので、楽しんでやれ!」くらいのテンションだった。

 

・手術室前の部屋で最後の本人確認。眼鏡はこの時点で預かってもらったので、これ以降はほとんど何も見えない。手術室の部屋番号は8番。末広がりのラッキーナンバー。「ついてる、ついてるっ!」と自分に言い聞かせて手術室に入った。

 

・室内には昨日お会いした麻酔科の先生がなにやら準備をしている。手術台に横たわるよう丁寧に指示を受ける。ここでも本人確認を行い、バイタルサインに異常がないかをみると早速、硬膜外麻酔の処置が始まった。

 

・事前にネットでみていた体験記では、痛い派・痛くない派が拮抗していたような印象であったが、自分の場合は思わず「いって~、、、」と漏らしてしまうくらいの痛み。まあ、その後の苦痛と比べれば、なんてことはなかったと思う程度なので、さほど心配は要らないと思う。因みに、一本だけかと思ったが、痛みがまだ残っていると伝えると追加で何度か射された記憶がある。人によっては、麻酔がかかるまではちょっと我慢が必要かもしれない。

 

・硬膜外麻酔の処置が終わり仰向けになると、いつの間にか主治医と若い衆、手術看護師に囲まれていた。一言二言、先生に挨拶をしていると酸素マスクが口から外れた。「(酸素が)もったいないから、ちゃんとつけとこうか~」と口元にマスクを戻されると、意識がなくなった。

 

・目を覚ますと手術室。メガネがないので何もかもがぼやけて見えるが、先生の「リンパ節は大丈夫、腎臓も(部分切除で)残ったよ」の一言で、無事に全てが終わったんだと理解した。

 

・そのままベットに移され、エレベーターで自室に向かう。断続的に意識がなくなったような気はするが、エレベーター内で先生に「リンパ節をとるのに時間がかかった。傷口もちょっと大きくなったよ」と言われ、思わず左脇腹を見ようと体を起こそうとする。下半身が石にでもなったような感覚でまるで体は動かなかったが、看護師さんに慌てて止められる。先生には、「動こうとするくらいなら大丈夫だね」と言われた。

 

・そこからはまた記憶がない。ふと気付くと、家族がベットを囲んで自分を覗き込んでいる。体は全く動かせないが、脇に目をやると点滴・ドレーン・尿道カテーテルが布団の隙間から根を張っていた。

 

・全身がだるい。恐る恐る右膝を立ててみると、なんとか動く。

 

・左足は力が入らない。痛みがあるというよりは、痛みがどれほどか怖くてそっとしておくことにした。

 

・頭はびっくりするほどすっきりしている。泥のように眠った土曜の昼のようだ。意識は麻酔でぼやけた感じはするが、ここ一カ月の睡眠不足が解消したかのように頭痛が霧消している。今でも、あの感覚が懐かしいと思うほど気持良かった。全身麻酔の副作用でなければ良いけれど、笑。

 

・声の大きい姉が「腎臓癌は綺麗にとれたって!。リンパも大丈夫だったって!」と、摘出した癌の写真を見せてくれた。事前に姉に撮影を頼んでおいたのだ。

 

・実は、この後の及んでまだ良性の可能性を1%くらいは信じていたのだが、写真に映った臓器の中心部はなんだか黄色っぽい。んーこりゃやっぱり、いわゆるクリアセル(淡明細胞癌)だなあと覚悟した。

 

・暫くして家族は部屋を後にした。目を瞑ってみるが寝ている感じはしない。深夜まで、数時間ごとに看護師さんが点滴を換えに来てくれてたのを覚えている。

 

・朝まで浅い眠りのまま過ごしたが、それでも意外に気分は悪くはない。歩行開始は術後二日目からだが、すぐにでも歩ける気がしていた。