コグレ1/22 ホンダS500 2版 1964
さらに加筆修正2024.3.8
 
ホンダは1963年第10回全日本自動車ショーで
スポーツ500を発表。
★試作車・量産試作車は「スポーツ500」
市販車は「S500」
 
コグレもそれに合わせて、1963年年末に初版を
黄色のスポーツ500で発売。
 
 
 
このカラー写真は多分コグレ2版箱の写真の車(量産試作車)
 
コグレさんもより注目されるように、箱に当時のホンダの広報写真を使って新箱(2版)を発売。当時のカタログ・インストから1964年の発売と推定。
 
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★ニュルブルクリンク( Nürburgring
 
とにかく他社に先駆けて、注目のスポーツカーのプラモを
タイムリーに発売するのだという意気込みのためか、
プロトタイプと市販車の特徴がまざったキットとなったことは前回書きました。
 
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実車の市販は当初予告されたこの1963年10月ではなく、1964年2月からだったようです。
 
HONDA S500市販車(現在も完璧に走行する実車です。)写真提供:Mr.S500-FAN氏
 
フロントグリルは市販車型プレス一体成型ですが、タテの線を黒く塗ってあるそうです。
 
 
市販車のプレス一体成型フロントグリル
 
 
★ホンダS500などについては、
ミツマジコウさんのページが大変詳しいです。
 
で、コグレは、ちゃんと市販型S500を取材して、2分割バンパーを一本型に修正し、ボンネットにスリットを入れたりしたのでしょうか?・・・やってないようです。
 
 
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ホンダは1964年2月にS500の市販を始めたと思ったら、
翌3月からパワーUPしたS600の市販を開始。
そのためS500はわずか550台ほどしか市販されず、
大変稀少な車となりました。
(S600は1966年の生産終了までに11284台生産。)
 
ホンダの4輪乗用車第1号
 
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ホンダの車種発売速度の速さにコグレは市販車の十分な取材が間に合わなかったようで・・。

ただ、初版で出し入れの難しかった電池受けを改良し、
スイッチ部分をシンプルにしています。
ボディも2版後期ではドア下の凹凸をすっきりさせています。
(インストは書き換えてません)
 
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さらに、後ろのトランクについているエンブレムが市販車の「HONDA S500」ではなく、量産試作車の「SPORTS 500」のままになってます。
 
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実車のエンブレム
 
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でもホイールなんかは良い感じです。
 
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さて、2版箱なんですが・・
 
 
この2版が発売された64年には市販車を取材できたはずなんですが、箱に使っている写真はシートの色がベージュで、フロントグリルが溶接型のようなので量産試作車(プロトタイプ後期)ですね。市販車のシートは深い赤か黒。
おそらく1963年6月に「価格あてクイズ」の時の「広報車」のようです。
 
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同じ写真を見つけることはできませんでしたが、
ミツマジコウさんのご協力で、おそらく同じスポーツ500
量産試作車の写真をUPできました。
(このページ2枚目の写真がそのカラー版です)
明るい色のシート・広告用ナンバープレートが一緒です。
 
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まあ、量産試作車と市販車はシート・トランクのエンブレム・フロントグリルが溶接か一体成形か・メーターパネル・・・など細かい違いで、全体的には同じですから、一般によく知られていた赤いスポーツ500の写真にしたのでしょうか。
 
でもその結果、当時の貴重な
量産試作車ホンダスポーツ500
(市販車はホンダS500 )
の姿を残すことになりました。
 
2版箱側面写真
 
 
さらに側面には珍しいアメリカテスト車(量産試作車中期)
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この側面のプロトタイプの写真はミツマジコウさんによると、いまだ明確になっていない中期プロトタイプ(スポーツ360改スポーツ500)の珍しい写真だそうで・・・
 
結論として、このキットは1963年後期のプロトタイプ~量産試作車でしょうか・・・
 
結局、タイムリーな商品化を急いだコグレさんのおかげで、市販車のスケールモデルとしては間違いが多いものになってしまいましたが、HONDA S500の研究には貴重な資料がつまったキットとなったようです。
 
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コグレさんは予告したビッグサイズやモーター3版・ゼンマイ版・スロット版は発売しませんでした。
 
しかし、パワーUPしたS600 をこのS500を利用して翌1965年に発売します。
 
さらに1967年にコグレが倒産したあと、金型を受け継いだ
バンダイがS600を発売します。
次回はそのコグレS600 とバンダイS600についてであります。