前回、FT-101の外部オプションのデジタル表示器・YC-601には、バンドスイッチが付いていたと書きました。しかし、少し遅れて出てきたトリオ最初の外部表示器、TS-520用のDG-5では切り替えなしの直読を実現しています。
私はこの頃、デジタル表示付きの受信機・八重洲 FR-101DDを使っていましたが、毎度キャリブレーションが必要なデジタル表示なのは面白くありません。ただでさえセパレート機のFL/FR-101ラインはトランシーブとは言いながらもバンド・モードの変更ごとに周波数の一致操作が必要という不便があるのに、同じような手間の操作が一つ追加された感じになるのです。
そこで、FR-101はアナログ機と併売された関係上、カウンターユニットが単独で簡単に外せる構造なので、自作の直読カウンタと入れ替えることとしました。
直読化の方策としてトリオDG-5はアナログのミクサーがありますが、自作かつ内蔵では信号系以外のミクサーの導入は不要輻射の警戒から避けたく、全てをデジタルで処理しました。具体的にはアップダウンカウンタの74LS192にキャリア周波数をプリセットし、バンド水晶発振をアップカウント、VFOをダウンカウント、というシーケンスを0.22秒サイクルで組んだのです。PIC/AVRといったマイコンなどない時代ですからICは約30個を要し、これが私がワイヤ・ラッピング配線を全面的に使ってみた唯一の製作物です。
キャリア周波数は低音の出方とかキャリア抑圧に直結するので滅多に触るべきものではなく、従って測定済の固定値をROMから読めば充分でした。その256ビットのヒューズROM(書き間違えたら再起不能)は1,000円以上もして、こういう部品はメーカーには採用しにくかった事でしょう。
LC発振のVFOがシンセサイザーと操作感で違うのは、周波数のカウントが終了してからしか表示は変化しないので、ワンテンポで済まないほどの遅れが出ることです。ただし当時の我々はそれに慣れ切っていたので、むしろシンセサイザー式の完全にダイヤル回転と同調した動きの方が最初は違和感があったくらいです。