真空管が一線を退いてからは「ソリッド・ステート」とか「固体化」という表現は廃語化しつつありますが、1970年代というのはまさにその移行期です。初期には八重洲FT-401とかトリオTS-510といった、VFO以外は管球式という機器が主力の時代です。一方、後の方になると八重洲FT-301とかトリオTS-180、アイコムIC-710などで100ワット機も半導体化が出てきています。
トランジスタが壊れやすい部品とされていた頃、CQ誌にTO-3のパワートランジスタを修理するという読者投稿がありました。内部配線の断線の可能性が高いのでパッケージの角をヤスリで一周削って開封し再接続するというものです。さすがにその頃でも驚き物でしたが、実際にやってみるとヤスリ一本での開封がかなりの手間で、トランジスタが貴重だった頃から扱ってきた人なのだろう、という歴史を実感できました。ましてRF用のパワートランジスタなど無いか、あっても極めて高価で、1970年頃は50ワット位が当面の目標になっていたかと思います。そこで誌上で見かけた数々の実験では、安いトランジスタでも1.9MHzなら?とか、米CTC社の素子を輸入してみた(結果は良いが入手自体がハードル)とか、あるいはパワーが目的でもないのですが、ビュア・コンプリメンタリでの試作などがありました。
そんな中、私も「これからは」とばかりに八重洲FT-301を購入しています。100ワット機の走りの頃ですから歪特性も耐力も余裕はありません。しかし一応フルキャリアは30秒間までと説明書にもある通りで、悪評に立った「終段がすぐ壊れる」、というほどでもありません。そう言われてしまったのは、「違法CBに使われたアマチュア機」でも書きましたがAM変復調回路とAMフィルターのオプション、11mバンドポジション付きに加えて改造も極めて容易、と、何もかもが違法CBに適していたからでしょう。
SSDくらいしか「ソリッド・ステート」という言葉を見ない今の世代は、昔のステレオのパネルにSOLID STATEとあるのを見て何の事だと思うのでしょうか