演劇の脚本を書くのは大変だ。
何が大変って、一番はまずノルのに時間がかかる。色々、考えていくと突如、神が降臨し筆が進む。
しかし、たとえ筆が進んでいても今度は「枚数」との勝負になってくる。うちの作品は、まだ立ち上げて1年ちょっと・・。僕の作品としては今回が3作目だ。だから、自分の「作品への自信」とは別にお客様へあまり負担をかけないという意味で上演時間の制限を決めている。
90分以内
これは、もし作品の内容がものすごく面白かったとしても、使用する劇場の席のことも考えてのことである。やはり映画館に比べると、小劇場の多くの椅子は長時間座るのに適していない。
僕自身、内容は面白かったのにお尻が痛い・・なんて経験はよくある。
だから、90分以内。一番良いのは80分という制限を自分に課した。
しかし、これが曲者である。
ラストを盛り上げるためには、それまでにキャラに感情移入させなければいけない。どれだけ、キャラに感情移入させられるかによってクライマックスの盛り上がりが変わってくる。ただ、そのためには、やはりある程度の時間をかけなければいけない。
だって、仲の悪いキャラ同士を仲良くさせるためには、それなりの会話、もしくはエピソードが必要でしょ?だから、僕的には10分かけたい・・けど、5分でなんとかしなければいけない。なんてことが、ザラにある。これを如何にうまく切り抜けるか?脚本と演出、芝居を総動員して考える。
僕の経験的には、こういうピンチに陥った時は、あまりセリフを使わないほうがいい。言葉なき言葉を駆使するのだ。そして、無言の芝居によって観客の頭の中に「セリフ」を想起させるのだ。こうすれば、実際に役者が話すより多くのセリフを観客に届けることができる。
だから、僕にとって脚本とは可能な限り完成に近いほど練るが、完成はありえないものなのである。
ちなみに、今回の「労働者」はかなり難しいテーマを扱っており、到底すべてをセリフでは言い表せない。しかし、90分の壁を超えることも許されない。だから、エンターテイメントを装いながら、観客に「えっ?それはおかしくないか?」「いいのか?そんなこと言って!」と感じさせようとしている。そうして、観客一人一人の中で解決策を生み出して欲しい。なんて考えながら、チコと戦いながら脚本をつくった。
皆さん、お楽しみに!