エイリアンの書店侵略

エイリアンの書店侵略

ぼくエイリアンが、地球上の書店を侵略していきます。ビジネス書を中心に、書店のレビューも。


「ビジネス書の侵略」「書店の侵略」(= 「ビジネスマンの侵略」「情報の侵略」)

  

「地球の侵略」!!



5月4日からTVアニメ第7期の放送がスタートする『僕のヒーローアカデミア』(堀越耕平、集英社)。TVアニメもついに"最終決戦"に突入するが、原作(コミック)ではいよいよ最終盤を迎えている。


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「ヒロアカ」はジャンプでいうところの王道バ トルマンガを地でいく人気作品ですが、この作 品にはいわゆるバトルマンガとは違うところが あって、バトルそれ自体やそのバトルに勝つこ と以上に、「救ける(たすける)」ことに重きが置かれている。ただ勝つ、敵を打ち負かすのではなく、救けて勝つ。勝って救ける。それが作品の魅力となっている。


救けて勝つ/勝って救ける

能力バトルや強大な敵との戦いはなんといっても見もの。一方で、友達が抱える心の葛藤や家族とのわだかまりに全力でぶつかる体育祭も、凄惨な生い立ちから笑い方を知らない少女を笑顔にしようと奮闘する文化祭も、クラスメートとみんなの笑顔のために屋上で叫ぶ少女の主張も、本作ではハイライトだ。

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物語は佳境に突入している。アニメ冒頭のナレーションでも語られるが、これは僕(主人公:デク)が最高のヒーローになるための物語。そして最高のヒーローとはおそらく、闇に墜ち憎しみに包まれてしまった最凶の敵でさえも救け出すヒーローなのだろう。
最終章から目が離せない。

爆豪の物語でもある:★★★★★
 


短く書かれた時間術の本。内容もワンテーマですぐに読み終えられる。『金より価値ある時間の使い方』(アーノルド・ベネット、 角川文庫)を読みました。

書かれているのは優先順位や効率化といった類のメソッドではなく、言うなればダラダラ過ごしている時間、その有効活用のすすめ。本書でいう時間とは、夕方六時に会社を退勤した"後"の時間を指します。

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書かれている方法論は次のとおり。 
①一日のプロローグ・エピローグという無意識の認識を捨てる。
 会社を午後六時に出た後~翌朝十時に会社に行くまでのこの十六時間と、仕事のオンタイムである八時間を区分しないこと。八時間アクセルを踏んで、残りをエピローグ・プロローグとしてアイドリング状態でもったいなく過ごさないこと。頭の休息は睡眠があれば十分。 
②新聞は通勤時に読まない
  新聞は細切れの時間でもさっと読める。せっかくのまとまった時間は別の事に使う。列車で新聞を読まなければ(もちろんスマホをダラダラ見することもなければ)ここで三十分~四十分/日の貯金ができる。
③一週間のうちの七時間半で奇跡を起こす 
 会社を出てから寝るまでに三時間は取れるはず。けどそこまで張り詰めて暮らすというのもアレだから一晩おきに、半分の一時間半なら取れるであろう。一週に三晩、これで四時間半/週、②とあわせて七時間半/週を貯金できる。
④週末は予備日にする 
 何かを達成出来ようと出来まいと、精神衛生上、週末はもともとなかったものと考える。
⑤汝自身を知る
 行きの列車と帰宅する列車の中では内省する時間を取る。新聞を読んだりはせず、自分は今何を思うのかどうしたいのか何に心を囚われているのか。自分自身の心をコントロール出来るようになるよう努める。
⑥テーマを決めて没頭する
 あれこれ手は出さず、テーマを決めて没頭して学ぶ。哲学でも、音楽でも文学でも他の芸術でも、または何か仕事に関係する事柄でも、はたまた芸術や文学に限ることなく自分の興味が向くものなら何でも、七時間半/週を一年でも学び考え続ければ、玄人はだしの博覧強記の人になっているであろう。
(※仮に文学に没頭しようという場合、本書では小説を推奨していない。小説は楽しく快適なものであり「熟慮を要する読書」にあらず。目的は読破ではなく自分の頭で考えること。著者は難解な詩を読むことを薦めている。)

ぼくを含め結構な人が①の認識に無意識に囚われているんじゃないかと思います。このマインドチェンジが出来れば大きい。時間は生み出そうと思えばいくらでも生み出せるし、いつかの部活動や恋愛などを思い返してみれば限られた時間だっていくらでも最大効率で没頭出来る。

週に三晩でまず慣らす所からだとしても、一週間で七時間半、一ヶ月では三十時間、一年で三六〇時間にもなる。一晩の時間を増やせば、あるいは週に四晩、五晩としていければ。それが三年間続いたとしたなら…
奇跡、起こせそうですよね(単純) 

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本書の功績はその時間術もさることながら、時間をムダにして無為に過ごしてしまっている人がそれでも「これじゃダメなんだよ」と思いながら何となく抱えている不安や罪悪感の様なものをうまく言語化してくれている点だと思っています。声高に「それじゃダメだ」というわけでもなく、「不安だよね、けどダラダラしちゃうよね、わかるよ」と寄り添ってくれるわけでもなく、言葉にしたところで何の解決にもならないけど、かみ砕いて分析する事をまずしてくれているから、何というか信用できる。

漠然としたこの気持ちの正体。ぼくなんかはすごく腑に落ちたのでそちらの一節を紹介して終わりたいと思います。

この漠とした落ち着かぬ願望をさらに分析すれば、それが、自分たちが忠誠心や道義心からやらなくてはならぬこと以外に、何かしなければならないと思い込んでいる固定観念から発していることがわかるだろう。人は皆、あれこれ定められた規則や不文律に従いながら、自分や(家族がいれば) 家族が健康で快適に暮らせるように努めている。支払いをし、貯金をし、効率化を図ってよりよい生活ができるように努めている。
それだけでも大変だ!誰にでもできることではない!とても無理ということだってある!だが、うまくできたとしても、満足はできない。まだ例の骸骨がつきまとってくるのだ。
しかも、自分にはむりだ、自分にはできないとあきらめながらも、「限界を超え ている自分の力を振り絞って、もうひとがんばりできさえすれば、こんなに不満を感じずにすむのでは?」と思ってしまうのだ。
それがまさに事の真相である。通常やれていること以外の何かが自分にはできるのではないかと思うのは、ある程度頭のよい人たちに共通することだ。その願望を充足すべく何をすればいいのか。まだ始まっていない何かが始まるのを待つ落ち着かない感覚が、心の平安を乱しつづける。

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寝るまでの時間、スマホを触っては置き、何となくショート動画を観て気づけば一時間以上溶かしてしまっている晩の時間を、一日のエピローグとして割り切ってしまうのも自由だし、より豊かに過ごさんと行動を起こすのも自由でしょう。

けど「面倒くさい」「今日はその気分じゃない」を乗り越えて行動を起こした先に、それを継続することが出来たならば、没頭出来るテーマを見つけることが出来たならば。習慣の力が大きな成果と自信をもたらしてくれるはずです。 

 誰もが心に例の骸骨を抱えている:★★★★☆


 

君はただ「会社」から言われたとおりに働き続けるのか?─

 

「起業」と「企業に勤めること」は一見相反するようでいて、起業家のように自己成長を続け、やらされ感なく楽しそうに、自律的に働いて会社をも牽引することは、企業にいながらでも可能である。組織人事コンサルタントの傍ら大学で“リーダーシップ論"の教鞭を取る著者がすべての社会人に問いかける「起業家マインド」のすすめ、『起業家のように企業で働く』(クロスメディア・パブリッシング、小杉俊哉)を読みました。

 

<目次>

  • はじめに
  • Chapter0 君はただ「会社」から言われたとおりに働き続けるのか?
  • Chapter1 志をもつ
  • Chapter2 起業家のように仕事をするうえでやるべきこと
  • Chapter3 大きな仕事は企業でこそできる
  • Chapter4 転機をつくる
  • Chapter5 企業内で勝っていくためのスキル

 

わかりやすく起業・独立だとか転職によるキャリアアップ…といったものに限らず、企業で働くことでも十分に自身のキャリアを開発することはできるし、自己実現・成長の機会には恵まれているということを感じさせてくれる一冊。

 

企業内で起業するために、

●起業家が自身(自社)のミッションをビジョンに落とし込むように自身のミッションをビジョンに落とし込んだものと会社のビジョンをオーバーラップさせることで日々の“やらされ感”をなくす。

●起業家が投資家の評価を気にするように相手の期待を上回るプロになる。プロとして覚悟を持つ。結果にこだわる。チームに貢献する(ことを第一に考える)。

●マネージャー(管理者)におさまることなく起業家のように自らがリーダー(革新者、挑戦者)となってリーダーシップを発揮する。個の力を磨く。

●起業家が人脈・コネクションを使ってビジネスチャンスを拡げていくように、企業家として社内(外)で名前を売り、人脈(信頼)を築くことで仕事をやりやすくする。

企業家における人脈・コネ:

他部署の引っ張ってくれる人や助けてくれる後方支援部隊の人といった社内リソース(や他社の人)を増やしていき活用すること。

●自身のキャリアを“自律的に”考える。自分からキャリアを仕掛け、自ら形づくっていく。

 

それは決して会社にしがみつく・ぶらさがるということではなく、企業家の利点である会社のリソースを使って自分のやりたいことをやるということ。志=ビジョンをもち、その気になれば、チャンスはそこらじゅうに転がっている。

 

そしてCHAPTER4.転機をつくるの項では、異動やジョブローテという形で“転職や起業ほどのリスクを伴わずにそれに近い経験や成長のチャンスを得られる”社内転職・社内起業こそ企業に身を置くことの最大のメリットであると説きます。

 

転機をつくるために、

●異動や出向という名の転職で仕事の幅を拡げる。

●海外での仕事の機会や新規事業などに積極的に手を上げる。

●難易度の高い仕事を受ける。

●あえて畑違いの部門を志向する。

などすることで、企業にいながらにして、どんな場所・環境・職においても成果を上げてゆける強さを身につけられるわけですね。

 

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「起業家マインド」を持てば、サラリーマン・会社人であっても、自分の市場価値を常に意識したり、自分のモチベーションの源泉である志=(キャリア・)ビジョンを明確に描けたり、日常をただ1日、1日と埋没させることはないのではないでしょうか。

 

…とここまで書いたところですが、著者が「おわりに」でも語っている通りタイトルありきというか、“起業家のように“の文句は受け取る人によっては大げさかも。“主体的に“とか“自律的に“くらいに置き換えて、あくまで起業家という視点を絡めたチャレンジングに会社勤めをしていくための内容、くらいに思うのがいいかもしれません。いちばんページが割かれている最終CHAPTER5も「企業内で勝っていくためのスキル」ですしね。

前半との関わりは浅く、起業家として〜の語り口も鳴りを潜めますが、いいこと書いてました。(特に上の2つ↓)

 

CHAPTER5.企業内で勝っていくスキル

●「最速」か「最高」でないと勝てない─仕事は完成度と時間のかけ算

●アサーション

●上司とうまくやる

●伝える・伝わる表現

非言語情報が9割(メラビアンの法則)/そして言語部分も“伝え方が9割“→前向きな表現を

●ギブアンドギブ⇔返報性、鏡の法則、ミラーニューロン

●Being、ビージャ:種子(エグゼクティブ・コーチング)

●経営幹部の早期識別に関する11の次元(『ハイ・フライヤー次世代リーダーの育成法』モーガン・マッコール)

 

冒頭の問いかけから始める本書の内容は、"著者からビジネスマンに向けた手紙"という体をなして書き進められていき、最後はこう締め括られます。

 

君はどこでも活躍できる : ★★★☆☆