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君はただ「会社」から言われたとおりに働き続けるのか?─
「起業」と「企業に勤めること」は一見相反するようでいて、起業家のように自己成長を続け、やらされ感なく楽しそうに、自律的に働いて会社をも牽引することは、企業にいながらでも可能である。組織人事コンサルタントの傍ら大学で“リーダーシップ論"の教鞭を取る著者がすべての社会人に問いかける「起業家マインド」のすすめ、『起業家のように企業で働く』(クロスメディア・パブリッシング、小杉俊哉)を読みました。
<目次>
- はじめに
- Chapter0 君はただ「会社」から言われたとおりに働き続けるのか?
- Chapter1 志をもつ
- Chapter2 起業家のように仕事をするうえでやるべきこと
- Chapter3 大きな仕事は企業でこそできる
- Chapter4 転機をつくる
- Chapter5 企業内で勝っていくためのスキル
わかりやすく起業・独立だとか転職によるキャリアアップ…といったものに限らず、企業で働くことでも十分に自身のキャリアを開発することはできるし、自己実現・成長の機会には恵まれているということを感じさせてくれる一冊。
企業内で起業するために、
●起業家が自身(自社)のミッションをビジョンに落とし込むように自身のミッションをビジョンに落とし込んだものと会社のビジョンをオーバーラップさせることで日々の“やらされ感”をなくす。
●起業家が投資家の評価を気にするように相手の期待を上回るプロになる。プロとして覚悟を持つ。結果にこだわる。チームに貢献する(ことを第一に考える)。
●マネージャー(管理者)におさまることなく起業家のように自らがリーダー(革新者、挑戦者)となってリーダーシップを発揮する。個の力を磨く。
●起業家が人脈・コネクションを使ってビジネスチャンスを拡げていくように、企業家として社内(外)で名前を売り、人脈(信頼)を築くことで仕事をやりやすくする。
企業家における人脈・コネ:
他部署の引っ張ってくれる人や助けてくれる後方支援部隊の人といった社内リソース(や他社の人)を増やしていき活用すること。
●自身のキャリアを“自律的に”考える。自分からキャリアを仕掛け、自ら形づくっていく。
それは決して会社にしがみつく・ぶらさがるということではなく、企業家の利点である会社のリソースを使って自分のやりたいことをやるということ。志=ビジョンをもち、その気になれば、チャンスはそこらじゅうに転がっている。
そしてCHAPTER4.転機をつくるの項では、異動やジョブローテという形で“転職や起業ほどのリスクを伴わずにそれに近い経験や成長のチャンスを得られる”社内転職・社内起業こそ企業に身を置くことの最大のメリットであると説きます。
転機をつくるために、
●異動や出向という名の転職で仕事の幅を拡げる。
●海外での仕事の機会や新規事業などに積極的に手を上げる。
●難易度の高い仕事を受ける。
●あえて畑違いの部門を志向する。
などすることで、企業にいながらにして、どんな場所・環境・職においても成果を上げてゆける強さを身につけられるわけですね。
* * *
「起業家マインド」を持てば、サラリーマン・会社人であっても、自分の市場価値を常に意識したり、自分のモチベーションの源泉である志=(キャリア・)ビジョンを明確に描けたり、日常をただ1日、1日と埋没させることはないのではないでしょうか。
…とここまで書いたところですが、著者が「おわりに」でも語っている通りタイトルありきというか、“起業家のように“の文句は受け取る人によっては大げさかも。“主体的に“とか“自律的に“くらいに置き換えて、あくまで起業家という視点を絡めたチャレンジングに会社勤めをしていくための内容、くらいに思うのがいいかもしれません。いちばんページが割かれている最終CHAPTER5も「企業内で勝っていくためのスキル」ですしね。
前半との関わりは浅く、起業家として〜の語り口も鳴りを潜めますが、いいこと書いてました。(特に上の2つ↓)
CHAPTER5.企業内で勝っていくスキル
●「最速」か「最高」でないと勝てない─仕事は完成度と時間のかけ算
●アサーション
●上司とうまくやる
●伝える・伝わる表現
非言語情報が9割(メラビアンの法則)/そして言語部分も“伝え方が9割“→前向きな表現を
●ギブアンドギブ⇔返報性、鏡の法則、ミラーニューロン
●Being、ビージャ:種子(エグゼクティブ・コーチング)
●経営幹部の早期識別に関する11の次元(『ハイ・フライヤー次世代リーダーの育成法』モーガン・マッコール)
冒頭の問いかけから始める本書の内容は、"著者からビジネスマンに向けた手紙"という体をなして書き進められていき、最後はこう締め括られます。
君はどこでも活躍できる : ★★★☆☆