こんばんは。


ご訪問くださり、ありがとうございます。


こちらでは、腎不全の方、腹膜透析をしている方、透析前の保存期のかたに何らかのお役に立つと思われる情報を書いております。


食事制限(たんぱく質制限、カリウム・リン制限、減塩)下でおいしくごはんを食べるために便利な食材(食品)については、過去に①〜⑦と、外食篇、おやつ篇2回、の合計10回で連載しました。

また、食品の成分の調べ方と、どうやったら楽に献立をたてられるかについても、前の記事でご紹介しています。


 ※成分の調べ方です。


腎不全のかたは、カリウムやリン制限のせいで、栄養面で悩んでいるかたが多いと思います。


そこで、前回、前々回から連載で、


食事で摂取すべき「栄養」とは何か

それが1日にどれぐらい必要か

制限をキープしつつ必要な栄養をとるには何をどう食べたらいいか


を検討しております。


これから、ビタミン別に、具体的な野菜などをあげて、当該ビタミンをとるためにはどういう食べ方をしたらいいか検討していきたいと思います。


今回は、まずビタミンA(カロテン)について検討します。


ビタミンA(カロテン)の所要量

50歳以上の成人

1日当たり、1800〜2000IU

(レチノールとしては540〜600μgRE)



【動物性ビタミンAについて/うなぎ】

ビタミンAは、緑黄色野菜のほか、うなぎにも多く含まれています。

野菜のカロテンは体内でビタミンAに変換されて使われますが、うなぎのビタミンAはそのまま使用されます。
しかも、うなぎのビタミンAは、含有量が野菜に比べてダントツに多いです。

ビタミンA(レチノール)活性当量は、100g当たりで、

野菜類トップの「油炒めにんじん」が
1000μg
(カロテン12000IU相当)
     ※所要量6日分です。
に対して、

うなぎ
1500μg
      ※所要量9日分です。

と圧倒的です。

カリウムは、
 炒めにんじん 400mg
に対して
 うなぎの方が低く 300mg です。

うなぎ偉い!

ただ、うなぎの弱点は、
 リンが280〜300mgある
ことで、炒め人参のリンは37mgです。

うなぎにはビタミンB群もたくさん入っていて、昔から言われているように元気回復食材なのですが(ビタミンB群についてはまた別の記事にします)、お値段もかなりお高いですし、絶滅危惧種なので、特別に疲れたときに、うなぎ一本行っとく?な感じで食べるといいかもしれません。
ビタミンAは脂肪に蓄積されるので、うなぎを食べとくと1週間分ぐらいのビタミンAを蓄積できそうです。
こんな記事を書いていたらうなぎが食べたくなり、ちょうど1000円で小型うなぎを特売してたので買ってしまいました。ラストに塩分の少ないうなぎの食べ方を書きます。

【緑黄色野菜のランキングと調理法】

さて、それでは緑黄色野菜に行きます。
ほうれん草が一覧表にない理由は後述します。
※うなぎは参考値です。

①にんじん

とにかくカロテン含有量でダントツ一位です。
しかもカリウムが少なく、非常に優秀です。
調理法により成分が変わります。
皮なしにんじん100g当たりの成分(IU/mg)は、

調理法  生 /ゆで /油炒め
カロテン 8300  /8700  /12000  IU
カリウム 270 /240 /400  mg

しかし、1日の所要量が2000IUですから、1日なら、この1/4の量=25gをとれば十分です。
25g当たりに換算すると、

調理法  生 /ゆで /油炒め
カロテン 2075 /2175 /3000  IU
カリウム 68 /60 /100  mg

この程度なら、カリウムはどの調理法でも無問題です。→生でスティックや、油炒め、バター乗せてレンチンでもOKです。

にんじんの分量見本としてレンチンでグラッセを試作したものをご覧ください。

小一本が皮をむいて100gです。
なお、ブロッコリーもこれで100gです。
 ↓

にんじんを輪切りにしてボウルにいれ、表面にグラニュー糖を薄くふりかけて無塩バターを乗せます。


ラップしてレンジ600wで1分30秒チン→ラップをとって混ぜて、そのままラップなしでさらに1分30秒チン、
で、にんじんグラッセのできあがりです。

上のガラスボウルは2人分、1人分は下の小鉢の中身で、輪切りが5個ぐらいで50gです。
 ↓

この量で2日分のカロテン在中です。
さきほどの1日所要量だけでいいなら、さらにこの半分の輪切り2個ぐらいですみます。
ほぼ5分で作れて塩分0ですので、ノルマ達成用にグラッセは非常に便利です。

そのほか、にんじん料理については、山本ゆりさんがめちゃくちゃおいしい品をいろいろお作りになっておられます。
 

 


作り置きOKだそうですので、作っておくのもありかと思います。

※ニンジンの皮むきにあると便利な皮むき器、無印良品のものがめちゃくちゃ優秀でした。ヘンケルよりよかったです。
これで薄くはぎとれば、きんぴらもラクラク作れます。
 ↓


② 春菊
春菊はアク(シュウ酸)がなく、しかも葉は柔らかくてくせがないです
臭くて固くてまずい、と、春菊がお嫌いな方が多いと思いますが、
臭くて固くてまずいのは茎のみなのです!

春菊は、

調理法  生 /ゆで
カロテン 4500 /5300
カリウム 460 /270
葉酸     190 /100

と、非常に優秀な素材です。ゆでるとカリウムが減り、カロテンは増えます。
さっと一瞬、お湯でしゃぶしゃぶするだけで使えます。カロテンがとても多いので、少量でノルマ達成です。
重量見本をご覧ください。

買ってきた春菊、10本ぐらいあります。
 ↓

4本取り出します。62gです。
 ↓

茎から葉をむしります。手でOKです。
葉だけにすると約半分の30gになります。下にあるのが茎です。茎はまずいので容赦なく捨てます。 
 ↓

葉だけさっとゆでて水にとり、水を絞ってから、ごまを指でひねりながらパラパラかけて、ゴマダレを小さじ1位かけてあえます。これで終了です。やはり5分で完成します。
30gでカロテン900IU、1日分の半分になります。
 ↓


③ 小松菜

調理法  生 /ゆで
カロテン 3100 /3100
カリウム 500 /140
葉酸   110 /86

と、ゆでても栄養が減らず、カリウムだけ減るという貴重な野菜です。
ノルマ達成用に、ゆでた小松菜は重宝です。こちらも一瞬で火が通ります。

④ にら

調理法  ゆで /油炒め
カロテン 4400/4600
カリウム 400/600
葉酸   77/140

カリウムが多いですが、にらを100gも食べたりしないと思いますので、少量使うと栄養の補充に便利です。


⑤ ブロッコリー

ブロッコリーは、カロテンはさほど多くありません。
しかし、意外や、ビタミンCと葉酸がすごいので、マルチタレントとして貴重です。また、レンジでチンして蒸し料理にすると、生のときとほぼ同じ栄養となり、ビタミンCの補給に使えます。(但しカリウムは多いです。)

調理法  ゆで /レンジ
カロテン 830  /900
ビタミンC 55  /140
カリウム 210  /460
葉酸   120  /220

ビタミンCの所要量は100mg
葉酸の所要量は200μg
なので、レンチンのブロッコリー100gを食べれば、カロテンは1日の所要量の半分ですが、ビタミンCと葉酸はクリアできます。
こちらの小鉢でブロッコリー50gです。
ほんの少し、という感じです。


ノルマ用におすすめできる一軍の緑黄色野菜はこんな感じです。

【ほうれん草がお勧めできない理由】

ほうれん草にはシュウ酸が含まれています。
ゆでてから水にさらせばシュウ酸は抜ける、と言われてきたと思いますが、カリウムと同じで、半分ぐらいしか抜けません。

シュウ酸は、腎臓にダメージを与える成分で、たまると腎臓結石になり、激痛に襲われたうえ、腎機能がすごく下がります。
なので、ほうれん草は、食べるとしてもたまに、味を楽しむ程度で召し上がるほうが無難だと思います。

少なくとも腎不全のかたが健康のために食べるという野菜ではないような気がします。
 シュウ酸の注意点です。
 ↓



【おまけ/塩分を減らしてうなぎを食べる方法】

うなぎは栄養面でとても優れているのですが、うな丼はごはんにかけるタレの塩分が危険な感じです。

市販のパックうなぎ(専門店やデパ地下の焼き立て高級品を除く)は、表面にトロッとしたうなだれが塗られていますが、専門家によると、あれは売り場で見た目を良くするためのもので、タレに片栗粉などが入っているので、かえってまずくなるのだそうです。

買ってきたパックのうなぎは、まず水道水で表面のドロッとしたタレを洗い流し、それから焼き直すとふっくらとおいしくなるとのことでした。

フライパン焼きやグリル焼きなど、いろんな方法がありますが、おすすめは

魚焼きグリルにアルミホイルを敷いて、お酒を大さじ1かけて焼く

方法です。

表面のタレを洗い流したうなぎは切って、アルミホイルを敷いたグリルに並べ、日本酒大1をかけます。
 ↓

魚焼きグリルで焼きます。すぐに上火で表面がこんがりしてくるので、表面が少し乾いたなと思ったら終了です。アルミホイルをうまく丸めて捨てればグリルは綺麗なままで、洗い物が少ないのもお勧めポイントです。
 ↓

(酢大1、めんつゆ小1,砂糖かみりん小1、おろしショウガ小1/2、水大1)
を混ぜて合わせ酢をつくり、焼きたてのうなぎにかけ、山椒をふって「うざく」にすると、うなだれをかけなくても、さっぱりとおいしく食べられます。
繊維質をとるため、湯通ししたわかめと合わせました。
 ↓

…ということで、緑黄色野菜の一軍選手によるノルマ野菜料理を適宜組み込んで、あとはお好きな野菜を使った料理をカリウムやリンの制限範囲内でお楽しみいただくと、いろいろ気苦労がなくてよいのではないかと思います。

わが家では
「困ったときはブロッコリー」になっております(笑)。

次回は、ビタミンCに行きたいと思います。
(毎日、キッチンの下水にビタミンCを大量に流してると思うと悔しいですね。)

どうぞよろしくお願い申し上げます。