紹介議員さんに伝えた内容です。
請願に至った理由です。
長文ですが、そんなに読みにくい文章ではないかと……(笑)
私がダブルケア当事者の集いの場、おしゃべりの場、想いの共有の場『ダブルケアカフェ』を開催するようになったのは、平成29年(28年の間違いでした)3月です。そこから水沢会場で月1回、のちに花巻会場と江刺会場で隔月開催するようになり、3年と8カ月が過ぎました。令和元年10月時点で開催回数68回、延べ238人の参加がありました。この人数には、当事者だけでなく、興味があって来た方、お仕事関係で来た方を含めた大人の数字です。子どもの数は含めていません。
このダブルケアカフェで出会ったダブルケア当事者は15名です。私たちが主催した勉強会等で出会った当事者まで含めると、20名以上となります。
私がこのダブルケアカフェを開催するようになった理由は、私自身が当事者で、誰にも相談できず、子どもと認知症の義母と過ごす時間がとても苦しいものだった経験からです。ママ友には介護の話はしづらく、子育て支援センターに行く回数も減り、かといって介護者教室に行っても、まったく年齢層の違う人たちの集まりだったために、自分の思いを共有できる場所が欲しいと思っていました。そこで、無いのなら、自分で立ち上げようと、『ダブルケア仲間』探しから始め、徐々に同じ思いのダブルケアラー(ダブルケア当事者)が集まるようになり、現在に至ります。分類でいくと、当事者同士のピアサポートの場であり、専門家の居る場所ではありません。
最初は、このダブルケアカフェだけを細く長く継続していけばいいと思っていました。ですが、ダブルケアカフェの開催を重ねるうちに、カフェ参加者たちから、介護や子育ての専門職でも『ダブルケア』という言葉や、その抱えている悩み、問題への理解が薄くて、ガッカリすることがある。窓口でダブルケアの説明をして疲れてしまった。という声を聞くようになりました。
そこで、当事者の想いの共有の場の設置だけでは足りないのではないか、当事者が自分たちの想いや、置かれている状況を発信していく必要があるのではないかと考え、2017年11月にはシンポジウムを、2019年2月と6月には勉強会を開催しました。
岩手県では、2018年に『いわていきいき2020』にダブルケアの記載がされ、さらには今年度からのいわて県民計画にも『ダブルケア』という言葉が載りました。これは、全国でも例が無く、岩手県は取り組みが速いと、ダブルケア研究の第一人者、横浜国立大学教授の相馬直子先生がおっしゃっていました。わたしは、総合計画の素案の段階で、ダブルケアの言葉があることに気付き、心の中で、『これで岩手県全域でダブルケア支援の輪が広がり、ダブルケアへの理解が深まる。孤独に抱え込むダブルケアラーが減っていくであろう』ととても期待を抱きました。なぜなら、そのころには私の元には、奥州市のみならず、他の市町村のダブルケアラーからも声が届いていたからです。しかし、私の想いがいくら強くても、奥州市より遠い地域で直接私がダブルケアカフェを開くなどの支援はできません。ですから、総合計画にダブルケアが記載されたことは、私にとって、どうか、遠くにいるダブルケアラーの近くに、理解者となってくださる方が増えますように、という希望を持てるものであったのです。
それと同時に、総合計画に載ったことで、私たちが開催する『ダブルケア勉強会』は、支援者や政策に関わる方々にとって、きっと必要な勉強会になる!と、一生懸命助成金申請をしたり、横浜の講師方と連絡を取り合ったり、もろもろの準備をして開催してきました。私は、行政がなんでも主導すればいいとは思っていません。すこしおごった考えだったかもしれませんが、ダブルケアというまだ聞きなれない問題の勉強会を県に代わって、講師とのつながりや、勉強会で必要な事のノウハウを持った私たちが助成金という方法を用いて、県の予算を使うことなく開催しているつもりになっていました。
しかし、実際には、そんなに参加者は増えませんでした。
2017年シンポジウムは約60名。@奥州市
2019年2月勉強会は26名。@奥州市
2019年6月勉強会は25名。@盛岡市
2019年の2月と6月には県の長寿社会課の方がいらしてくださいましたし、男女共同参画センターの方もいらしてくださいましたが、県から子育て関係の方はいませんでした。私たちダブルケアは長寿社会課だけの問題でしょうか?私たちは平均年齢で言うとおそらく40歳くらいです。子どものいる父親母親です。子育て関連の方はダブルケアに興味が無いような気すらしてきました。
そこで思うのです。きっと『ダブルケアってどこで担当する問題?』となった時に、どこの課も積極的には引き受けたくないのではないか…だって忙しくなるもの。『介護でしょ?子育てでしょ?いや最初に全国調査したのは内閣府の男女共同参画局だったぞ、そっちが担当だ!』と、内部で押し付け合っているように想像してしまいます。
そうではなくて、各課の方が情報共有し合い、互いに協力してダブルケア支援に当たって欲しいのです。私たちは、『子育ての窓口はあちらです』『介護でしたらこちらです』『障がいでしたらそちらです』と言われてしまいます。でも、私たちは、子育てと介護など複数のケアを分けて考えて生活しているのではありません。一つの家庭の中に両方があって、それらは複雑に絡み合って私たちを追い詰めるのです。どこでも共感してもらえなくて、孤独に奮闘しているダブルケアラーがきっとたくさんいます。
いわて県民計画にダブルケアを『載せただけ』で終わらせたくない。ならば、具体的にどういう支援を求めるか、ダブルケア家庭も過ごしやすい社会の推進を、そして、ダブルケアラーを孤立させない仕組み作りを、当事者から声を出していこうと思い、請願を提出する決意をしました。
岩手奥州ダブルケアの会
八幡初恵