しばらくブログの更新が止まってしまっているが、理由は大きく2つ。

1つはある文書の作成作業に没頭していること。これについては成果が得られたら、このブログでもオープンにしたいと思う。

もう1つはこれ。

 

 


登山家山野井泰史氏と妙子氏がヒマラヤのギャチュンカンという山にチャレンジするというノンフィクションなのだが、迫力ある描写に引き込まれて一気に読み切ってしまった。

山野井泰史氏については名前だけは知っていたものの、これほど素晴らしい登山家が日本に存在していたことを恥ずかしながら初めて知った次第。

山野井氏の経歴についてはwiki等でお読みいただければと思うが、私が惹かれたのがギャチュンカン。

ギャチュンカン(格仲康峰、百谷雪嶺) は、ヒマラヤ山脈のエベレストとチョ・オユーとの間にある山。標高は7,952m。

8000m以下の山の中では最も高く、誰しもが知っているエベレストやK2等と比べても、その難易度は勝るとも劣らない。

しかし、8000mからわずか50m足りないだけで、いわゆる「14座」と比べると知名度は圧倒的に落ちてしまう。現に、私もこの小説を読むまでは、この山の存在を知らなかった。

イタリアのメスナーが1986年にこの14座全てを登りきって以降、この14座を登ることは「スタンプラリー」に近いものとなった(『凍』より一部引用)。

無論、14座制覇に対して誰でも挑戦できる権利(身体能力、精神力、財力、時間など)を持っている訳ではないが、山野井氏は間違いなくその力を持っていただろう。それをせず、ギャチュンカンに敢えてチャレンジするところに、私は大いに惹かれるものがあった。

話のレベルが全く違うが、ヤイロチョウの完全制覇を目指している私として、やはり「先人」の存在は気になるところ。

有名なのが、「The Jewel Hunter」の著者であるChris Gooddie's。

 

 


彼は1年間で33種(+Sula Pittaの計34種)全制覇という偉業を成し遂げているのだが、これは「ウォッチング」のみ。
私が目指しているのは「撮影」。言うなれば、「ボンベ付」か「無酸素」かの違いに匹敵する。

「全種撮影」についても、少なくとも1名達成済みで、これはシンガポール人。

という訳で、ヤイロチョウの全種撮影については、残念ながら前人未到の領域ではない。

しかし、それはあくまでヤイロチョウが33種という前提での話。

以前のブログにも書いた通り、アカハラヤイロチョウが17種に分かれたことで、8000m級に相当する33種の下に7900m級の山々がいきなり16種も出現したと例えることができる。
しかも、その難易度は33種をはるかに凌駕するもの。

『凍』を読みながら、そんなことを考えてしまったのだった。



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