今日は日本で最も希少なトンボの1つ、ミヤジマトンボを紹介します。
200種ほどのトンボが記録されている日本ですが、このミヤジマトンボは日本3大景観地の1つ、広島県の宮島にしか生息していません。
沖縄や小笠原などの、本土から遠く離れた島で独自の分化を遂げた昆虫・動植物は非常に多いのですが、このミヤジマトンボは瀬戸内のど真ん中の島にしかいない、非常に特異な分布のトンボになります。
宮島は古くから神の島と崇められ、木が伐採されずに自然の状態が保たれています。このため、上流から水の流れが絶えることなく、満潮時に海水が入ってくるという、独特の条件のもとでしか繁殖できないミヤジマトンボにとって、唯一生き残れる場所になったのでしょう。
このミヤジマトンボ、一見そこら辺で見られるシオカラトンボに似ていますが、雄の横胸のパターンは独特で、体全体も華奢な作りになっています。
宮島でも現在3箇所でしか見られないそうで、絶滅が心配されています。個体数も少ないため、近親交配に起因する奇形個体も出現しているそうです。
台風によって、漂流物が潮の流れをせき止めてしまい、生息環境が変わってしまい、見られなくなってしまった事例もあるそうです。
このトンボの未来は決して明るくないようですが、何とか保護していきたいものですね。