「仕事へ行ってきます。」

そう言って家を出る時間だけは、
当時の私にとって唯一ホッとできる時間でした。

もちろん仕事は大変でした。

でも職場へ行けば、
子どものこと以外の話ができる。

同僚と笑って、
何気ない会話をして、
ほんの少しだけ「私」に戻れる。

その時間があったから、
なんとか毎日を過ごせていたのだと思います。

でも、心の奥では、
ずっと切なさを抱えていました。

家へ帰れば、
また現実が待っています。

ソファに座っている息子を見ては、

「今日は少し元気なのかな。」

テレビを見始めれば、

「明日は学校へ行けるかもしれない。」

そんな小さな変化に、
何度も期待していました。

でも翌朝になると、
また布団に顔をうずめる息子。

期待しては苦しくなり、
また期待しては落ち込む。

そんな毎日でした。

そして、ある日。

ふと目に入った息子の腕。

袖の隙間から見えたその腕を見た瞬間、
私は言葉を失いました。

今でも、
あの日の光景は忘れられません。

その瞬間、
頭に浮かんだのは一つだけでした。

「これは命に関わる。」

学校へ行くかどうかでもない。

勉強でもない。

周りの目でもない。

一番守らなければいけないものは、
目の前にいる息子の命なんだ。

そう感じました。

本来なら、
仕事には引き継ぎがあります。

迷惑をかけたくない。

責任もある。

そう思う自分もいました。

でも、その時の私には、
仕事よりも大切なものがありました。

私は家族を選びました。

もちろん、
誰もが仕事を辞める必要があるという話ではありません。

それぞれの家庭に、
それぞれの答えがあります。

ただ、私が伝えたいのは、

お母さんが一人で抱え込み、
心まで壊れてしまう必要はないということです。

私は当時、
「もっと頑張らなきゃ。」
「私が何とかしなきゃ。」

そんな思いでいっぱいでした。

でも今振り返ると、
一番必要だったのは、

誰かに頼ること。

一人で背負わないこと。

そして、
お母さん自身が安心できる場所を持つことでした。

今、もしこの記事を読んでくださっている方の中に、

出口が見えず苦しんでいるお母さんがいたら、
どうか伝えたいです。

あなたは一人ではありません。

今は先が見えなくても、
少しずつ光は見えてきます。

私自身が、
その道を歩いてきました。

だから私は、
今日も希望を伝え続けたいと思います。

最後に、あなたへ質問です。

もし今、

「こんな毎日だったら、少し心がホッとする。」

そう思えるとしたら、

どんな毎日ですか?

その答えが、
あなたにとっての希望への第一歩になるかもしれません。