とにかく古くてボロボロだった。
お風呂場の近くの床は、
シロアリにやられて、半分抜けかけてた。
お風呂は、
昔の作りだから、
お風呂の空間が密閉されてないの。
天井近くに５センチくらいの隙間があって、
冬はそこから、とんでもない寒さの隙間風が吹いてくる。
冬のお風呂は、
とにかく寒さと時間との戦い。
蛇口からお湯が出るというシステム（？）がなかったから、
太陽光で温めたお湯（上限あり）と
足りない分は湯船に水をためて、ボイラーでわかす。
しかも、シャワーもないから、
身体を洗ったりするのは、湯船からお湯を汲んで使う。
当時、７人家族だったから、
最後の頃には、
お湯が半分くらいに減っている
そう。
お風呂も水漏れしてたから
私が高校生くらいの時は、
膝くらいまでしかお湯が残ってなかったりするから、
寝そべるようにして、がんばって全身浸かってた
２箇所あるトイレも水洗じゃなかった。
（いわゆるボットン）
古い方のトイレは、
和式の便器にしゃがむと、
深ーく掘られている肥溜が見渡せる。
ある日突然、
この立っている床が抜けて、
落ちたら、
この真っ暗闇に落ちて死ぬかもしれない
そんな恐怖心を煽る作り。
ネズミが進出するのは、
天井裏に留まらず、
部屋の中でもよくご対面してたし
夏になれば、
気を許すとすぐ、部屋の中にアリの行列ができる。
冬の部屋のストーブの暖かさで
天井に付いていたカマキリの卵が孵って
大量のカマキリの赤ちゃんがボトボトと落ちてきて大変なことになったこともあった
スズメバチが屋根裏に巣を作り、
追いかけられてトラウマになったこともあった
だから私は、
一刻も早く、
実家を出たかった。
家族と一緒に過ごしたいと思いながらも。
自分の家が、
ちっとも安心できる場所じゃないことが、
辛かった。
怖かった。
特に、ハチが活発化する秋は、
学校でも家でも、
常にビクビクしながら暮らしていた。
安全と思える、
都会に行きたかった。
安心して、
暮らしたかった。
だから、私は、
高校を卒業したら、東京に出た。
実家が家を新しく建て直したのは、
それから６年後くらい。
その間も、
みんなずっと、あの家で過ごしていたんだよなぁ。
と思うと、
本当に尊敬する。
そして数日前、
気付いていたようで、気付かなかったことに
やっと、気付いた。
お父さんも、お母さんも、
好きでボロボロの家に住んでいた訳じゃ、
ないんだよね。
私たちこどもを、
みんな大学にまで行かせた。
2人もひとり暮らししてて、
しかも私大ばっかり
それは、
お金、
かかるよね！！！
！！！でもね、
必ず３人
平等に、
大学まで行かせたいって、
思ってたんだ。
って、
いつかお母さんから聞いたことがある。
お母さんは中卒で、
自分に学歴がないから、
こどもにはちゃんと学校に行かせたかった
って。
その時言ってた。
私の家では、
基本的にお金の話はしてもらえなかった。
何か聞いても、
「心配しなくて大丈夫」
そんな風に、言われてきたから。
だから、
私たち兄弟は、
自分たちが、どれだけお金をかけて育ててきてもらったか、
知らずに育ってきた。
そんなことを、
自分が働くようになって、
「私たち、自分の子どもに、そんなにお金かけられないよね。」
なんて、
妹と話したことがあったけれど。
（習い事もかなりさせてもらってた）
家のことと繋げて考えたことがなかったから。
わかったようで、
わかっていなかった！
私たちにもっとお金をかけなくて済んだのなら。
きっと、もっと早くに、
お家を新しくして、
快適に過ごすことができたんだと思う。
それでも、
それを、しなかった。
私たちこどもの、
将来のためにと、
使ってくれた。
そのことに、今、
改めて、ありがとうって、思う。
大っ嫌いな家だと思ってたけど。
もう２度と、戻りたくなんかないけど。
寒すぎるお風呂も、
シミだらけで怖い天井も、
歩くとギシギシ鳴る廊下も。
ずーっとカチカチ時を刻んでいるボンボン時計も。
とても懐かしくって、
優しい愛がいっぱい詰まってる場所だったと思うよ。
「伝えない」ことが、
「何も心配させない」ことが、
お母さんの愛情だった。
やっとね、
気がついたよ。
お父さん、お母さん
どうもありがとう
ワークやカウンセリングを続けていると
ふと
こんな気付きが湧いてくることがある。
先週は、
こころ探検ツアーズ♪、
のぞみ塾整心道場と
立て続けに濃い時間を過ごしたからかな
また、
大きな愛情に、
気付くことが出来ました
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