先日書いたスピードガンによる問題点二つです。


1.スピードガンは瞬間的な速度(しかも初速に近いところ)を計測しているので、バッターにとって「速く感じる」とか「伸びがある、キレがある」といった「球質」まではスピードガンの数字だけで判断できない。

 例として、いろいろな人の投げる同じ初速130km/hのストレート(直球)が幾つかあったとします。これら130km/hの球はバッターにとってすべて同じスピードに感じるでしょうか?答えは感じません。今回はピッチャーによる球の軌道やフォームの違い、リリースポイントの差などを考慮せずに話を進めますが、スピードに違いを感じる理由としては初速と終速の差の違いが考えられます。ストレートの場合、初速×0.9が終速度くらいになるといわれています。130km/hのストレートなら終速は約13km/h落ちて117km/hになります。(あくまで目安)この初速と終速の差はどこから生じるかというと、ストレートの場合は球の握り方(2シーム、4シームなど)と球のバックスピン量と球の回転方向(きれいなバックスピンがかかっているか、シュート回転してないかなど)などで決まると考えます。他に軟式球か硬式球によっても変わってきます。

 つまりバックスピン量が少なかったり、シュート回転してたりすると、バッターにとって初速の数字ほど球は速く感じないということになります。この傾向は変化球になると更に顕著で、初速と終速の差はさらに大きくなり、特にフォークボールなどの無回転系の球なら初速×0.8がおよその終速度になるといわれているので、ストレートの130km/hとフォークボールの130km/hはバッターにとっては全然違う球速に感じるわけです。

 このようにスピードガンの数値は球の速い遅いの大体の目安にはなりますが、バッターの感じる「体感速度」的なものとは若干外れるような気がします。


2.二つ目に、スピードガンの球へ照射するレーダーの入射角による計測誤差があります。

 スピードガンは、レーダーを球へ照射してその反射波を受信して球速を測る(ドップラー現象の応用)のですが、この入射角が大きいと実際の球速よりも遅く計測されるという現象がおきます(コサイン効果)。最も正確に計測できる位置というのは入射角がゼロに近くなるキャッチャーの真後ろくらいの位置(球を真正面に受ける位置)なんですが、試合中こんなところで審判のおっちゃんにスピードガンを構えてもらうのは無理なので、ほとんどの球場ではバックネット付近にスピードガンを設置しています。

 実は、この設置位置に問題があるのです。なるべく球を真正面から受けるような位置に近い所に設置されてはいるのですが、どうしても球筋に対して角度がついてしまいます。(大概、キャッチャー後ろの少し斜めの高い所に設置。キャッチャーや球審といった障害物があるため少し斜めにずらしている。)

 この斜めにずれた角度がボールの軌道に対してたとえば10度あったとしましょう。このとき、コサイン効果で実際の球速よりも約2%遅く計測されます。

 この誤差については話すときりがないので、また後日ということで、次回は自分流球速計測法について書きます。