(前回「北八ツ 横岳へ」より続く)
横岳北峰から、この日の目的地、双子池に向かいます。
以前、大岳は通ったことがあるので、今回は亀甲池経由。
下りにかかると、幸いにも、ガスが切れ、双子山が見えてきました。
横岳北峰~亀甲池間は、標高差約400mで、約1時間の下り。
山口耀久「北八ツ日記 Ⅳ」(1957年)*に、
横岳北峰に出る新しい林道を登る。
という記述があるので、その頃に拓かれた道なのかもしれません。
下りついた亀甲池は、標高2035m**。
最大深度は1.0m**と浅いものの、森に囲まれた、静かな雰囲気。
実は、北横岳までは登山者がいたのですが、その後は、双子池まで誰にも会わず。
森と池、そしてこの静けさが、北八ツの魅力のような気がします。
さて、天祥寺原への分岐を過ぎ、小さな峠を越えると、次は双子池。
雌池は明るくて大きく、
湖畔にはキャンプ指定地もあります。
それに対して、雄池の方は、湖面はやや狭いながらも、より深く、容積は大きい**。
そして、その雌池と雄池の間にあるのが、双子池ヒュッテです。
一泊二食付きで、
大部屋の宿泊料は7800円。
個室は+1000円だそうです。
少し昼寝をした後、小屋の周囲を散歩してみました。
上画像は雄池で、
続けては、雌池。
溶岩丘間の凹地に形成された、元来は一連の池を、双子池溶岩が二分したものだそうです**。
なお、山口耀久「北八ツ彷徨」*(1959年)は、
二子山と大岳のあいだにある双子池は(略)、惜しいことに池の雰囲気に深みがたりない。その点、白駒池と雨池は幽邃さではもうしぶんがないし、大きさからいっても理想的なものだ。
と書いています。
当時の雌池は残念ながら、
飛行機のフロートみたいな金属製のボートが浮かび、海水パンツでバシャバシャ泳いでいるのがいる。
という雰囲気だったようです(「北八ツ日記Ⅵ」*、1959年)。
*山口耀久『北八ツ彷徨』(創文社、1961年)
**河内晋平『地域地質研究報告 蓼科山地域の地質』(地質調査所、1974年)