今日は、名古屋鉄道局編『中部日本名勝案内圖』(社団法人ジャパン ツーリスト ビューロー發行、1928年11月再版)より、三重県北勢地方の画像をご覧下さい。
「桑名町」~「阿下喜東」間を走るのは「北勢鉄道」です。
現在の三岐鉄道北勢線の起点は西桑名駅ですが、当時の名称は「大山田」、始発駅は「桑名町」(後に桑名京橋と改称)でした。
また、現在の北勢線の終点は阿下喜駅なのですが、「阿下喜東」~「阿下喜」間が開業したのは1931年7月8日*なので、この案内圖には、描かれていません。
なお、「阿下喜東」は、この区間の営業開始とともに、「六石」と改称しています*。
上画像は、阿下喜駅に保存されている、北勢鉄道モハニ50形電車(1931年製造)です。
次に、現在は富田から梅戸井を経由し西藤原へ、三岐鉄道三岐線が走っているのですが、やはりこの案内圖には、描かれていません。
三岐鉄道の富田~東藤原間が開業したのは1931年7月23日**、東藤原~西藤原間は1931年12月23日***です。
また、この案内圖には、乗合自動車を示す赤線が、富田~永井間、途中から分岐して梅戸井まで引かれていますが、これは、三重自動車。
三重自動車の路線は、1933年三岐鉄道が継承し、同社の乗合バス部門になりました****。
三つ目は、その南の四日市鉄道(現在の近鉄湯の山線)。
駅名「四日市市」「川島村」「桜村」が現在と異なり、また現在はない「神森」駅が描かれています。
さて、今日最後は、さらにその南の「三重鉄道」、現在の四日市あすなろう鉄道です。
西日野~八王子間は廃線となり、現在の終点は「西日野」です。
上画像は一昨年4月撮影の西日野駅。単式ホーム1面1線の無人駅です。
*『官報』第1364號(1931年7月17日)
**『官報』第1375號(1931年7月30日)
***『官報』第1512號(1932年1月18日)
****三岐鉄道株式会社公式ホームページより「三岐鉄道80周年記念事業公式サイト」