上画像は、名古屋の久屋大通公園にある「名古屋三俳人句碑」。
くさめして 見失うたる 雲雀哉 也有
椎の実の板屋を走る夜寒かな 暁台
たうたうと滝の落ち込む茂りかな 士朗
名古屋を代表する俳人と言えば、やはり横井也有・加藤暁台・井上士朗の三人ということになるでしょうか。
その中で、私が興味を持っているのは横井也有。
竹内玄玄一の『俳家奇人談』(1816年)*に、
横井孫左衛門は尾陽名古屋の重臣なり。性淳朴にして文雅を好む。(略)俳名を也有といふ
と紹介があります。
上地図は「元文三年 名古屋圖」**。
外堀に囲まれた城郭の西南隅(左下)に「横井孫右衛門」との文字が見えます。
上画像は、愛知県図書館の駐輪場の前に立つ、名古屋市教育委員会の案内板「横井也有出生地」。
愛知県図書館の住所は「名古屋市中区三の丸一丁目9-3」。
三の丸には、かつて尾張藩の重臣の屋敷が並んでいました。
さて、愛知県図書館から外堀に架かる橋を渡って、外堀通りを東に歩きます。
二本目を右折し、長島町通りに入ると、東照ビルとシティコープ東照の間に、名古屋市教育委員会の案内板「ムクノキ・横井也有宅跡」がありました(上画像)。
横井孫右衛門家は、也有の隠居前後に、屋敷をこの地に移したようです。
ここには、
闇の香を 手折れは白し むめの花
という句碑があり、
「シティコーポ東照」の奥には、樹高二十mというムクノキの巨木もあります(上画像)。
樹齢約400年ということなので、隠居当時の也有の姿を、ここで見ていたのかもしれません。
*岩波文庫(1987年)
**名古屋市役所『名古屋市史 地図』(1915年)