一月に、三河の本宮山に行ってきました。
上図は、1995年要部修正の二十万分の一地勢図「豊橋」。
中央上、標高789mの三角点が本宮山です。
渋谷申博「諸国一宮・二宮・三宮大事典」*に、
砥鹿神社は三河の霊山、本宮山と結びついて発展したものと考えられる。
とあるように、本宮山は「三河の霊山」。
麓に、砥鹿(とが)神社「里宮 」があり、山頂には「奥宮 」があります。
ちなみに砥鹿神社は、「三河国の一宮」。
鎌倉時代後半の成立と言われる「類聚既験抄」**に、
砥鹿大菩薩 三河國一宮
と書かれています。
また16世紀の成立?とされる「「大日本國一宮記」***にも、
砥鹿大明神 大己貴神 参河寶飯郡
というわけで、砥鹿神社里宮から、徒歩5分ほどの最寄駅の名前も、JR飯田線「三河一宮」駅です。
上図は、2001年修正測量の1:25000地形図「新城」。
南西に「みかわいちのみや」駅。そこから東南東に一本で「砥鹿神社」です。
なお、「三河一宮」駅の開業当時の名称は「一ノ宮」停車場。
「三河一宮(みかはいちのみや)」に改称されたのは、1916(大正5)年1月1日です****。
ただ、本宮山の表登拝道である長山登山口の最寄駅は、隣の「長山」。
豊川鉄道の「長山停車場」として1899年10月19日に設置されました*****。「一ノ宮」~「長山」間の哩程は、一哩三十九鎖です。
さて、その長山駅から徒歩約20分で、豊川市のウォーキングセンター に到着します。トイレも駐車場もあるので、自家用車の方は、ここに駐車されるのがよいかもしれません。
ただし、土日祝日には、早い時間帯に満車になるそうです。ご注意ください。
そのウォーキングセンターから100mも歩くと、登山口。大きな鳥居が目印の「一丁目」があります。
この本宮山表登拝道の特徴は、よくあるような「何合目」ではなく「丁目」であること。
また、道中に、「山姥の足跡」(39丁目)、「磐座」(48丁目~50丁目)「行人岩」「国見岩」などと、歴史を感じさせる地名が続くのも、この登山道の特徴だと思います。
そして、50丁目が砥鹿神社奥宮(左画像)。
地形図で見ると、770m近い標高があるのですが、なかなか立派な社殿です。
正月過ぎの週末だったせいか、社務所には、神職らしき方もいました。
ただ、この本宮山、静かな山行を好まれる方には、少し抵抗があるかもしれません。
麓では本宮山トンネル・砥鹿トンネルの大土木工事が進行中です。
また、上図は、再び2001年修正測量の1:25000地形図「新城」ですが、山頂を取り囲むように、「本宮山スカイライン」も走っています。
さらに、山頂部に電波塔が林立しています。
ただ、それを除けば、芝生も広がる、明るい山頂。
蒲郡・豊橋方面の展望も良好です。
上画像は、本宮山三角点の標石+防護石。
一等三角点で、点名は「三本宮山」です。
やはり一等三角点の尾張本宮山の点名は「尾本宮山」ですから、こちらは三河の本宮山という意味でしょうか?
*『歴史読本』2007年2月号
**塙保己一・補太田藤四郎『續群書類從 第三輯上 神祇部』訂正三版(續群書類從完成会、1959年)
***塙保己一『群書類従 第二輯 神祇部』(続群書類従完成会、訂正三版第三刷、1977年)
****『官報』1031号(1916年1月12日)
*****『官報』4893号(1899年10月21日)